国際司法裁判所(ICJ)での最新の公聴会は、イスラエルの国際的地位にとどめの一撃を加えるものになりそうだ。50カ国以上が、イスラエルによるパレスチナ領土の「占領、入植、併合」の合法性を疑問視する証拠を提出している。これについても、ガザ地区におけるイスラエルの行為がジェノサイド(大量虐殺)に当たるかどうかを審理する同じ法廷での公聴会と並行して審理される。
南アフリカ代表は、イスラエルの「根本的に違法な」政策を「極端な形態のアパルトヘイト(人種隔離政策)」として非難した。サウジアラビアは、パレスチナ人を「使い捨てのモノ」として扱うイスラエルの「非人間性」を非難した。エジプトは、「イスラエルは、自らの違法行為によって生じた状況を擁護するために自衛権を行使することはできない」と述べた。また、ベリーズはイスラエルの「人種差別的なアパルトヘイト」と「過剰な武力行使、恣意的殺害、大量収監」を非難した。イスラエルは当然のことながら公聴会への参加を拒否した。どうやら自国について代弁してもらおうとフィジーに接近したらしいが、フィジーの国民がこのイスラエルの動きに怒り、非難した。ブラジルの大統領はジェノサイドを行っているとイスラエルを非難し、ガザへの攻撃をナチスのホロコーストに喩えた。
私たちが今、目の当たりにしているのは、イスラエルの現状と、文明世界全体のほぼすべてに反対してイスラエルを支持する国の数が減少している様子である。イスラエルの指導者たちは、ガザに臆面もなく不均衡な軍事行動を実施することで世界からこのような反発を自ら招いたのである。公式に発表されているガザでの死者数3万人のうち3分の2は女性と子どもであり、その他にも何十万人もの人々が重症を負ったり、孤児になったり、周囲の人々が命を奪われて苦しんでいる。避難民全体が飢餓寸前にまで追い詰められている。
イスラエルが完全に自国の国際的評価を毀損してしまったことで、世界の強力な擁護国、中でも米国を矢面に立たせることになっている。コスモポリタン的な思想を持つ若い反戦主義者たちの中でも米国のアラブ人コミュニティは、かつてなかった影響を及ぼしている。とりわけミシガン州では顕著で、反戦の怒りが大統領選挙でジョー・バイデン大統領に不利に振れる危険性がある。
そのため、焦ったかのような、一貫性のない寄せ集めのような政策が生まれた。バイデン政権は先週、入植地建設は違法であると断言しておきながら、イスラエルによる占領を終わらせる法的命令を出さないようにICJに要請すると同時に、ヨルダン川西岸地区の統治はイスラエルの「極めて現実的な安全保障上の必要性」によって正当化されると主張し、米国はこの歓迎すべき180度転換した姿勢を完全に台無しにしてしまった。英国は、イスラエルによる占領が「違法」であることを認めながら、これは二国間問題であり、したがってICJの管轄外であると主張する、複雑怪奇な理屈を持ち出したのである。
このような屁理屈を駆使したところで、イスラエルの大量虐殺的な軍事作戦は米国の武器、米国の資金、米国の外交的隠れ蓑によって引き続き支えられることに恐怖を抱く世界の人々の心を和らげることはまずできないだろう。あるパレスチナ系アメリカ人の活動家は、バイデン氏がジェノサイドに資金を提供していると非難し、バイデン氏の政策は「レベル5の火災現場にコップ1杯の水で立ち向かい、放火犯に燃料を与えているようなものだ」と述べた。普段は口が重い中国の国連安保理特使は、アメリカが停戦案に拒否権を行使したことを「虐殺の継続に青信号を出した」と解釈した。
米国同様の圧力を受けている欧州各国は結束を強めており、EUも明確なイスラエル支持から距離を置く方向へと舵を切ろうとしている。スペインとベルギーの両首相は共同で「罪のない民間人の無差別殺害」を非難した。アイルランドはパレスチナ国家承認に向けた合意形成を目指している。脊髄反射的にイスラエルを支持するドイツや英国の政府でさえ、大虐殺に激しく怒っている何百万もの市民感覚と完全に乖離しないように、自らの言動の修正を余儀なくされている。イスラエル支持の保守的な西側メディアも、胸が張り裂けるようなガザの状況を視聴者にためらうことなく伝えている。
