
OPECプラスのグループの原油減産の道のりは2017年1月に始まり、2020年3月末まで続いた。
これには、OPEC内外の24の原油生産国による39ヶ月の協調的な取り組みが伴うこととなった。
合計で日量120万バレル程度の減産が行われることとなり、OPEC加盟生産国が日量80万バレル(bpd)、非OPEC加盟生産国が40万bpdの減産を行うことで合意した。この枠組みの中で、サウジアラビアは50万bpd、ロシアは23万bpdの減産を行った。
2019年末にこの合意は修正され、2020年3月末まで減産幅を50万bpdさらに深堀し、170万bpdとすることになった。
OPECの減産による負担を最も強いられたのは誰か?
合意当初から、サウジアラビア王国は減産量の大部分を占めてきた。
同国の生産量のシェアは31%に過ぎないにも関わらず、OPEC全体の減産量の41%以上を占めてきた。
同国のモチベーションは常に、世界経済の利益になるよう、エネルギー供給を確かなものにし、原油市場におけるバランスを取るというものだった。
OPECプラスの減産を順守するロシアの取り組みは、このような取り組みを阻止しようとするロシアの石油企業からの抵抗に遭い、当初から揺れ動き、疑問符が付けられてきた。
ロシアは冬の間の多くの生産地域における厳しい気候・地質的条件により、減産は難しいとも主張してきた。
生産高は、ロシアがOPECプラスの合意により順守すべき量よりも平均で約7万bpd多く生産してきたことを示している。
一方のサウジアラビアは、合意順守上必要な比率を超えた減産に取り組んだ。
この過剰順守は、生産量が980万bpdとなった2019年12月に185%に達し、一方のロシアの減産の取り組みは、生産量が1120万bpdとなり、約70%となった。
2020年2月の最新の原油生産データを比較すると、サウジアラビアが180%の減産を行って970万bpd、一方のロシアの減産は44%に留まり、1130万bpdとなったことがわかる。
OPECプラスの減産を順守するロシアの取り組みは、当初から揺れ動き、疑問符が付けられてきた。
ファイサル・ファエク
これほど順守が甘いにも関わらず、ロシアは2019年12月のOPECプラス会合の前に、生産量の測定方法を変更し、コンデンセートを含めないようにすることを求めた。コンデンセートは元々減産では考慮されておらず、ロシアの全石油生産量のうち80万bpd前後に相当する量となっていた。
2019年5、6、7月にロシアが減産を順守したのも、自発的なものではなく、ドルジバパイプラインの石油汚染によるものであり、これにより、複数のヨーロッパ諸国がロシアの石油の輸入を停止した後、生産量はOPECプラスの目標を下回ることとなった。
アメリカは合意から恩恵を受けたのだろうか?アメリカはOPECプラスと同じ道のりを歩んでこなかったが、市場のバランスを取り、供給過剰を抑える取り組みから最も恩恵を受けた。これらの取り組みは、アメリカのシェールオイル業界の繁栄に資する水準で原油価格を維持することになったからだ。
これにより、アメリカの原油生産はOPECプラス合意前の2016年の880万bpdから、合意の39ヶ月後に1300万bpdという記録的水準にまで上昇することとなった。この生産量の増加の大部分はペルム紀盆地産のもので、ここの生産量は2016年の200万bpdから(イラクの生産量を超える)500万bpd以上にまで上昇した。
アメリカはOPECプラスの市場シェアを脅かしてきたのだろうか?アメリカからの石油輸出量の平均はOPECプラス合意前の2016年の52万bpdから2019年には平均300万bpdにまで急上昇した。
シェールオイル生産量の全体的な増加は、輸出に向かった。アメリカの精油所が好むような望ましい原油品質ではないからだ。
しかし、シェールオイル生産者は、OPECで生産した石油の大部分が輸出されているアジア市場に大幅な割引価格で販売することに成功している。
ツイッター:@faisalfaeq