ベイルート:国連世界食糧計画(WFP)は18日、ヨルダンの難民キャンプで生活する12万人のシリア難民に対する毎月の現金援助を削減すると発表した。「前例のない資金難」が理由だという。
ヨルダンは人口1100万人の国だが、シリアから130万人の難民を受け入れている。その大半は同国各地にある難民キャンプで生活している。国内最大規模の2つのキャンプ、ザータリ難民キャンプとアズラック難民キャンプに暮らす難民の半数近くが現金援助に依存している。
ヨルダン当局は、同国は国際的な寄付の不足分を埋めることができないと警告している。
WFPによる今回の発表は、ヨルダンに暮らす5万人のシリア難民への資金支援を段階的に完全停止するとした先週の発表に続くものだ。このプログラムは当初、46万5000人の難民を対象としていた。
その完全停止の完了後、プログラムの対象として残った約30%の難民に対する支援額が削減される。
WFPによると、毎月の現金支給額は32ドルから21ドルに減額されるという。
国連機関や国際人道組織はここ数年、シリア支援や近隣諸国のシリア難民支援のために必要な予算の調達に苦労している。寄付疲れ、コロナパンデミックの経済的影響、ウクライナとロシアの戦争などが原因だ。
シリアのバッシャール・アサド大統領の政権は、同盟国であるロシアとイランの支援を受けて領土の大部分を奪還することができたが、内戦で荒廃したこの国の危機は依然として膠着状態にある。
WFPヨルダン代表のアルベルト・コレイア・メンデス氏は、「資金が枯渇しつつあり、我々にはどうすることもできない」と述べた。
WFPによると、今回発表した削減を実施しても依然として約4100万ドルの資金が不足するため、追加措置を取らざるを得ない可能性もあるという。
レバノンやトルコで暮らす数百万人のシリア難民も資金援助削減の影響を受けている。両国では経済的・政治的混乱の中、反難民的レトリックや大量送還を求める声が急増している。
反乱をきっかけに始まり現在13年目に入っているシリア内戦は、約50万人の死者を出し、戦前の人口2300万人の約半数を難民にした。
ヨルダンのアイマン・サファディ外相は、6月にブリュッセルで開かれたシリア支援のための年次会議で、同国は資金不足分を埋めることができないと訴えた。先週にも、「難民が苦しむことになる」と警告した。
「これはヨルダンのせいではない。支援を削減している人たちのせいだ」と同外相は述べた。「難民に尊厳ある生活を提供することは世界の責任だ。受け入れ国である我が国だけの責任ではない」
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のヨルダン代表であるドミニク・バルチュ氏は、援助機関は資金援助削減のせいで、支援を必要とする多くの人々を差し置いて最も困窮した家族のみを支援することを余儀なくされていると訴えた。
同氏は、「難民や受け入れ先コミュニティーに深刻な影響が及ぶような人道危機へと状況が後退する危険が差し迫っている」と述べた。
サファディ外相は、7月4日にダマスカスを訪問しアサド大統領と会談した際、難民の自主的帰還を加速させるためにシリアの傷んだインフラへの投資を求めた。ヨルダンは、シリア内戦終結のための解決策を見出すための地域的協議も主導している。
欧米諸国はシリアに対し、戦争犯罪とされる行為や麻薬貿易への関与などを理由に今も制裁を科しており、アラブ諸国が行っているようなアサド政権との関係回復や復興への資金支援を承認していない。
AP