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世界はコロナウィルス危機後の経済混迷を回避するための計画を必要としている

ほとんど人影のないドバイクリーク沿いのデイラのウォーターフロント。COVID-19の影響で中東のビジネスは厳しく規制されている。(ロイター)
ほとんど人影のないドバイクリーク沿いのデイラのウォーターフロント。COVID-19の影響で中東のビジネスは厳しく規制されている。(ロイター)
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25 Mar 2020 02:03:01 GMT9
25 Mar 2020 02:03:01 GMT9

封鎖策、自主隔離、外出禁止令などの方法で、世界中がコロナウィルス(COVID-19)の驚異的な拡散と戦う中、迫り来る世界的不況の恐怖が高まりつつある。世界的の封鎖状態がこの先どのくらい続くのか予測のつかない状況の中、工場が閉鎖され、多くの航空便が運航休止となり、石油価格が急落し、株式市場が危機的状況に陥っている。

特に中東は、このコロナウィルス危機によって大きな痛手を受けた。エネルギー価格の下落はもちろん、旅行業、観光業、資本市場をはじめとする多くの業界がすでにプレッシャーにあえいでいる。封鎖状態によって各業界は何十億ドルという損失を出すだけでない。政府が大幅な救済・景気刺激策を打ち出さない限り、多くのビジネスが倒産する可能性がある。

先週、サウジアラビアは320億ドルの景気刺激策を発表し、そのうちの133億ドルは中小企業が対象となっている。その他、税金納付期日の延期や、各種公共納付金・公共料金の免除などが含まれている。一方アラブ首長国連邦(UAE)も270億ドル相当の独自の救済策を発表し、銀行業や観光業のような主要セクターを支援している。石油と天然ガスの価格の下落にあえぐカタールはなんとか230億ドルの財政刺激策を捻出し、一方クウェートと他のペルシャ湾岸諸国も間違いなく同調することになるだろう。

これらの国々は現実的に状況を見つめており、先制的な対策を取っている。コロナウィルスの世界的拡散は数カ月続く可能性があり、その余波は向こう数年続くことになろう。今年の巡礼シーズンにも影響を及ぶすと思われ、ウムラ巡礼はすでに中止となっている。今年10月に開催される予定となっているドバイのエキスポ2020も影響を受ける可能性がある。産油諸国は世界的需要の低減により、財政赤字に直面することになるだろう。

コロナウィルス危機はエジプトとヨルダンの主要セクターにも打撃を与え、特に主な外貨の収入源である観光業への影響が大きい。封鎖対策により、ヨルダンは今年の観光シーズン全てが台無しとなり、その損失は30億ドルを下らないと専門家は見ている。観光業には少なくとも5万5千人が従事している。農家もやはり打撃を受けることになる。外出禁止令により農産物の輸送に影響が及んでいるからだ。エジプトは観光地や博物館をすべて3月末まで閉鎖し、観光業界だけでも月々10億ドルの損失が見込まれている。

すでに政治的難局に直面していたレバノン経済は、コロナウィルスの感染拡大前から窮地に陥っていたが、この封鎖状態によって状況はさらに悪化することになるだろう。昨年の政治不安によって、すでに観光業は何十億ドルという損失を出している。流動資産の深刻な不足のため、政府は危機に瀕しているセクターの救済ができないはずだ。

中東諸国の多くが直面している問題の中でも最も深刻なものの一つが、外国からの負債への返済がままならないことだ。レバノンはすでに12億ドルのユーロ債の支払い不履行を起こしており、ローンの組み直しを要請した。ヨルダンは、国民総生産に対する負債の占める割合が95%を上回っており、国際的な義務の履行が困難になるだろう。ヨルダンの主な外貨の源は海外居住者からの送金で、年間40億ドルと予測されているが、それにも影響が出ると思われる。

要するに、中東のどの国も、このコロナウィルス危機が経済へ及ぼす打撃を回避することはできないということだ。世界が地球規模の不況に陥るのを止めるには、復興をスピードアップするための緊急対応策を打ち立てる必要があることは言うまでもない。これは慈善事業などではない。すべての国がリソース不足のためにコロナウィルスとの戦いに失敗すれば、世界規模の伝染病の次なる大波が襲ってくる脅威は現実のものとなろう。

コロナウィルスの世界的拡散は数カ月続く可能性があり、その余波は向こう数年続くことになろう。

オサマ・アル・シャリフ

国際通貨基金、世界銀行、そして西欧諸国の政府は、負債の返済期限を先延ばしし、返済猶予期間を長く設定し、場合によっては負債の返済免除も考慮することを共に検討する必要がある。リソースに限りのある国々は、自国の景気刺激策を行うために借金をする必要が出てくるだろう。貸付側がコロナウィルス危機以前に行っていたビジネスのやり方は、変わらなければならない。グローバル化した世界においては団結が不可欠なのだ。

サウジアラビアはG20の主催国となっているが、各国首脳による異例のサミットを来週開催することを呼びかけた。現在世の中で行われている他のあらゆる集会と同様、「バーチャル」形式にて行われる。3月22日(日)、Civil 20 (C20)がG20のリーダーたちに向けて、コロナウィルス感染の世界的拡大を考慮して労働市場と教育システムの変更に対応するよう求める声明を出した。C20はその声明の中で、地球の自然体系がいかに大きな課題を抱えているかということの例として昨今のコロナウィルス感染拡大とオーストラリアでの森林火災を取り上げ、さらに個人と国家との間の不平等へと導き、G20メンバー諸国はそれらに取り組む必要があると提言した。

サウジアラビアは、コロナウィルス危機の影響で経済が打撃を受けている貧しい国々を代弁する立場にある。現在の問題は、そうした国々がコロナウィルスの脅威が去った時にいかに復興を図るかということだ。世界の諸国が立ち上がり大幅な経済的混迷を回避するため、今こそ一丸となって共通の計画を打ち立てる必要がある。

オサマ・アル・シャリフ(Osama Al-Sharifはアンマンを本拠地とするジャーナリスト兼政治評論家。ツイッター:@plato010

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