
ドバイ:6月15日(火)、イラン政府は最高60%まで濃縮したウラン6.5 kg (14 lb)を生産したと発表した。核原料物質を核兵器グレードの濃度90%へ向けてさらに一段階引き上げ、世界の列強との核協議に揺さぶりをかけるような同国の動きについて詳細を明らかにした。
イラン国営メディアは、イランが濃度20%の濃縮ウラン108kgもすでに生産済みだという政府報道官アリ・ラビエイ氏の発言を引用しており、濃縮プロセスを考案したイランの法律に規定されている以上のスピードで核開発が進められていることをしめしている。
イランによると、同国は4月に最高60%までのウラン濃縮を開始するとし、これにより原子爆弾仕様の濃度90%へ一段と接近することになった。この動きに先立ち、イランは宿敵イスラエルがイランの主要核施設に対して妨害行為を仕掛けたと非難していた。
6月15日(火)の発表があった時、イランと米国はウィーンで核合意に関する間接協議を行っており、イランと世界の列強との間で締結された2015年の核合意を復活させる方法を模索していた。
強硬路線のイラン議会は、昨年政府に核開発に対する姿勢をさらに硬化させる法案を可決した。これはドナルド・トランプ前大統領が2018年に核合意から撤退したことへの反発の意味もあった。
トランプ前大統領の核合意撤退により、イランはその協定がイランの核開発プログラムに対して規定する制約を次々と逸脱していった。核合意はイランの核爆弾開発を困難にするために考えられたものだが、イラン政府は核爆弾開発の意図を否定している。
「議会の法律の下では、原子力機関は濃度20%の濃縮ウランを年間120kg生産することになっている。最新の報告書によれば、我々は過去5ヶ月間に濃度20%の濃縮ウランを108kgしか生産していない」とラビエイ氏が発言しているという。
「濃度60%の濃縮ウランの生産については、短期間でのことであり、約6.5kgだった」とラビエイ氏は述べている。
5月に発表されたイランの核開発活動に関する国連核監視機関の四半期報告書によると、5月22日時点でイランは最高20%までの濃縮ウランを62.8kg、60%までの濃縮ウランを2.4kg生産しており、次のレベルは2%から5%の濃縮とされる。
ロイター