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ガザのイスラエル企業、空気から飲料水を作り出す

ガザ地区南部のハーン・ユーニスにある、空気から直接飲料水を抽出する水生成装置。太陽エネルギーを動力源とする。2020年11月16日撮影。(AFP通信)
ガザ地区南部のハーン・ユーニスにある、空気から直接飲料水を抽出する水生成装置。太陽エネルギーを動力源とする。2020年11月16日撮影。(AFP通信)
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06 Jan 2021 06:01:09 GMT9
06 Jan 2021 06:01:09 GMT9
  • この技術はソーラーパネルで稼働し、輸入燃料を必要としないため、ガザに適している

ガザ市:人口密度の高いガザ地区では、長い間十分な飲料水が不足していた。しかし、ある新しいプロジェクトは、太陽光発電を利用して空気中から直接飲料水を抽出することで、水不足の解消を助けている。

珍しいことに、このプロジェクトは、2007年からイスラエルによって封鎖されている、イスラム教徒が統治するパレスチナ人居住地で運営されている。プロジェクトを発案したのは、ロシア系イスラエル人の億万長者、マイケル・ミリラシビリ氏だ。

同氏が率いる会社「Watergen」は、空気の湿度に応じて、1日あたり5,000〜6,000リットル(1,300〜1,500ガロン以上)の飲料水を生成できる大気水生成装置を開発した。

ガザで稼働しているのはわずか数台で、Watergenがイスラエル、エジプト、地中海の間に挟まれ、混み合った沿岸の居住地に住む200万人の需要を満たすにはほど遠い。

「しかし、これは始まりです」と、イスラエルの企業はガザで仕事ができないため、代わりに装置の1つを運営するパレスチナの市民社会グループ「Damour」のエンジニアであるファティ・シェイク・ハリル氏は述べた。

深刻な経済的苦境と定期的な電力不足に悩まされている同地区では、また何年にもわたって悪化している水問題にも直面している。

使い古された帯水層は、塩水の侵入によって劣化し、汚染物質によって汚染されている。そのため、利用可能な水のほとんどは塩辛くて飲むのには危険であり、ボトル入りの水を輸入せざるをえない。

国連によると、ガザの水で国際基準を満たしているのはわずか3%しかない。国連は2012年に、生態学的な圧力によってガザが今頃はもう「住むのに適しない」状態になると予測していた。

複数の研究では、ガザにおける腎臓結石の増加率と下痢の発生率の高さは、基準以下の水の消費量と関係していることを示している。

大規模な海水淡水化プラントを支援している欧州連合を含め、複数の関係者が水不足の解決に取り組んでいる。

Watergenのオフィスは、ガザから北へ約80 km(50マイル)にあるテルアビブのガラスの塔の中にある。

ミリラシビリ氏は、2009年にイスラエルに移住した後、Watergenを買収し、それ以来、同社の装置を80か国以上に輸出している。

この同社のCEO兼社長は、後に欧州司法裁判所が欠陥があると認定した裁判で誘拐の有罪判決を受け、ロシアの刑務所に入っていた時期もあるなど、多彩な経歴を持っている。

ミリラシビリ氏はAFP通信に対し、ガザの水問題を知ったとき、すぐに助けたいと思ったと述べた。

「私たちの目標は、地球上のすべての人に飲める水を供給できるようにすることでした… 最初に隣人を助けなければならないことは、すぐにはっきりしました」

イスラエルはガザへの輸入を厳しく管理しており、ミリラシビリ氏は自身の装置が承認されるまでに「時間がかかった」ことを認めた。

イスラエル軍は「このアイデアを気に入ったが、装置をチェックする必要があった」と同氏は語った。

Watergenの技術はソーラーパネルで動くため、ガザに適している。というのは、ガザにある1つの発電所は輸入燃料を必要とし、それだけでは需要を満たす能力を欠いているからだ。

ミリラシビリ氏は、イスラエル人が同地区に入るのを禁じられているため、自身の装置が動いているのを直接見ることができないと嘆いた。

Watergenは、それぞれ61,000ドルの費用がかかる2台の装置をガザに寄付した。

3台目の装置は、イスラエル南部のキブツに拠点を置くアラバ環境研究所からガザに送られた。

装置の1つは、作動時に轟音を鳴らす金属製の立方体で、ガザ南部のハーン・ユーニスの市庁舎に設置されている。

この装置は、湿気を捕らえた後、それを水に凝縮し、ろ過してすぐに飲める水にする。

パレスチナのグループDamourのハリル氏によると、空気の湿度水準が65%を超えると、Watergenの装置は1日あたり約5,000リットルの飲料水を作ることができるという。

湿度水準が90%を超えると、さらに1,000リットルを生成できる。

ハリル氏によると、水の一部は市役所の職員が使い、一部は腎臓に問題のある患者のために地元の病院に運ばれているという。

「1台や2台の装置だけでは何も変わりません」と同氏はAFP通信に語った。しかし、「装置の存在は、解決策があることを示しています」

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