• トマー・バー空軍総司令官は、自軍が「警戒と準備」を怠らない必要があると述べた
• ベンヤミン・ネタニヤフ首相が裁判所の独立性を抑制しているとデモ隊は非難

エルサレム：イスラエルの空軍のトップは金曜日、司法の全面改革によって引き起こされた政治危機を国家の敵が利用する可能性があると述べた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、それが民主主義を損なうものではないと否定している。

ネタニヤフ首相による改革案の第一弾が月曜日に国会で可決され、政府や閣僚による「不合理な」決定を無効とする最高裁判所の権限が剥奪された。これを受け、トマー・バー司令官は、自軍が「警戒と準備」を怠らない必要があると述べた。「このような時期に、彼ら（イスラエルの敵）が国境、そして我々の結束と警戒心を試すことを試みる可能性がある」と、バー氏は、金曜日に発表された声明で自軍に向けて述べた。同氏は発言の詳細については説明していない。

ネタニヤフ首相とその右派政権が進めているこの大改革は、7ヶ月に及ぶ危機を同国にもたらしている。前例のない抗議を引き起こし、深い社会的分裂を引き起こし、一部の予備役軍人の忠誠心を試している。

抗議者たちは、ネタニヤフ首相が裁判所の独立性を制限しようとしていると非難している。首相が贈賄に関する裁判で無罪を主張する一方で、抗議者たちのリーダーの一人であるエラン・シュワルツ氏は、デモは土曜日にも続き、150カ所で行動が計画されていると発言した。

月曜の投票後の危機がエスカレートする中、イスラエルメディア「Ynet News」によると、ネタニヤフ首相は、司法改革による深刻な安全保障上の影響を警告する軍事情報から、少なくとも4通の手紙を受け取ったと報じた。

報道によると、イスラエルの敵、特にイランと、そのレバノンにおける代理勢力であるヒズボラは、この危機をイスラエルの歴史上最も脆弱な状態だと見なしている、と諜報部高官は述べたという。

内閣報道官はコメントを拒否している。

ネタニヤフ首相は木曜深夜、複数の米メディアのインタビューに応じ、攻勢に転じた。

ABCニュースの取材に応じたネタニヤフ首相は、正式な憲法として機能するイスラエルの基本法のひとつを改正したのは、「活動家」的な裁判所に対する「小さな修正」だと発言した。

「イスラエルにおける民主主義の終焉と表現されているが、それは馬鹿げている。時期が来れば、誰もが理解するだろう」と、彼は述べた。

CNNで、ネタニヤフ首相は、月曜日の修正案を破棄する可能性のある最高裁判所の判決に従うかどうかという質問に答えることを避けた。

野党党首のベニー・ガンツ氏は、ネタニヤフ首相が裁判所の判決に従わないなら、「ネタニヤフは司法クーデターの実行者になる」と発言した。

デモ参加者によると、この改正に反対する意思を表明するため、兵役を拒否する予備役が増えているという。軍部は、兵役拒否の要求が増加していることを認めており、これが長期化すれば、戦闘準備態勢に徐々にダメージが及ぶだろうと述べている。

抗議のリーダーであるシュワルツ氏は、アーミー・ラジオ（Army Radio）に対し、国会が夏の間休会することに言及した。「閣僚や議員たちは、このような恐ろしい瞬間に向かって我々を追い立てている時に、休むことを許されるべきではない」

政治監視団体は、最高裁に新法の破棄を申し立てている。9月に最高裁が弁論を行う際には、政府間における対立への道が開かれることになる。

この法廷闘争は来週木曜日に始まる可能性がある。最高裁判所は同日、3月に批准された連立法案に対する控訴を聞く予定だ。その法案は、首相をその職務から解任する条件を制限している。

イスラエルの民主主義の基盤は比較的脆弱であり、最高裁判所は市民の権利と法の支配を保護するために極めて重要とされている。イスラエルには憲法はなく、政府は1院制の議会（クネセト）で64対56の多数を持ち、大統領の役職は大部分が儀式的なものだ。

首相は、今回の変更で政府の各部門のバランスが取れると主張している。同氏は今回の抗議デモについて、彼の民主的な任務を阻害するためのものだと述べている。

ネタニヤフ首相の計画は外国人投資家の逃避を誘発し、経済に打撃を与えている。S&P グローバル・レーティングは、国内の政治的不確実性の高まりは、今年の経済成長を低下させるだろうとレポートで指摘した。

この司法改革の推進、およびパレスチナ人が国家樹立を目指す占領地におけるユダヤ人入植地の拡大は、ワシントンとの関係にも影響を与えている。

ロイター