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シリアの刑務所にいるレバノン人行方不明者の安否をめぐり新たな訴え

シリアの刑務所にいるレバノン人行方不明者の安否を明らかにするよう要求を強める議員ら。(提供写真)
シリアの刑務所にいるレバノン人行方不明者の安否を明らかにするよう要求を強める議員ら。(提供写真)
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29 Aug 2023 08:08:14 GMT9
29 Aug 2023 08:08:14 GMT9
  • 複数の政党や政治勢力の議員らが署名した国連事務総長宛ての請願書は、愛する人々の所在・安否を明らかにするよう求めている
  • シリアとの国境経由でのレバノンへの資材・商品の密輸を阻止するためのより厳しい対策が求められた

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンのいくつかの団体と国会議員46人が、シリア内戦中に強制失踪させられた人々の所在・安否を明らかにするために国連が設置した機関の管轄に、シリアの刑務所に収監されているレバノン人行方不明者を含めるよう求めた。

国連総会は既に、「シリアの行方不明者に関する独立機関」の設置を承認している。

複数の政党や政治勢力の議員らが署名したアントニオ・グテーレス国連事務総長宛ての請願書は、シリアで行方不明や強制失踪となった人々の所在・安否を明らかにするよう求めている。

ジョージ・オカイス議員は28日、この請願書に署名した議員らが主催した記者会見で次のように述べた。「被拘留者や強制失踪者の所在・安否を知る権利は国際的権利であるが、シリア体制は未だにその権利を否定している」

また、レバノン国内に設置された多くの委員会がシリア体制の手にある人々の所在・安否を調査しようと試みたが失敗に終わったと指摘した。

カターイブ党、強い共和国ブロック、民主会合ブロック、刷新運動の議員ら、および無所属議員らが署名したこの請願書は、ベイルートの国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に提出される。

「シリア刑務所レバノン人被拘留者協会」の代表であるアリ・アブー・デヘン氏は、シリアの刑務所にいるレバノン人行方不明者の数を622人と推計している。

同氏はこう断言する。「(これらの被拘禁者は)シリア国家が彼らの死を証明しない限りは生きている。生死に関わらず彼らが返還されるまでは分からない」

同氏はシリアがレバノンを占領していた時期、シリアの刑務所(大半の期間は同国東部の砂漠にあるタドモル刑務所)で13年間過ごし、2000年に釈放された。

2011年にはその体験を綴った著書『Back from Hell(地獄からの生還)』を出版した。

レバノン内戦は33年前に終結し、シリア軍は18年前にレバノンから撤退したにもかかわらず、レバノンおよびシリアにおける行方不明者・強制失踪者の問題は未だ解決していない。

行方不明者・被拘留者の家族は何十年も街頭で抗議を続けている。自分の子供の所在・安否を知らないまま亡くなる人もいる。

国連の推計によると、2011年以降にシリアで行方不明になった人の数は10万人を超えるとみられる。それ以前に行方不明になった人々もいる。

シリア当局は2000年に54人のレバノン人被拘留者を解放したが、それ以降は残りの被拘留者に関する情報を提供しなくなった。

レバノン当局が彼らに関する情報を請求した際、シリア当局は拘留の事実を認めなかった。

オカイス議員は今回の請願書の発表の際、「この件に関して国連の雰囲気が前向きだから希望はある」と述べた。

また、レバノン人はもっと圧力をかける必要があると訴えた。「この請願書に国連が応えてくれることを期待する」

ナディム・ジェマイエル氏はカターイブ党を代表して次のように述べた。「これは政治的・司法的問題でもなければ、対立する政党への仕返しの手段でもない。人権の問題だ」

レバノン軍団の渉外部責任者であるリチャード・クユムジャン氏はこう断言した。「真実は常に勝利する。この件はまだ終わっておらず、決定的に解決されなければならない」

レバノンは6月、シリア内戦中の行方不明者・強制失踪者の所在・安否の調査に特化した独立機関の設置に関する国連決議への投票を棄権し、広範な批判に晒された。

この決議は国連で193ヶ国のうち83ヶ国の賛成で採択された。11ヶ国が反対、62ヶ国が棄権した。

レバノン外務省は棄権の決定について、投票を棄権するというアラブ諸国全体のコンセンサスに従って下されたとしたうえで、レバノンは人道問題を政治化したくないと説明した。

別の動きもあった。レバノン軍団のメンバーであるファディ・カラム議員とジアド・ハワット議員は以前、シリアとの国境経由でのレバノンへの資材・商品の密輸を阻止するための政府の対策に疑問を呈していた。

両議員は、密輸業者、犯罪者、テロリストがこれらの国境や越境地点を通して不法入国することを許している暫定内閣の対応は、意図的にであれ怠慢によってであれ内閣が職務を遂行していないことを示していると批判した。

レバノン軍司令部は28日、レバノンとシリアの国境においてレバノンに不法入国しようとしたシリア人を過去1週間で850人阻止したと発表した。

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