ベイルート:戦争で荒廃したシリアを襲う深刻な経済・金融危機のさなか、同国政府に対する抗議活動が激化する中、23日、不満を持った抗議活動の参加者らがシリア南部の州にある与党バアス党の地方事務所を襲撃した。
野党活動家らによると、22日夜に開かれた反政府集会では、デモ参加者らがドゥルーズ派が多数を占めるスウェイダ県と首都ダマスカスを結ぶ高速道路も部分的に封鎖した。
デモは、アサド大統領が先週、公務員の賃金と年金を倍増する決定をしたことを受けて、生活環境の悪化とインフレが急騰したことがきっかけとなった。
抗議活動はこれまでのところ、地中海沿岸の政府拠点や首都ダマスカス、アレッポやホムスなどの大都市には広がっていない。
しかし、ヨルダンと国境を接する近くのダルアーでも事件は起きている。 2018年に政府軍が奪還してから、この地域の経済は悪化し、犯罪が増加している。
シリア政府は抗議活動に応じていない。
この国の経済は、長年にわたる紛争、汚職、失政、そして政府の戦争犯罪と違法麻薬取引への関与の告発を巡る西側主導の制裁の後、苦境に立たされている。 国連によると、人口の約90パーセントが貧困の中で暮らしているとみられる。
スウェイダ県には国内の少数派ドゥルーズ派の住民が多く生活しており、13年目を迎えたシリア紛争からほぼ孤立している。
スウェイダ県の活動家集団である「スウェイダ24」の編集長ラヤン・マールーフ氏は、「これはスウェイダ県で起きた最大の抗議活動だ。ある時点では、ほとんどの人が中立かどちらとも言えなかったが、現在は政治改革をしなければ自分たちの生活が改善されれることはないと考えている。」とAP通信に語った。
対米ドルでのシリアポンドの価値は、2023年初めの7,000ポンドから15,000ポンドまで下落し、過去最低値を更新した。 2011年に紛争が始まったとき、1米ドルは47ポンドで取引されていた。
AP