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米国のWHO脱退は我々すべてに害となる

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31 May 2020 06:05:19 GMT9
コーネリア・メイヤー
31 May 2020 06:05:19 GMT9

米国のドナルド・トランプ大統領は5月19日に、米国は世界保健機関(WHO)との関わりを保留にするとし、WHOが30日以内に「本質的な改善」に着手しないのであれば完全脱退すると脅しをかけた。

トランプ大統領はその30日すら待たなかった。彼は金曜日に、米国は「本日、世界保健機関との関係を打ち切り、その資金を、それを受けるに値する他の世界的緊急公衆衛生危機に振り当てる」と述べた。

しかし、「本日」とは何を意味するのだろう。米国は、1948年にWHOを設立したメンバー国であるが、その際に米議会は、WHOは1年の予告期間付きでの脱退を米国に認めるものとするとの決議を議会が可決し、後にWHOがそれを承認したという経緯がある。国際法において条文内容は重要であり、それによれば大統領の通告はやや不明確だ。

まだ他にも問題がある。米国はWHOに対して、どの国よりも多額の資金を拠出している。2019年のWHO予算は56億ドルだったが、そのうち17%が国に「割り当てられた」分担金、80%が任意の拠出金だった。米国は4億1900万ドルを支払い、そのうち1億1900万ドルが分担金、3億ドルが任意拠出金だった。米国が脱退すれば、それがどのような形をとったにしても、資金的に相当な打撃となる。これは世界全体にとって問題となる。

WHOは、加盟諸国の他にも貢献や協力を寄与するビル&メリンダ・ゲイツ財団といった団体など、多様な構成団体から成っている。WHOは、各国政府や、その健康関連データや研究施設などへの貴重なアクセス権を重く見ており、それが、WHOが外交に偏りすぎたり、加盟諸国を公にではなく閉ざされたドアの裏で批判することになる理由を説明している。

米国が脱退すれば、それがどのような形をとったにしても、資金的に相当な打撃となる。

コーネリア・メイヤー

脱退後に引き続き米国は、WHOが参加するオープンなプログラムに協力することは可能だ。WHO にしかできない唯一のプログラムは、ポリオ撲滅活動だ。これが価値ある重要な使命であることは誰も否定できない。

組織の独自プログラム以外にWHOは、米国の82の研究機関と共同研究をしており、そのうち21機関は疾病予防管理センターを基盤としている。提携業務の中止は、医療研究における米国のその卓越した位置を考えれば、壊滅的影響となることだろう。

他の国連機関や国連そのものとも同様に、WHOは改革から多くのものを得ることは確かだろう。しかし結局のところ、世界はWHOを必要としており、WHOは米国の優れた研究開発能力を必要としているのだ。また米国にしても、多国間的な世界構造から一段と距離を置きつつある今はとりわけ、WHOが提供する公衆衛生問題や緊急問題へのネットワークやアクセスは必要なものであろうと言える。

最後に、そして最も大切なこととして、私たちは新型コロナとの次なる戦いの舞台はニューヨークやシカゴの病院ではないことを知っておくべきだ。それはカノ(ナイジェリア)やジェネラルサントス(フィリピン)やマナウス(ブラジル)で起きるのだ。ウイルスは急速に南半球に移動しているが、そこではとりわけ途上国において、医療システムの発達が遅れており、資金もない。そこでウイルスが猛威を振るえば、医療ケアにほとんど、あるいは全くアクセスできない最弱者たちに影響を及ぼすことになる。衛生措置が得られなかったりソーシャルディスタンスが不可能であったりするスラム街の人々に影響を与えるのだ。

ウイルスが南半球からニューヨークやパリの街へと再び戻ってきたときに、全世界が、私たちはみな聖書でいう「兄弟に対して責任を負う者」であることを再認識するのだろう。私たちはみな、WHOのような組織がすべての国々の協力を得てその任務を果たせることに関心を抱いている。

  • コーネリア・メイヤー氏はビジネスコンサルタントであり、マクロエコノミストであり、資源問題専門家でもある。ツイッター:@MeyerResources
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