• シリアの検問所を経由して人道援助を届ける活動は、2014年の国連合意が期限切れとなった10日以降滞っている
• アサド政権は、同政権がテロ組織と指定した団体に援助団体が接触しないことを条件に検問所を再開するとしている

ニューヨーク：国連は、シリアのバブ・アル・ハワ検問所を経由して同国北西部の反体制派支配地域に援助物資を届けることを許可する代わりにシリア政府が課した「受け入れられない条件」について懸念している。AFPが14日に閲覧した文書から分かった。

同検問所を経由して人道援助を届ける活動は、2014年の国連合意が期限切れとなった10日以降滞っている。

国連人道問題調整事務所（OCHA）から安全保障理事会宛てに送付された文書によると、トルコとシリアの間にあるこの国境検問所の使用許可に関してシリア当局が今週出した書簡には「2つの受け入れられない条件が含まれている」という。

OCHAは、シリア政府が「国連は『テロ組織』に指定されている集団と接触すべきではないと強調」していることを懸念していると述べている。

シリア政府が課した第2の条件は、赤十字国際委員会（ICRC）およびシリア・アラブ赤新月社（SARC）がシリア北西部において「人道援助の分配を監督・促進」すべきだというものである。

国連によると、シリア北西部では400万人以上が食料、水、医薬品などの必需品の不足に苦しんでいる。

2014年に開始された取り決めを通して、国連は主に隣国トルコからバブ・アル・ハワ検問所経由でシリア北西部に救援物資を届けている。

シリアは13日、国連がバブ・アル・ハワ検問所を使用して反体制派支配地域に住む数百万人に必要不可欠な人道援助物資を届けることを6ヶ月間許可すると発表した。

シリアのバッサム・サバーフ国連大使は13日、記者団に対し、同国は援助継続の許可に関して「主権的な決定」を下したと述べた。

この発表は、国連の車列がシリア政府の許可なくバブ・アル・ハワ検問所を使用することを可能にしていたメカニズムが10日に期限切れとなったことを受けたものだった。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官を務めるステファン・ドゥジャリク氏は14日、「ここのところ国連の人道援助はバブ・アル・ハワ検問所を通過していない」としたうえで、国連当局はシリア政府が出した許可を検討しているところだと述べた。

「書簡に書かれている正確な内容を（…）検討しているところだ」

また、「それらは慎重に検討する必要がある」として、「人道的な不干渉・公平の原則に基づいて人道支援を届けるという（国連の）決意」を改めて強調した。

AFPが閲覧したOCHAの文書はまた、シリア政府からの書簡の各所を「検討」し「明確化」する必要があるとしたうえで、人道支援を届ける活動は「国連の人道活動の公平性（…）中立性、独立性を侵害してはならない」と述べている。

シリアは、援助物資を届ける国連の活動は主権の侵害であると事あるごとに非難している。同国の主要な同盟国であるロシアは、長年かけてなし崩し的にこの合意を骨抜きにしてきた。

ロシアは11日、この合意を9ヶ月間延長する決議案に対し拒否権を行使した。続いて6ヶ月間延長の決議案を出したが、採択に必要な票を集めることができなかった。

国連安保理の15理事国はここ数日、越境支援合意を延長するための妥協点を見出そうと努めている。

シリア内戦は50万人以上の死者と数百万人の難民を出し、国内のインフラや産業に打撃を与えた。

ICRCのニューヨーク代表団はAFPに対し、「シリアにおけるニーズは大きいため、人道援助に対する包括的で制限のないアプローチが必要だ」と述べた。

「我々は、我々の能力の範囲内で、全ての関係者の同意のもと、支援を行う用意ができている」

AFP