
コロナウイルス大流行によって引き起こされた不況の中、ロシアとサウジアラビアはエネルギー市場を安定させ世界経済を助ける大規模な石油減産協定に合意することで、再び他国をリードした。
米国を含む他の多くの産油国は、サウジアラビアが議長国を務めたG20エネルギー相会合でこの合意を支持した。これは、パンデミックがすでに世界中の何十億人もの人々の生活に大きな影響を与えているこの激動の時代に必要とされるリーダーシップおよびパートナーシップの素晴らしい事例である。
この合意がなければ、原油価格は前例なき需要ショックにより1バレル当たり10ドルを下回る可能性があった。これは世界経済に壊滅的な影響を与えた可能性がある。
この重要な時期に、両国は互いの違いを脇に置き、協力し、解決策を見出し、他の国々にもこの協定に参加するよう説得することに成功した。
ロシアとサウジアラビアはすでに非常に長い道のりをともに歩んできた。わずか数年前、両国間の関係は存在しなかったも同然で、お互いについてほとんど知らなかった。しかし、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のサンクトペテルブルク訪問および殿下の2015年のウラジーミル・プーチン大統領との初会談以来、両国は大きな飛躍を遂げ、目に見える成果を上げた。
2016年から施行されている石油価格安定のためのOPEC+合意は、ロシアとサウジアラビアが世界経済の成長のためになした大きな貢献であった。
当社ロシア直接投資基金(RDIF)は、パートナーであるサウジアラビアの公共投資基金(PIF)とともに30以上のプロジェクトに25億ドル以上を投資している。現在、PIF、サウジアラムコ、SABIC、その他サウジアラビアのパートナー企業と協力して、石油化学、インフラ、農業、技術等の分野で25の新規投資プロジェクトに取り組んでいる。
RDIFはあらゆる主要分野におけるロシア・サウジ関係のブレークスルーを支え、在ロシアのサウジ企業の主要パートナーとなってきた。また、二国間の文化イベントやメディアグループ間の協力も支援してきた。
最も重要なこととして、当社は両国間の信頼を築き上げてきた。最近の発展は、この信頼とパートナーシップが世界的な混乱や異なる戦術的アプローチにもかかわらず生き残ってきたことを示している。
私は個人的には近年サウジアラビアへの旅行を楽しんできた。私はアルウラの古代遺跡、紅海の手付かずの海岸、リヤドの輝くオフィスビルを訪れるのが大好きだ。多くのサウジアラビア人が私の親友になり、現在パンデミックのために彼らと会えないことが非常に残念である。
この重要な時期に、両国は互いの違いを脇に置き、協力し、解決策を見出し、他の国々にもこの協定に参加するよう説得することに成功した。
キリル・ドミトリエフ
サウジアラビアのロシア人観光客の数は、昨年外国人観光客に対してサウジの隠された宝物を公開することが決定した後、急速に伸びた。これらの成果は忘れてはならない。これらの成果を足掛かりにしてさらに積み上げ、前を向かなければならない。
両国間の信頼関係および継続的なパートナーシップはパンデミックとの戦い、また国際旅行や対面ビジネスミーティングが行える通常の世界に早く戻ることに役立つ。これを達成するために、ロシアとサウジアラビアは多くのことをともに行うことができる。
両国の医師、科学者、ビジネスマンはワクチンを見つけるために協力したり、臨床研究およびベストプラクティスに関する情報を共有したりすることができる。例えば当社RDIFでは、世界経済を再開する最も早い方法は、症状を持つ人々だけでなく感染している可能性のあるすべての人々に広く検査を行うことを通して可能になるものと信じている。
当社の見解では、これが最も効果的な戦略である。ロシアとサウジアラビアは今、この戦略を実施するために力を合わせることができる。当社はパートナー企業とともに取り組み、利用可能な最高の検査技術を発見し、世界で最も正確で高速かつ持ち運び可能な検査システムのいくつかに投資した。
これらのシステムを使用することにより、検査数を指数関数的に増加させることが可能となる可能性がある。これらは現在、ロシア、米国、アラブ首長国連邦、オーストリア、その他多くの国で展開されている。我々はこれらの検査システムをサウジアラビアに持ち込むため、すでにサウジの研究者と取り組んでいる。
これは、パートナーシップおよび協調的なグローバル対応がこのパンデミックに対する目前の勝利への鍵であることのさらなる証明となっている。我々はこの世界的な緊急事態がロシアとサウジアラビアの関係をさらに緊密にし、我々のパートナーシップをさらに強くするものと信じている。
キリル・ドミトリエフはロシア直接投資ファンドのCEOである。