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イスラエルが和平を選ぶべき理由:時間切れとなる前に

イスラエル南部のガザ地区での戦闘後、宿営地に到着したイスラエル軍の車両。(AP)
イスラエル南部のガザ地区での戦闘後、宿営地に到着したイスラエル軍の車両。(AP)
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01 Jan 2024 09:01:23 GMT9

イスラエルのエリ・コーヘン外相は最近、パプアニューギニアがヨルダン川西岸地区の入植地に領事館を開設する予定だと自慢げに述べた。この提案は国際社会に傲慢にも反抗して、ヨルダン川西岸地区に対するイスラエルの主権を主張するものだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ガザからのパレスチナ人の移住を奨励したいと述べているが、言い換えるならば追放を促進したいということだ。イスラエル政府は、パレスチナ人との政治的解決策や和平合意についての話し合いを避けるために、あらゆる手を尽くしている。しかしながら、イスラエル人は、時間が自分たちの味方ではないこと、パレスチナ人との交渉は早ければ早いほどよいことを理解していない。

イスラエルの態度は、自分たちが優位に立ち、パレスチナ人に自分たちに都合のいい解決策を押し付けることができると考えていることから生じている。問題は、ベテランジャーナリストのギデオン・レヴィ氏が述べているように、イスラエル人は狭い世界で生きており、自分たちがパレスチナ人に与えている残虐行為に気づいていないということだ。自分たちだけの世界に生きているイスラエル人は、自分たちが不利な立場にあることに気づいていない。3つの要因がイスラエルに不利に働いている。イスラエルに対する世界的な認識の変化、敵の能力の増大、そしてイスラエル社会の内部分裂である。

10年前には、パレスチナを支持する大規模な抗議行動を目撃するなど誰も想像できなかった。パレスチナ問題は、もはや二者間の対立としてではなく、「社会正義」のレンズを通して見られるようになった。パレスチナやパレスチナ人とは何の関係もない世界中の人々が、自分たちが不正義とみなすものに対して反対の立場をとっている。イスラエルは国際的な同情を失った。イスラエルはホロコーストから逃れてきたユダヤ人の避難所であるという認識は、先住民を服従させる植民地支配国であるという見方に取って代わられた。

ガザ紛争に抗議して辞任した国連人権担当官のクレイグ・モキバー氏は、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺は、民族主義的、植民地入植者的なイデオロギーによって引き起こされていると述べた。パレスチナの民間人がより多く殺されるほどに、こうした見方はますます強くなるだろう。西側の政治エリートはイスラエルに対して同情的だが、草の根、特に若い世代は同じ見方を共有していない。イスラエルにとって悪いニュースは、政治的変化は社会的変化に従うということだ。したがって、イスラエルへの国際的な支持の中心的存在であるアメリカでさえ、特に民主党の議員の間で状況は変わりそうである。ジョー・バイデン大統領は、イスラエルを支持する最後のアメリカ大統領になるかもしれない。アメリカや欧州の支持がなくなったとき、イスラエルはどうするのだろうか。欧州連合(EU)の外務・安全保障政策上級代表であるジョセップ・ボレル氏は、イスラエルが国際法に違反していると率直に非難した。

自分たちだけの世界に生きているイスラエル人は、自分たちが不利な立場に置かれていることに気づいていない。

デイニア・コライラット・ハティーブ博士

第二の理由は、イスラエルの敵や潜在的な敵対勢力の能力が高まっているということだ。10月7日の攻撃は、ハマスの能力をイスラエル人に見せつけた。それは大きな衝撃であったと同時に、新たな現実への警鐘でもあった。イスラエルの敵はますます強くなっているという現実である。ハマスのある幹部は、10月7日の再来を誓った。もし再発すれば、襲撃はさらに残忍なものになるだろう。ハマスは弱い敵と見られている。ハマスはガザに閉じこもり、17年間も包囲されている。これは、レバノンで自由に活動しながら、はるかに発達した能力とイランとの直接的なつながりを持つヒズボラとは大きく異なる。この過激派グループは 15万発のミサイルを保有しており、その多くは精密誘導式である。

イランも防衛能力を向上させている。トルコでは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がイスラエルにその罪を償わせると宣言している。パレスチナ支援デモの際、エルドアン大統領の支持者たちは、トルコ軍兵士のガザへの派遣要求を唱えた。イスラエル人はこれをどう考えるだろうか。

イスラエルは、隣国に対する技術的競争力を持たないという新たな現実と折り合いをつけなければならない。トルコ製の無人機はリビア戦争の流れを変えることができた。この地域の国々は、いつかイスラエルを脅かす可能性のある兵器を製造している。イスラエルはもはや、自分たちがこの地域の誰よりも強く先進的であり、それゆえに自分たちの条件を課すことができるという事実に頼ることはできない。イスラエルには以前のような抑止力はなく、自国の安全を保証するためには和平協定が必要である。

第三の理由は、イスラエル社会の内部分裂である。現在は「国旗の下への結集」の効果が見られるが、戦争が終われば分裂が再燃し、さらに拡大する可能性が高い。これらの理由から、イスラエル側には時間がない。国連決議や一般に受け入れられている規範に従って、パレスチナ人と和平を結ぶ方が得策だ。そうすればイスラエルは受け入れられ、近隣諸国、さらにはイランとも良好な関係を築くことができる。もしイスラエルがパレスチナ人との公正な和解に達すれば、イラン政府はそれを受け入れざるを得ないだろう。

和平が実現すれば、イスラエルは内部分裂を修復し、国家の結束を高めることができる。イスラエル人は南アフリカを思い浮かべるべきだ。白人市民は非常に良い取引を行なった。富の分配はほとんどなかった。これは主に、南アフリカが早い段階で2つのことに気づいたからだ。 国際社会はもはや自分たちを支持しないだろうということと、もはや黒人市民をなだめることはできないということである。白人市民は、自分たちが権力の座にあり、有利な条件を得られるうちに取引を成立させた。

イスラエル人は、時間が彼らの味方ではないことを認識すべきだ。待てば待つほど、パレスチナ人を服従させ続けるほど、イスラエルの立場は弱くなる。10年後にほとんど、あるいはまったく支持されなくなる前に、そして、まだアメリカの支持がある今のうちに協定を結んでおくほうが断然得策である。

  • デイニア・コライラット・
  • ハティーブ博士
  • はアメリカとアラブ関係の専門家で、ロビー活動を中心としている。同博士は、トラックIIに焦点を当てたレバノンのNGO「協力と平和構築のための研究センター(Research Center for Cooperation and Peace Building)」の共同設立者である。
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