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イラク、シリアのアルホル難民キャンプから自国民送還へ

イラクは、シリア北東部の数万人収容キャンプからの自国民の本国送還を強化する。その多くはダーイシュ戦闘員の妻や子どもたちである。(資料/AP)
イラクは、シリア北東部の数万人収容キャンプからの自国民の本国送還を強化する。その多くはダーイシュ戦闘員の妻や子どもたちである。(資料/AP)
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15 Sep 2023 09:09:36 GMT9
15 Sep 2023 09:09:36 GMT9
  • イラクは、こうした動きが最終的にアルホル難民キャンプの閉鎖につながることを期待している
  • イラクとシリアの国境に近い同キャンプでは、子どもたちが将来の武装勢力へと育てられてきた

バグダッド:イラクは、シリア北東部にある数万人規模のキャンプであるアルホル難民キャンプからの自国民の本国送還を強化している。その多くはダーイシュ戦闘員の妻や子どもたちだが、武装勢力の支持者も含まれている。イラクは、国境を越えた武装勢力の脅威を減らし、最終的には施設の閉鎖につながることを期待している。

米国の支援とクルド人主導の戦闘部隊が2019年3月にシリアでイスラム過激派組織「ダーイシュ」を撃退し、イラクとシリアにまたがる広大な地域を支配していた自称「カリフ制」を終わらせると、ダーイシュの戦闘員とその家族数千人がアルホル難民キャンプとして知られるキャンプに移送された。

彼らの多くはイラク国籍であった。

現在、イラク当局は、イラクとシリアの国境に近いアルホル難民キャンプを、自国の安全保障にとって大きな脅威であり、武装勢力の過激なイデオロギーの温床であり、何千人もの子どもたちが将来の武装勢力に育っていく場所であると考えている。

イラク移民・避難民省のアリ・ジャハンギル報道官は、「これはいつ爆発するかも分からない時限爆弾だ」と警鐘を鳴らした。同報道官によると1月以来、アルホル難民キャンプから5,000人以上のイラク国民が本国に送還されており、今後数週間で、さらに多くのイラク国民が送還される見込みだという。

帰国させられるのは主に女性と子どもたちだ。ダーイシュのメンバーとして罪を犯したイラク人男性は、裁判にかけられることを恐れ、本国送還を望むことは稀である。帰還の意思を表明した人々は、キャンプ当局からバグダッドに名簿が送られ、そこで政府が安全性の照合を行い、最終的な承認を行う。

イラクに入国した拘留者は通常、北部の都市モスル近郊のアルジャダーキャンプに連れて行かれ、そこで国連機関の支援によるリハビリ・プログラムを受けた後、故郷の町や村に帰される。

このプログラムでは、精神科医とのセラピーセッションや、ダーイシュ政権下で採用された考え方から脱却させるための教育が施される。

イラクは他国に対し、アルホル難民キャンプから自国民を本国に送還するよう要請しており、6月にバグダッドで開かれた会議では、同キャンプを「テロの源」と表現した。

イラク外務省のアフマド・サハフ報道官は、この会合で、アルホル難民キャンプに国民が暮らすすべての国にとって、「最終的にキャンプを閉鎖するためには、できるだけ早く彼らを本国に送還することが重要だ」と述べた。

同報道官は、本国送還を早めなければダーイシュの組織が復活するであろうと警告した。

警備が厳重なアルホル難民キャンプは、米国と同盟を組んだシリアのクルド人主体の軍が監督しており、かつては7万3,000人が暮らしていたのだが、その大半はシリア人とイラク人だった。ここ数年で、人口は48,000人強まで減少し、5月以降は約3,000人が退去した。

イラク国防省のある当局者は「キャンプに残っている人々の中には、ダーイシュに参加した約60カ国から来た人々が含まれていることから、アルホル難民キャンプを閉鎖するには、イラクとシリアを越えた取り組みが必要になる」と、規則に従い匿名を条件に語った。

シリア北東部の避難民キャンプを監督するクルド人当局のシェイクムス・アフマド氏によると、同キャンプには現在、イラク人23,353人、シリア人17,456人、その他国籍の7,438人が暮らしている。外国人は少数だが、ダーイシュの中核的イデオロギーに粘り強く忠実で、アルホル難民キャンプで最も問題視されている。

今年に入ってからこれまで、2組のシリア人グループが同キャンプからシリアの故郷の町に向かったという。9月初旬には、92世帯355人が、かつてダーイシュの首都だった北部の都市ラッカに帰還した。5月には219人が北部の町マンビジに帰還した。

シリア国民は、同キャンプを監督するクルド人当局が社会的な脅威でなくなったと判断すれば釈放される。他の国籍の人々の解放は出身国が受け入れに同意しなければならないため、より複雑である。

シリアやイラク以外の国籍の人々は、最も熱心なダーイシュ支持者の住まいとされる「アネックス」と呼ばれるキャンプ内の一角に住んでいる。彼らの多くは、2014年にダーイシュがこの地域を席巻した後、過激派グループであるダーイシュに加わるために何千キロも旅をしてきた。

キルギス外務省は8月下旬、同キャンプの女性31人と子ども64人が特別便で旧ソ連から独立したキルギス共和国に帰還したと発表し、送還の実現に向け「援助と後方支援」を提供した米国政府に謝意を表明した。

しかし、他の国々、特に西側諸国では主に、ダーイシュの一員であった自国民の送還に難色を示している。

過激派組織ダーイシュは2017年にイラクで、2019年にシリアで敗北したにもかかわらず、ダーイシュの潜伏工作員は依然として死者を伴う攻撃を続けている。アルホル難民キャンプ内での悲惨な犯罪の報告に人権団体は衝撃を受け、キャンプの環境は非人道的で、特に子どもたちにとって非人道的であるとしている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、食事、水、医療が不十分で、看守や仲間の被収容者による身体的・性的虐待もあるとしている。シリア北東部の人権団体Rights Defense InitiativeのAgeed Ibrahim氏は、同キャンプに残っている人々の生活環境を改善するための人道支援を訴えている。

米軍は、同キャンプの人口を減らすことは、ダーイシュとの継続的な戦いにおいて必要な措置であり、将来のダーイシュ打倒のための重要な要素であるとしている。

米国はシリア東部に約900人の部隊を駐留させ、数えきれないほどの請負業者も配置している。8年前に初めて上陸したこの部隊は、クルド人戦闘員主体のシリア民主軍(SDF)とともに活動している。

ダーイシュに対抗する米国主導の連合軍を指揮するマシュー・マクファーレン米陸軍少将は、同キャンプが「時間と共に安全保障上の課題となることは確実だ」と語った。同少将は、収容所内での殺人が減ったことを、収容人口の減少が治安改善につながっていることの表れとして挙げた。

「我が国の国務省は、外務省の他の省庁と協力し、キャンプの状況を改善するため、キャンプの人口の削減に注力しています」と同少将は語った。

米軍は最近、X(旧ツイッター)に、アルホル難民キャンプからの本国送還が成功すれば、この地域の「安全、治安、安定が保たれる」と投稿した。

AP

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