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ベイルート港のサイロが再建されないレバノン、食糧安全保障上の脅威に直面

2022年8月23日撮影の写真には、レバノンの首都ベイルートの港にある穀物サイロの新たに崩壊した北側部分が写っている。穀物サイロは2020年に起きた港湾での爆発で一部損傷していた。(AFP/ファイル写真)
2022年8月23日撮影の写真には、レバノンの首都ベイルートの港にある穀物サイロの新たに崩壊した北側部分が写っている。穀物サイロは2020年に起きた港湾での爆発で一部損傷していた。(AFP/ファイル写真)
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07 Aug 2023 12:08:03 GMT9
07 Aug 2023 12:08:03 GMT9
  • 2020年の爆発で損傷したサイロには、12万トンの小麦を収容できる容量があった
  • 現在、レバノンには輸入穀物の保管場所がない

ナジャ・フーサリ

ベイルート:ベイルート港の重要な穀物サイロは、3年前の爆発で損傷してから現在も使用できず、レバノンの食糧安全保障上の脅威が増している。

爆発で損傷し、その後徐々に崩壊していったサイロには、12万トンの小麦など穀物を収容できる容量があった。しかしこの結果、レバノンは現在、保管場所がないため、大量の小麦を輸入することができない。

「現在、サイロはワイヤーで囲まれており、人が近づけないようにして、市民の安全を守っています」と、港湾労働者の連合組織兼医療部門の責任者であるベチャラ・アスマル博士がアラブニュースに対して語った。

同博士は、「サイロの天井部分で小麦など穀物が腐敗してカビが蔓延しないように、当局が周辺一帯に時々農薬を散布しています」と説明した。

同博士は、サイロがこれ以上劣化することはないと思われるが、「サイロに隣接する3つのクレーターの修復作業がまだ始まっていません。一帯が停滞し、孤立した場所となっています」と付け加えた。

犠牲者の遺族はサイロの残存部分の取り壊しを拒否している。また、政治家の中にも、元の場所にサイロが再建されることを望んでいないものがいる。

ファディ・アブード元大臣も、「元の場所にサイロを再建するには100億ドルかかります。そこは港を出入りするトラックの数が増加しているため、ベイルートでも最も過密な場所となっているのです」と述べ、サイロ再建の経済的な実現可能性に疑問を投げかけた。

アスマル博士によると、アブード元大臣は、交通渋滞を緩和するために、既存の港を観光船の入港地点に変更し、商用船の港湾をトリポリに移転するよう提案したという。

同博士は、「アブード元大臣の提案は却下されました」と述べた。「レバノン沿岸のどこであっても、観光港を建設することができます。しかし、ベイルート港の重要性は、この港が地中海有数の良質の海盆であるという点にあるのです」

「ベイルート港は水深が深く、特徴的で、重要な貿易回廊であるための高度な設備を備えており、トリポリ港を補完することもできるのです」

2020年8月4日に起こったベイルート港での壊滅的な爆発により、都市のランドマークとみなされていた高層の穀物サイロが損傷した。実際は巨大なサイロが爆発の威力のほとんどを吸収したため、ベイルート南部は破壊を免れ守られた。

しかし、サイロの一部が崩壊し、数人が死亡した。

爆発から2年目を迎える数日前には、サイロ内部で穀物が発酵して発火したために、サイロとその周囲で火災が発生した。サイロが倒壊状態にあったために、消防士は炎の勢いを抑えることができず、火災は数週間続いた。

レバノンは税関統計によると、2021年に約75万4,000トンの小麦を輸入し、そのうち毎月約6万トンを消費していた。

アスマル博士によると、サイロにはかつて、半年から1年分の十分な量が貯蔵されていたという。

「現在、レバノンのピタパン用に普通小麦を輸入している製粉工場は、比較的小さな倉庫に小麦を保管しています。輸入量の合計は、せいぜい3ヵ月分にしかなりません」

レバノンは小麦の大半をロシアとウクライナから購入していたが、ロシアによるウクライナ侵攻後、レバノンは需要を満たすためにルーマニア、トルコ、エジプトとの間で協定に合意した。

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