クリストファー・ハミル・スチュワート
ロンドン:シリア国内の避難民の大半が、行き届かない宿泊施設と食料の不足のために厳しい冬に直面する。シリアとレバノンで活動している人道支援組織が警告した。
シリア・リリーフは、普段でも過酷な冬が、国の経済危機で燃料と食料の価格が高騰したことでさらに深刻化すると述べた。
シリア・リリーフが行った調査によると、シリア北部の国内避難民(IDP)の中で、現状の宿泊施設で冬季に十分耐えられると考えているのはわずか29%だ。シリア・リリーフは、戦争で荒廃した国で救命援助と人道的介入を行っている。
シリア・リリーフがアレッポ、イドリブ、レバノン各地で1,000人以上に行った調査によると、レバノンに非公式につくられた入植地に住むシリア難民のその数字は52%と高くなっている。
シリアの回答者の約3人に1人が、身近に寒さのために死んだり体調を崩したりした人がいると答えている。
シリア・リリーフのオスマン・モクベル最高責任者はアラブニュースに語った。「現地で活動している私たちは、全員この冬場を非常に危惧しています」
モクベル氏は言った。「シリアとレバノンは暑いと誤解されることが多いのですが、冬の数カ月間、特に多くの難民が滞在し、IDPキャンプがある山間部の高地では、気温は常に氷点下です。気温がマイナス10度まで下がる可能性があるので、冬はシリアのIDPやテントに暮らす難民にとって大きな脅威です」
シリアの経済崩壊は年々悪化しており、この冬は今までで最も厳しい時期になる、とモクベル氏は語った。
「昨冬、国連は、シリア人の80%が貧困状態にあると推計しました。現在ではそれが90%になっています。人道支援に頼って生活するシリア人は1,340万人にのぼっています」
「ただ生存のために、何百万人ものシリア人が暖をとるストーブの燃料を必要としています。しかし、それは高価になっていて、経済状況から多くの家庭では燃料の確保がかつてないほど困難になっています」
「凍死を防げるだけの燃料を買うために、テントに住むほとんどの家族は別の犠牲を払わなければなりません。何も食べない、子どもに何も食べさせられない、数日間、全員が食料なしで過ごすといったことです」
モクベル氏は、英国などの西側諸国は、このシリア人の苦しみを和らげる対策を取れるはずだと説明した。
「特に英国は、援助予算を削らず、むしろシリアの避難民のためにもっと多くの資金を投入してほしいと思います。このシリアの人々はすでに世界でも特に弱い立場にいる人たちなのですから」