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今こそイスラエルは交渉すべき

日が経つにつれ、民間人の死者が増えるにつれ、世界の世論はイスラエルに反感を抱くようになっている。(File/AFP)
日が経つにつれ、民間人の死者が増えるにつれ、世界の世論はイスラエルに反感を抱くようになっている。(File/AFP)
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25 Jan 2024 05:01:35 GMT9

22日、ガザでイスラエル兵24人が死亡した。そのうち21人は1回の待ち伏せ攻撃によるものだ。明らかにハマスは弱体化していない。ガザ地区で2万5000人以上(そのうち3分の2は女性と子供だ)を殺害したイスラエルの爆撃作戦は、敵の隊列に被害を与えるハマスの能力には影響を与えていないのだ。イスラエル軍はハマスの壊滅に失敗したことは非常に明らかだ。イスラエルは、自らの政策が機能していないことを認識すべき時が来たのではないか。救えるものを救い、交渉すべき時が来たのではないだろうか。

時間が経てば経つほど、そしてイスラエルが戦争犯罪――女性や子どもの殺害から学校や病院への砲撃、ジャーナリストの標的化まで――を犯せば犯すほど、同国が失うものは大きくなる。これまでのところ、10月7日以来76人のパレスチナ人ジャーナリストが殺されている。もちろんイスラエルは、ガザで行っている残虐行為が暴かれることを望んでいない。これは弱さの表れであり、強さの表れではない。実際、時が経つにつれ、イスラエルはますますその弱さを露呈している。

一時は中東最強と謳われた強大なイスラエル軍も、17年間も包囲してきたはずの武装民兵さえ制御できていない。日が経つにつれ、民間人の死者が増えるにつれ、世界の世論はイスラエルに反感を抱くようになっている。EUのジョセップ・ボレル氏は今週、イスラエルの計画は機能しておらず、何世代にもわたって続くであろう「憎しみの種をまいている」と率直に批判した。

イスラエルは、イタマル・ベングビール氏とベザレル・スモトリッチ氏による、ガザ住民を彼らの土地から追放するという計画以外、ガザに対する計画をいまだに打ち出していない。しかし、パレスチナ人は「ナクバ」から学んでいる。もし彼らが去れば、二度と戻ることはできない。もし彼らが去れば、パレスチナ人としての存在は終わる。パレスチナ人ほど粘り強い民族は少ない。爆弾は彼らを止めることはできない。イスラエルは、スモトリッチ氏が提案したように、ガザの人口を10万人〜20万人に減らすことは実現しないと認めなければならない。

日が経つにつれ、民間人の死者が増えるにつれ、世界の世論はイスラエルに反感を抱くようになっている。

ダニア・コレイラト・ハティブ博士

イスラエルには何の計画もないようだ。ただ爆撃を続けている。負け続けるギャンブラーのように、いつかはすべてを取り戻せるだろうと、倍掛けを止めないのだ。イスラエルは負け続けている。イスラエルは兵士を失っている。人質の家族は、政府が愛する家族を取り戻すことよりも自分たちの政治生命の維持を優先していることに怒り、社会的結束は失われつつある。国際的な地位も同様だ。イスラエル国民は皆、自国のネガティブなイメージに苦しむことになる。旅行するとき、ビジネスをするとき、子供たちを海外に送り出すときにその影響を受けることになる。

それでも、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は自らの立場を強化している。彼は20日、イスラエルが川から海まですべての領土を維持し、パレスチナ国家は存在しないと表明した。彼は今や公然と、ジョー・バイデン米大統領と対立している。

米上院外交委員会のメンバーであるクリス・ヴァン・ホーレン上院議員はインタビューの中で、ネタニヤフ首相は民間人の犠牲を減らすようにという米国の要請を守らず、人道的大惨事は「悲惨な状況が、さらに悲惨に」になりつつあると明言した。彼はイスラエル首相を直接批判し、人質救出よりも自分の立場を優先していると述べた。彼はまた、今こそ停戦の時であり、バイデン氏は「大きく、そして大胆に」二国家解決に向かうビジョンを打ち出す必要があると述べた。

イスラエルにとってすべてが裏目に出ている時こそ、彼らはこうした声に耳を傾けるべきではないだろうか。現実的になる時ではないだろうか。イスラエルは自滅しつつあるが、パレスチナ側は回復力を見せている。それでもイスラエルは、過激主義的で非現実的な目標にしがみつき、合理的な解決策を拒んでいる。

それでもイスラエルは、過激主義的で非現実的な目標にしがみつき、合理的な解決策を拒んでいる。

ダニア・コレイラト・ハティブ博士

CIA長官は、カタール、エジプトとともに、非常に合理的な計画をまとめた。計画では、イスラエルはガザ地区から撤退し、人質と囚人の交換を行い、多国籍軍がガザ地区を掌握し、テクノクラート政府がガザ地区の民政を担うべきとしている。合法的とみなされる勢力がガザを掌握し、基本的なサービスが提供されれば、ハマスを支援する社会的インキュベーターを枯渇させるのに役立つだろう。人々に希望が与えられれば、ハマスにしがみつくことはなくなる。そうなれば、人質の帰還も可能になるだろう。

残念ながら、ネタニヤフ首相はまだ幻想を抱いている。彼は状況をコントロールできると思っていが、そうではない。今こそ交渉の時なのだ。彼は、戦争の終結が自分の退陣を意味することをよく知っている。戦争は彼の退陣を遅らせるかもしれないが、待てば待つほど彼の状況は厳しいものになる。彼はいずれ去らなければならないことを知っているが、人質が戻ってくるという取引が成立すれば、少なくとも彼にとって有利な状況ができる。これまでに少なくとも25人の人質が、おそらくはイスラエルの爆撃により死亡している。イスラエル軍は1人の人質しか解放できていない。家々を訪ねて人質を探すことは非常に困難だ。そして、ハマスも降伏しないだろう。

EUのボレル氏は、イスラエルが好むと好まざるとにかかわらず、前進する唯一の道は二国家解決策だと述べた。彼は、「他にどんな解決策があるのだろうか?パレスチナ人全員を去らせるのか?パレスチナ人を皆殺しにするのか?」と疑問を投げかけた。ボレル氏が発した厳しい批判は、イスラエルが応じなければ制裁するという、遠回しの警告なのだろうか。制裁はイスラエルにとって致命的だろう。この国は特にヨーロッパとの経済的統合が非常に進んでいる。

国際司法裁判所(ICJ)は数日中に、南アフリカがイスラエルに対して起こしたジェノサイドに関する申し立てについて、暫定的な判決を下すことになっている。これはイスラエルに膨大な圧力を与えるだろう。それでも政府は、現実的で実行可能な解決策を提示することよりも、自分たちの強さを示すことに関心があるらしい。今こそ交渉の時だ。キャメロン英外相は今週中東に戻り、戦闘の持続的な一時停止の必要性と、その後の敵対行為への復帰は困難であること、そして二国家解決策を受け入れる必要性について、イスラエルを説得することを望んでいる。しかし、ネタニヤフ氏は耳を傾けるだろうか?

  • ダニア・コレイラト・ハティブ博士は、ロビー活動を中心とした米国とアラブの関係の専門家である。トラックII(非国家主体)に焦点を当てたレバノンのNGO「協力と平和構築のための研究センター(RCCP)」の共同設立者。
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