• 国連によると、全国で過去最高の1500万人以上が援助を必要としている
• 世界銀行によると、2010年から2020年の間にGDPは半分以下に低下した

ダマスカス：ネスマ・ダヘルさんは、シリア内戦の前線だったダマスカス郊外で何年もの間戦争を生き抜いた。しかし、彼女が住む地区で銃声がやんでからしばらく経っても、そしてシリアの地域における孤立が解消しても、生活は苦しくなるばかりだと彼女は言う。

2018年に政府軍が奪還するまでは反体制派が支配していた町ドゥーマに住む寡婦のダヘルさんは、4人の子供たちに1日1回しか食事を与えられない時もあると話す。ダヘルさん一家はNGOからの毎月約7ドル相当の支援金で生き延びている。

彼女の末の息子は12歳だが、工場で働くために学校を辞めた。「子供たちの父親が亡くなった日から生活が苦しくなり、その後もさらに苦しくなるばかりでした」と、35歳のダヘルさんは語る。

これは、2011年にバッシャール・アサド大統領の支配に対するデモから始まった内戦が12年以上続く中、シリアを苦しめている貧困の一断面である。

内戦開始以降、少なくとも35万人が死亡し、数百万人が難民となり、公共インフラは荒廃したままだ。

アサド政権が国土の大半を支配したまま、主要な前線はもう何年もほとんど動いていないが、人道ニーズはかつてなく高まっている。

国連によると、全国で過去最高の1500万人以上が援助を必要としている。

世界銀行によると、2010年から2020年の間にGDPは半分以下に低下した。通貨も下落の一途をたどり、インフレに拍車をかけている。

他にも国際的緊急事態が存在する中、国連は困窮するシリア国民を支援するための資金調達に苦慮している。国連は6月、シリアでの人道活動のための今年のアピール額54億ドルのうち僅か11%しか集まっていないことを明らかにした。

2月にシリアと隣国トルコを襲った大地震は苦境をさらに悪化させた。

アラブ諸国は救援活動に寄付し、アサド大統領を再びアラブ連盟に迎え入れたが、経済復興の助けになると政府支配地域のシリア人の多くから期待されていたアラブ諸国からの投資が行われる兆しはない。

シリア政府は欧米による制裁のせいだと主張している。

「多くの外国企業やアラブ企業がシリア投資庁を訪れた」と、同庁のマディアン・ディアブ長官は言う。「しかし、経済制裁が大きな障害となっている。シリアに科せられた制裁が自分たちに影響するのではという不安があるのだ」

2020年に強化された米国による制裁のもとでは、シリアと取引した者は国籍に関係なく誰であれ資産を凍結される可能性がある。

世界銀行は、シリアの経済状況に打撃を与えている要因として、武力紛争、干ばつ、隣国レバノンの経済危機の影響などと共に制裁を挙げている。

シリア経済に詳しいジハード・ヤジギ氏によると、シリア人は制裁について心配していなくても、人的資源・生産投入量の不足と共に汚職を挙げて、ビジネス環境が困難であることを理由に投資を行わないという。

同氏は語る。「湾岸諸国や欧州などの外国の投資家が設立した企業が来ることもあるが、そこから何かが具体化されることはめったに、あるいはほぼない」

「これはかなりの程度、制裁のせいだ」

米国は、制裁の目的は政治的解決に向けてシリア政府に圧力をかけることだとしている。

ドゥーマの地元職員であるモヒルディン・メルハンさん（44）は、特に5月にサウジアラビアで開かれたアラブ連盟首脳会議にアサド大統領が招待された後は状況が改善することを期待していたと話す。しかし、かつてなく多くの人が困窮しており、「生活のために家具を売る」人もいるという。オベイダ・アブ・モハメドさん（33）は2019年、ドゥーマに自動車スペアパーツ工場を開いた。

特にここ6ヶ月間は商売が傾いているという。新しい物を買わずに持っている物を修理して使う人が多いからだ。

「皆、買う余裕がないのです」と、2児の父である彼は話す。

彼は現在、工場の家賃を払い家族を養うのに十分なお金を稼ぐことができていないという。

「お金が足りないので必要な食品も全て買うことはできません」

ロイター