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原油価格について用心深く楽観できる理由

25 Mar 2020
だが、専門家たちが今では中国の景気回復について話しているという事実だけをとっても、原油価格にとっては朗報だといえる。(AFP)
だが、専門家たちが今では中国の景気回復について話しているという事実だけをとっても、原油価格にとっては朗報だといえる。(AFP)
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原油価格には少しでも明るい兆しが見え始めているのだろうか? 情報グループGulf Intelligenceが最近開いたエネルギー専門家らによるビデオフォーラムでは、その可能性が指摘された。

サウジアラビアとロシアが大幅な増産を計画 – 新型コロナウイルスのアウトブレイクによる世界経済への影響で世界的に需要が落ち込んでいるこのタイミングで – するなか、過去2週間で原油価格が半減したばかりだというのにこんな質問をするのだから、逆張り投資家のように聞こえるかもしれない。

だが、アナリストの中には、おそらく現状に希望を見出したいという必死の思いから、原油は1バレルあたり20ドル台半ばで底打ちのようなことになった、そして激しく変動する一連の状況によっては、上昇してそのうち30ドルを超える可能性すらある、と信じる人もいる。

この控えめな楽観論が一般的な見方であるとは決して言えない。ブレント原油が1バレル20ドルを下回ると、市場の勢いが一時的に止まらなくなる可能性がでてくるからだ。数十年前、別の価格戦争でそうした事態となった。

この悲観論には明らかな理由がいくつかある。新型コロナウイルスによって引き起こされた世界的な不況は、石油史上最大の需要急減を引き起こした。通常の1日あたり約1億バレルから1000万バレルまで落ち込んだという推定もある。世界の経済活動が大幅に低下していることを考えると、この数字も間違いではないと思われる。

それに加え、生産者、特にサウジアラビアとロシアをはじめとしてUAEやナイジェリアなども含む石油大国が、次の2か月間に納品出荷の増加に全力を挙げることになるだろう。アナリストの予想では、まもなく約300万バレルが追加で市場に送られることになりそうだ。

価格が再び劇的に下落する可能性はまだ大いにある。だが、ほんの数日前と比べても、シナリオはそれほど悲観的ではないのかもしれない。

フランク・ケイン

これによってさまざまな質問が投げかけられることになる。中国や他の産業大国で石油を燃焼させる活動がストップしている状態で、運ばれた石油はどこに行くというのだろう? 世界中の貯蔵タンクがまもなく満杯になり、市場にはいつまでも浮遊貯蔵タンクとして使える石油タンカーがそんなに多くあるわけではない。

一部の生産者、特に高コストな生産者にとっては、深刻な「閉鎖」- 石油生産施設の閉鎖 – の恐れが迫っている。

この事態から明白な結論が1つ引き出されるとしたら、それは、OPEC +同盟の崩壊後にサウジアラビアによって発表された「値下げと増産」という「衝撃と畏怖」政策は、重大な効果を最初から意図したものであり、その効果がはっきりと現れてきている、ということだ。

サウジ王国の戦略は、短期間に抜け目のないキャンペーンを実行し、他の生産者から市場シェアを取り戻し、これにより、高コストな生産者を効果的に振り落とし、原油という同国最大の資産を以前の予想よりも短期間に収益化することだ。

この計画については言うべきことがたくさんある。まず、これは「ビジョン2030」の産業多角化戦略への資金提供に向けた財政資源の必要性と、今世紀半ばまでに化石燃料離れが起きるという予測の両方に適した戦略だということだ。

もしサウジアラビアがタイミングを正しくとらえられれば、世界が新型コロナウイルスの惨事から回復し始める頃には、同国はコストが最も低く、しかも市場占有率が上昇中の、最大のエネルギー生産国となっていることだろう。同国の石油は世界的な回復を後押しする資源となり、新型コロナウイルス後の世界にとって、事実上の景気刺激策となる可能性がある。

原油価格に楽観的な見方があるもう1つの理由は、ウイルスによって最初の、かつ最悪の打撃を受けた経済に、復活の兆しが見られることだ。中国での症例は減少し始めており、産業の大きな部分がまもなく再開されることになるだろう。もう1つの経済大国である日本も、最初から新型コロナウイルス感染拡大を抑えられたことから、復活の兆しを見せている。

疑う余地のない警告もある。南アジアやアフリカでのウイルスの進行状況がまだ明確に理解されておらず、まだ徹底的に襲ってくる余地がある。ヨーロッパがひどく破壊されたのは誰の目にも明らかで、米国はまだ初期段階にある。

だが、専門家たちが今では中国の景気回復、つまり第3四半期のV字回復について話しているという事実だけをとっても、原油価格にとっては朗報だといえる。

原油価格戦争の終焉や原油市場の底打ちを宣言するのはまだまだ早すぎる。価格が再び劇的に下落する可能性はまだ大いにあるのだ。だが、ほんの数日前と比べても、シナリオはそれほど悲観的ではないのかもしれない。

  • フランク・ケインは、ドバイを拠点とする受賞歴のあるビジネスジャーナリストである。 Twitter:@frankkanedubai
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