国連の専門家らは、パレスチナ人の女性と少女がイスラエルでの拘束中に性的暴行や強姦に遭っているという「信ぴょう性の高い申し立て」を確認したと述べた。
バリア・アラマディン
ウォールストリート・ジャーナルは、「イスラエルの偏った見方によりUNRWAに関する評価の多くに事実誤認があり、歪められてしまった」という米国の情報機関の調査結果を取り上げた。このことは、イスラエルがごく少数の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)職員への疑惑を裏付ける証拠を提出できなかったにもかかわらず、UNRWAへの命をつなぐ援助の大幅削減に急いだ国々について疑問を投げかけるものである。
国連機関やアントニオ・グテーレス事務総長に対する非生産的な攻撃ほど、イスラエルが国際的に孤立を深めていることを強く示すものはない。グテーレス事務総長自身も、イスラエルが「二国家解決策に明確かつ繰り返し拒絶すること」は容認できず、ガザ紛争を長引かせると警告している。
この紛争が始まった当初から、ベンヤミン・ネタニヤフ政権はあらゆる機会を捉えて人道支援をすべて中断させてきた。国連人道問題調整事務所(OCHA)は先週、ガザは医療システム崩壊が原因で引き起こされた「感染症と公衆衛生上の大惨事の教科書に載っているような典型例」であると表現した。ハーン・ユーニスのナーセル病院が機能しなくなったガザでは、主要な病院はすべて稼働しておらず、多くの病院が爆撃や侵攻の危険にさらされている。
10月7日のハマスによる残虐行為から生じた強姦の疑惑を調査するのは正しい。一方で、国連の専門家らは、パレスチナ人の女性と少女がイスラエルでの拘束中に性的暴行や強姦に遭っているという「信ぴょう性の高い申し立て」を確認したと述べている。国連の特別報告者によると、「パレスチナ人の女性、子ども、民間人に対する暴力と非人間化が常態化している」という。国連人権委員会は、「パレスチナ人の女性と子どもたちが、避難先で、あるいは逃亡中に法的に認められない殺害にあった…(投降を意味する)白い布を持った状態で殺害された」ことを取り上げた。
この紛争により、双方から発信されるフェイクニュースが氾濫している。イスラエルは世界の世論が容赦なく自分たちに不利に傾いていくのを見て、フェイクニュースの誤りを正す主張を広めるという方策を取ることが多くなっている。その主張の中には、負傷したり殺害されたりしたパレスチナ人は「クライシス・アクター」だとひっきりなしに主張したりするものから、イスラエルの大統領がドイツの新聞に対して、10月7日にドイツの二重国籍者が斬首されたとウソを話したりするものまであった。両者が昔のシリア内戦時の映像を悪用して、自分たちの主張や説明の裏付けとしウソをついた。
イスラエルは民主主義国の中で、崩壊しつつある自国の国際的地位がどうなるかについて正しく恐れるべきである。世界中の政党が、選挙時に支持を失わないようになんとか国民感情に再び寄り添おうと苦労しているのである。同様に、テロ組織というレッテルを貼られ、すでに広く知られているハマスも、民間人に対する自らの残虐行為がパレスチナの大義全体の評価に与える影響について熟慮し、人質の解放など具体的な対策を検討すべきだ。
報復に燃えるイスラエルは、自らの行動が国際社会の正当性や自国の地域安全保障に及ぼす影響について、まだ理解できていない。自国は例外だと信じているようだが、イスラエルとて例外ではない。近隣諸国との平和的共存は、ルールを守り、すべての国民を平等に扱い、パレスチナ国家樹立に向けた公正な解決を誠実に追求するとき初めて実現する。