


エルサレム:イスラエルのテルアビブで19日、数百人の予備役がデモ行進を行い、最高裁判所の権限を制限するという物議を醸している計画を政府が推し進めるなら志願兵役を拒否すると警告した。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるナショナリスト・宗教右派連立政権による、最高裁から審査権限の一部を奪おうとする動きに対し、イスラエル各地でデモが行われており、米国を含む同盟国の間に深い懸念が広がっている。
修正案可決が近づくにつれてデモが激化している。ある閣僚は、デモがエスカレートするようであれば政府は国民を分断している司法改革の動きを再考する可能性もあると述べた。
デモを行った予備役らが戦闘機パイロット部隊や特殊部隊などイスラエル軍屈指のエリート部隊の所属だったことは特に注目を集めた。国防軍幹部らは、デモが国の治安を損なう危険性があると懸念して警戒を高めた。
イスラエル軍はコメントを避けた。
政府とその支持者らは、司法改革案は「積極主義者の」裁判官が政治の領分に侵入してくるのを阻止するために必要なものだと主張している。
しかし反対派にとっては、司法改革案はイスラエルの民主主義の価値観を損なうものであり、軍との間の「暗黙の契約」を破るものであると、デモに参加していた予備役歴23年で総司令部偵察部隊所属のロン・シェルフ中佐(51)は言う。
同中佐はロイターに対し、「自らの命を危険に晒して任務を行っている兵士たちは皆、ユダヤ的で民主的なものとして定義される国のためにそうしている」と語る。「しかし、その一つでもなくなれば、つまりこの国がユダヤ的でなくなったり民主的でなくなったりすれば、もはや守るべき国ではなくなる」
デモ主催者らはロイターに、任務を行わないつもりだという軍医らから届いた手紙300通や、司法改革案が通れば任務を拒否するとする特別部隊の予備役750人の署名入りの書簡を見せてくれた。
ロイターはそれらの署名の真偽を独自に検証することはできなかったが、主催者らは全ての署名の真偽を確認したとしている。
デモに先立って名前を明かすことを避けた予備役の大尉(30)は、志願兵役を拒否すると宣言した予備役1000人分以上の署名入りのリストを持っていると話した。
イスラエルは徴兵制を敷いており、予備役は戦時に動員されるほか、定期的に訓練を受けることが義務付けられている。
兵士らは志願兵役を拒否しても軍法や法律に違反しているわけではないため罰せられることはない。イスラエルが緊急事態に陥ったら緊急徴兵に応じると明言している予備役もいる。
イスラエル軍のヘルジ・ハレヴィ参謀総長は19日、ある空軍基地を訪問した際、志願制度は極めて重要なものであるとしたうえで、「兵役拒否の声が上がっていることは痛い」と述べた。
ロイター