
エルサレム:イスラエルの最高裁判所は31日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる宗教右派・ナショナリスト連立政権が司法改革の一環として可決させた法案に対する異議申し立てに関する審理に、同裁判所の全裁判官15人が参加すると発表した。この種の審理への裁判官全員の参加は史上初となる。
最高裁は、法案の取り消しを求める嘆願に関して9月12日に審理を行うことで合意した。先週承認されたこの法案は政府や閣僚による決定を無効にする最高裁の権限を制限するもので、この審理は国の制度をめぐる対決の場となる。
最高裁の報道官によると、この審理ではイスラエル史上初めて裁判官全員が議長を務めるという。
ネタニヤフ首相とその政府が追求している司法改革はイスラエル国内で前例のない危機を引き起こしており、社会に深い分断を作り出し、経済に打撃を与え、欧米の同盟諸国の懸念を高めている。
その分断は軍にまで広がっている。志願予備役らは兵役拒否を宣言しており、元軍高官らはイスラエルの臨戦態勢が危険に晒されかねないと警告している。
イスラエルのヨアフ・ガラント国防相は31日、国会の外交・国防委員会に対し、抗議が激化する中でも軍は臨戦態勢を維持しているが、長期的にはそれが損なわれる可能性があると述べた。
国会の120議席のうち64議席を支配しているネタニヤフ首相の連立政権は、司法改革は「政治的介入主義に傾きすぎた」最高裁による「過度な介入」を抑制するために必要なものだと主張している。
批判者らは、司法改革は行政府に対する有効な審査権を奪うものであり、権力濫用につながりかねないと訴えている。
嘆願者にはイスラエル弁護士協会のほか、ある政治監視団体が含まれている。同団体は、7月25日の修正案は「イスラエルの議会制民主主義の構造や政府の性格を根本的に変えてしまうものだ」としている。
ロイター