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中国へのストレステストとなったコロナウィルス

25 Feb 2020
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政治的リスクについての従来の考え方では、中国は何の苦労もなく超大国の地位に上っているとされていますが、私はこの考え方に対してはずっと懐疑的でした。中国は自らの世界的な支配への行進を遅らせ、またおそらくは停止さえさせてしまうような経済的、人口学的、政治的、そして地政学的な無数の問題に直面しています。

中国当局が、愕然とする世界に対してコロナウィルスの大流行を発表する以前からですらそうでした。そしてこのコロナウィルスの大流行が、中国のシステムに対する、他に類を見ないストレステストとなっていることが証明されています。

毛沢東の文化大革命の混乱の後、当時の最高位指導者だった鄧小平は、20世紀後半の世界で最も重要な人物でありながら世界のほとんどに何も知られていない人物といえます。同氏は、自らの政党の思想的な主張を、資本主義および国家主義に対する過激な共産主義から、中国歴代の各王朝の支配権を正当化してきた「天命」へと移しました。共産党の政治的正当性はもはやイデオロギー的な熱情ではなくなり、重商主義の優れた能力および国家威信という根本的な中国の文化的特徴に基づいたものになりました。

1978年12月に鄧が中国経済を開放し、それに続く経済的な偉業によって天命が完全に移動しました。1989年の弾圧に続いて、30年にわたる著しい資本主義に加速された経済成長、そして国際的な舞台における強く増進された自信のある役割のために、外から見る限りでは共産党の正当性は疑問の余地がなくなったように見えました。

ストレステストを受けた中国のシステムに不足していることがわかりました。つまり、中国のシステムはそれほど有能ではない、ということです。

ジョン・C・フルスマン博士

それも現在までのことです。中国は最近、経済的にも香港に対しても減速していますが、その後退の根底にあるのはおそらく、党のサポーターらが宣言するほど、または敵が恐れるほどは優れていないという成長し続け、頭から離れない不安です。

その血まみれの歴史を考えると、中国共産党を積極的に愛している人はほとんどいないと言っても過言ではなく、むしろ継続的な経済成長と地政学的な勢力の増大の両方の観点から、商品を生産する限りにおいてのみ許容されるといえます。この能力に基づいた考え方に異議が出され、天命という支柱が深刻に揺らいだ場合、中国共産党には逃げ道がなくなります。

そしてコロナウィルスの登場です。その多くは謎に包まれていますが、判明していることも相当あります。このウィルスは哺乳類に由来し、華南海鮮市場が感染源である可能性があります。コロナウィルスはウィルス性肺炎を引き起こし、高齢者や体が弱い者は特に感染しやすくなります。その治療に抗生物質は役に立たず、感染を抑えるためのワクチンは依然として開発中であり、回復は主に感染者の免疫力の強さに頼っています。

ウィルスは人から人への接触によって感染する可能性があり、死亡率は2%未満です。2月中旬の時点では75,000人が感染し(圧倒的多数は中国国内)、2,000人以上が死亡しています。現在の重要な問題は、人と人の間での感染のしやすさです。明らかなことは、大流行する可能性があるということです。

また少なくとも最初は、犯罪的に無能力だとしか言い表せないレベルで、中国共産党が大流行に対する対応を怠ったことも知られています。

12月上旬、故人となった李文亮医師および彼の同僚らが、大流行の中心である武漢において不可解な新しい疾患について初めて警告を発した際、同党はいつも通りの秘密主義的なやり方で新しく発生した事実を検閲し、かつ内部告発者らを制圧し、反社会的行動を強制的に「自白」させました。そうすることにより、危険が差し迫っていることを世界に警告することもできたはずの貴重な7週間を無駄にしました。

公衆衛生に関する緊急事態においては、通常、最大限の対応ができるようにするため、関係する政府によるタイムリーで透明、かつ正確な情報を必要とします。しかしこのような資質は、閉鎖的な中国のシステムではなく、劣るとされているオープンな社会に関するものです。さらに悪いことには、ストレステストを受けた中国のシステムに不足していることがわかりました。つまり、中国はそれほど有能ではない、ということです。 

衝撃的で素晴らしいテレビ連続番組「チェルノブイリ」を、私は観終えたばかりです。過去をふり返ると、(実際にはいかなる大災害についてもいえることですが)あの大災害は、与党が直面せざるをえない問題が何であったとしても、あっという間にそれに対する究極の政治的な試金石になる、ということが容易に理解できます。後期のソビエト連邦がそのテストに不合格したことは、疑う余地もありません。チェルノブイリの後、ソビエトの権限のうわべさえ剥がれ落ち、そしてそれと共にロシア政治局自体の天命さえも失われました。

チェルノブイリでの原発事故が起きるよりもずっと前の時点でソ連の経済はすでに崩壊寸前たったため、ソ連との類似点で説明できるのはここまでです。しかしコロナウィルスが最終的に、習近平率いる中国に対して同様の運命をもたらす可能性があることを指し示す、いくつかの兆候があります。

李氏の死後には苦悩や激しい怒りの意見が声に出されており、その一方で、前線で働く勇敢な医療職員を犠牲にして、地元の共産党党員らが身勝手なことに、深刻なまでに不足しているマスクや防護服をため込んでいたという話が糾弾をひき起こしています。また中国経済がすでに減速し、かつ米国との貿易戦争が続いている時期において、その経済的影響も深刻になるでしょう。

コロナウィルスによって、差し迫った副次的影響だけではなく、中国共産党が有能であるという主張もまた、犠牲になる可能性があります。

ジョンC.ハルスマン博士は、有名で世界的な政治的リスクのコンサルティング企業であるJohn C. Hulsman Enterprisesの社長兼、業務執行社員です。 また、ロンドン市の新聞、City AMの上級コラムニストも務めています。同博士には、www.chartwellspeakers.comから連絡することができます。

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