Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

シリアへの制裁解除:より豊かな未来への賭け

Short Url:
25 May 2025 01:05:41 GMT9
25 May 2025 01:05:41 GMT9

米国の外交政策における重要な転換として、ドナルド・トランプ大統領はシリアに対する長年の制裁の緩和に着手した。この決定は、トランプ大統領の湾岸歴訪とムハンマド・ビン・サルマン皇太子との話し合いが成功したことを受けて下された。これは、この地域の安定と経済回復を促進するための現実的なアプローチを反映している。

この政策変更の意味を理解するためには、制裁の起源を見直すことが不可欠だ。米国は1979年に初めてシリアを「テロ支援国家」に指定し、ヒズボラのようなグループへの支援やレバノンでの軍事的プレゼンスを理由にした。さらに2004年には、シリアの大量破壊兵器の追求と隣国イラクへの干渉の疑惑を対象とした「シリア説明責任およびレバノン主権回復法」に基づく制裁が課された。最も厳しい措置は2011年で、アサド政権による平和的なデモ参加者への残忍な弾圧に対応するもので、政権の戦争犯罪責任を追及することを目的とした2019年の「シーザー・シリア市民保護法」につながった。

制裁の緩和は、同国の再建と国際社会への再統合の道筋を示すものだ。

ファイサル・J・アッバス|編集長

2024年12月のバッシャール・アサド政権の崩壊は、シリアに新しい時代をもたらした。アブ・モハメド・アル・ジャウラニとして知られていたアフマド・アル=シャラア氏が暫定大統領として登場した。彼の過去の所属先が懸念される一方で、アル・シャラア氏は過激派の過去から距離を置き、シリアの再建に尽力する政治家として自らをアピールする努力を重ねてきた。最初の外交的働きかけはサウジアラビアへのもので、夫人とともにマッカを訪問した。この訪問は、シリアをイランとは対照的なアラブの近隣諸国と協調させ、より穏健なイスラム教と統治を受け入れるという願望の表れだった。

制裁緩和の決定は、過去の行動を是認するものではなく、現地の原動力が変化していることを認識し、米国、サウジアラビア、そして他の穏健派国家が、偉大な(そして今は自由な)シリアの人々の祖国再建を支援できる未来に賭けるものである。制裁は主に、アサド政権の抑圧的な政策と地域における不安定な役割を狙ったものだった。政権が崩壊した今、この制裁を維持することは、シリア国民の平和と繁栄への願いを妨げるだけだ。さらに、包括的な政府を樹立し、少数民族の権利を尊重し、復興に力を入れるというアル・シャラア氏のコミットメントは、地域の安定という広範な目標に合致する。

シリア経済は長年の紛争と制裁によって壊滅的な打撃を受けており、人口の90%以上が貧困にあえいでいる。制裁が解除されれば、国際的な投資や援助、重要なインフラの再建に道が開ける。また、シリアが麻薬密売などの非合法活動の拠点から、戦前を彷彿とさせる貿易や観光の中心地へとシフトすることも可能になる。

シリアの人々にとって、制裁解除は紛争や経済的絶望から解放された未来への希望をもたらす。

ファイサル・J・アッバス編集長

アラブ諸国に対するアル・シャラア氏の口説き文句と、イランやロシアといったかつての同盟国からシリアを遠ざけようとする彼の努力は、米国の戦略的利益に資する可能性のある再編成を示唆している。有名な起業家アブドゥルサラーム・ヘイカル氏を情報技術大臣に起用するなど、彼の政治的な動きは、国家再建への真摯な意欲を示している。彼は成功するだろうか?後に心変わりするのだろうか?時間が解決してくれるだろう。

しかし、確実に言えることは、シリアへの制裁緩和は複雑な状況に対する現実的なアプローチだということだ。それは、シリアの政治情勢における変革的な変化を認め、シリアの再建と国際社会への再統合の道筋を示すものだ。シリア国民にとっては、紛争や経済的絶望から解放された未来への希望をもたらすものだ。地域と世界にとっては、安定を育み、過激派の影響に対抗する好機となる。

  • ファイサル・J・アッバス編集長。X: FaisalJ. Abbas
特に人気
オススメ

return to top