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タリバンの女性蔑視は悲惨な結果を招く

カブールの大学にて、タリバンの警備員に止められるアフガニスタンの女子大学生。(AFP)
カブールの大学にて、タリバンの警備員に止められるアフガニスタンの女子大学生。(AFP)
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29 Dec 2022 09:12:43 GMT9

国連安全保障理事会は27日、タリバンが女性の大学への出席および人道支援グループへの活動参加を禁止したことを批難した。

国連安保理は、アフガニスタンの女性および少女たちの「完全、平等、有意義」な参加を呼びかけた。

国連安保理は、アフガニスタンにおける女性および少女たちの高等教育からの排除は、「人権および基本的自由への尊重の衰退を示すものである」と述べた。また、女性の支援活動への参加禁止も「同国における人道的活動への重大かつ即時的な影響をもたらす」と同声明は述べている。

今回の安保理の声明は、常任理事国5カ国を含め国際的な意見が一致している稀な一例である。

24日のタリバン経済省による発表を受け、少なくとも一時的にアフガニスタンでの活動を停止または縮小させる主要な非政府支援グループの数が増えている。これは、特にアフガニスタンの世帯に直接対応を行っている主要スタッフの多くが女性であるためだ。

英国を拠点とするセーブ・ザ・チルドレン、ノルウェー難民評議会(NRC)、ジュネーブを拠点とするケア・インターナショナル、米国を拠点とする国際救済委員会は24日、今回の声明のさらなる明確化を求める一方、支援プログラムを一時中断すると述べた。

NRCは、アフガニスタンで女性500人を含む約1,500人のスタッフを採用している。

国際救済委員会は、アフガニスタンにおけるスタッフの3,000人以上が女性だ。

バーミンガムを拠点とするイスラミック・リリーフ・ワールドワイドも、非人命救助活動を一時中断すると発表した。

NGO不在の状況では、特に必要性の高い支援を提供する負担を国連機関が負うことになるが、人道支援活動への女性の参加が断たれることで、その中心である国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)をはじめ、彼らの活動にも影響が出る可能性は高い。

2021年8月に実権を握ったタリバンは、女性および少女たちが引き続き教育を受け、労働に参加することを認めると約束していた。

タリバンがこの約束を守り、前回彼らがアフガニスタンで実権を握っていた1996年から2001年の間に打ち出したような反女性政策に逆戻りしないことを、アフガニスタンおよび国際コミュニティの多くの人々が期待した。

タリバンは実権を握って以来、アフガニスタン国民、そして国連、イスラム協力機構、湾岸協力会議(GCC)をはじめとする地域および国際的な仲介者らに対し、1990年代のような抑圧的な政策に立ち戻ったり、女性の労働あるいは教育を禁止したりするような意図はないことを改めて確認してきた。

しかしこの数カ月でそうした約束が嘘であったことが明らかになり、タリバンはこの20年間でアフガニスタンの女性たちが勝ち取ってきたものを徐々に損なっている。

この過程において、こうした反女性政策は明確な人権侵害を引き起こしている。

またタリバンは、アフガニスタンの人口の半分に対する教育および労働の機会を否定することにより、同国の経済的な先行きも脅かしているのである。

最も直接的なところでは、女性の支援活動への参加を禁止し、国際的な支援の動きを麻痺させるというタリバンの行動は、深刻な人道状況を悪化させている。

タリバンの指導者らは、今回の新たな抑圧に関する最近の不可解かつ複雑な正当化の動きのなかで、イスラムの伝統に則った厳格な措置であることを打ち出そうとしたが、彼らの誤った主張は世界中のイスラム諸国および組織から即座に否定されることとなった。

サウジアラビアの最高宗教機関である高位聖職者評議会は12月24日に声明を発表し、教育へのアクセスはイスラムにおける女性の基本的権利のひとつであると述べ、タリバンに対して警告を与え、今回の禁止措置の撤回を求めた。

カイロに本部を置くイスラム世界の最高宗教機関であるアル=アズハル大学の学長も前日23日に同様の声明を発表しており、タリバンの動きを批難し、「イスラムにおいて女性の教育を禁止することが認められているという主張を信じること、あるいは受け入れること」に対する警告を発した。また同声明は、タリバンの主張を「でっち上げ」だとしている。

サウジアラビアおよびその他の主要イスラム諸国も足並みを揃え、タリバンの動きは女性蔑視と男性優越主義の産物であり、イスラムの教義または伝統とはほとんど関係のないものであることを明確に示した。

女性蔑視的な政策をここまで厚かましく打ち出しているのはほぼタリバンだけだ。他国の政府はそういったものについてはうわべを取り繕ったり、隠そうとしたりしているからだ。

今、女性に対する不当な扱いという点で2つの国が突出している。それはイランとタリバンが支配するアフガニスタンだ。

前者は、女性の服装や公共空間での行動に課せられた時代遅れな制約を廃止するよう求めて女性たちが主導して行っている抗議活動を弾圧しており、後者は女性の移動、教育、労働に対する制約を厳格化する方向に動いている。

両国共に、そうした政策を実行するために極端な措置を取っている。イランは抗議活動の参加者を処刑し、北西部のクルド人、南部のバロチスタン人を含めたコミュニティに対して集団的な罰則を課している。

26日には、イラン当局の命令により、同国の元サッカー選手であるアリ・ダエイ氏の家族が搭乗していたドバイ行きの航空機が着陸させられ、ダエイ氏の家族が降機させられるという事件が起きた。ダエイ氏は、イランの抗議活動を支持しているとされている。

タリバンは反対者たちをあざ笑っているかのようだ。実際、今回の女性の大学教育停止は、先週、国連安保理がアフガニスタンについて意見交換を行うためにニューヨークで会合を開いているなかで発表されたのである。

アフガニスタンの近隣諸国をはじめ、ほぼすべての外部勢力はタリバンの支配を政治的に承認することを控えており、何らかの承認を行うかどうかは特に女性、包括的な政府の形成、そしてテロとの戦いに関するタリバンの動きにかかっていることを明確化している。

ロシアや中国をはじめ、一部の国はタリバンとの大規模な経済取引を維持している。

その他の国や組織は、タリバンがいずれは見解を軟化させるのではないかという希望を抱いてきた。だが今回の逆行により、そうした希望を持ち続けることは難しくなっている。

いかにしてアフガニスタンの人々を支援しつつ、女性に対する厳格な制約への批難をタリバンに受け止めさせるのかというのが、世界が直面しているジレンマだ。

事実上タリバンは、アフガニスタンの約4,000万人の人々を人質に取っているのである。

先週、国連援助活動の職員は国連安保理において、アフガニスタン国民の97%が貧困の中で生活し、人口の3分の2が生きていくために支援を必要としており、2,000万人が深刻な飢餓に直面していると述べた。

こうした分野での女性の労働の禁止によって人道支援の撤退または縮小が起きれば、アフガニスタンで支援を必要としている人々の生活が脅かされる。

ここ最近の厳格な措置により、タリバン支配に対する抵抗は強まり、拡大していく一方である。

アフガニスタンの安定、団結、社会的結束、経済的健全性のすべてが懸かっているのである。

アフガニスタンの友人たちはこのジレンマにいかにして対応するのかということについて、連携した取り組みを行っていく必要がある。

来年1月に行われるGCC主催の会合では、今回のような新たな措置がアフガニスタンにおいて困難な状況にある人々への支援提供にどのような影響を及ぼすのか、ということに焦点が当たるのは間違いないだろう。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグ博士は湾岸協力会議(GCC)政治・交渉局次長、アラブニュースのコラムニスト。本記事で表明されている見解は個人的なものであり、必ずしもGCCの見解を代弁するものではない。Twitter: @abuhamad1
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