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日本とサウジアラビアは、全く異なる国ではありません

サウジアラビアと日本ではどちらも、個人的な関係が大切にされ、それらをどのように捉えるかに関して一人一人が気にかけなければなりません。(写真:A F P)
サウジアラビアと日本ではどちらも、個人的な関係が大切にされ、それらをどのように捉えるかに関して一人一人が気にかけなければなりません。(写真:A F P)
26 Oct 2019 12:10:51 GMT9

10月中旬、アラブニュースが日本版を開始することはとても励みになり、重要なことです。両国には、石油貿易だけではない、強固な政治的・経済的な繋がりがあります。

日本は原油の40%をサウジアラビアから輸入しています。今回の新規出版は、相国間の理解を助け、文化間のギャップの橋渡しをすることに、実に大きく貢献するでしょう。ギャップは、一見想像されるほど大きくはないのです。

私は日本で仕事を開始し、1980年代中ごろから1990年代はじめにかけての9年間、楽しい日々をそこで過ごしました。はじめ、私は東京大学で国際関係および経済学を専攻する、文部省(日本の教育省庁)の研究者でした。

それから私は、精力的な国会議員であり、のちに日本の経済産業大臣、また内閣総理大臣にさえもなる人物である、森喜朗氏の元で働きました。私は彼が大臣の時のアドバイザーとして働く機会に恵まれ、そのことはとても大きなチャンスでした。

スイス国籍である私は、小さな経済の地域の出身ですが、彼は私に、当時世界で2位の規模であった経済の内部で直接働くという有益な体験を与えてくださいました。それから私は数年間、銀行家として働きました。

私は日本に滞在していたことで、この並外れた国におけるアカデミア、政治、ビジネス世界についての見識を得ることができました。

それ以来、私の仕事の拠点はマニラ、ロンドン、アメリカ、そして再びロンドンへと移り、銀行家、実業家、石油を扱う仕事を行い、そして今では自身の顧問会社を経営しています。

ここ20年以上にわたり、私は他の地域の中で、中東、特に湾岸協力会議の参加国に、専門的に注目してきました。ここ3年間は、光栄なことにアラブニュースの社説を担当させていただき、この上ない喜びを感じています。

そういうわけで、私は日本とサウジアラビアの社会や文化の共通性や相性の良さに関する考察をいくつか述べたいと思います。

両国では、個人的な関係が大切にされており、それらをどのように扱うかについて一人一人が気を使います。忠実さは抽象概念ではなく、どの関係性においても基本となる考え方です。関係性はうわべのものではないのです。

彼らは、時間や個人の成功において、上や下や気まぐれな関係を長続きさせようとするということに対する明白な期待があります。評判を築き上げるためには文字通り一生涯かかりますが、それが撃ち壊されるのはほとんど一瞬です。

どちらの文化においても、それは、単なる個人的な業績ではなく、むしろ、その人の環境にどのように影響を与えるかなのです。日本ではこれを「和」と称して、個人の利益よりも団体の調和を重視します。

どちらの国でも、指導することは重要です。比較的年配でより多くの経験を持っている人たちが、若い人たちの面倒を見て、技術以上のことを教えます。それは単なる結果だけではなく、そこへ至るまでの道のりを含むのです。

私は前内閣総理大臣である森氏が国会議員や大臣であった時に彼のオフィスで働く機会に恵まれました。実際に、私が彼から学んだことや、才能に満ち溢れたそこでの同僚たちは、どんな大学の講義が教えてくれたことよりもはるかに、手が届かないほどに、とても大切なことでした。

私がそれを学んだことは単なる知力や、本による重要な知識だけにとどまらず、人が対峙している人とどのように交流するかということでもありました。それは単なる技術や知性に関することではありません。心や本能に関することでもあるのです。

私は同じような傾向を、メンターたちが生徒たちを教えるために時間を費やしている、サウジアラビアの社会においても見てきました。彼らは何十年も続く繋がりを形成します。それらの関係性は、うわべのものではなく、長年にわたって価値を持つものと捉えられるものです。

どちらの文化とも、礼儀正しさに価値を置いています。メディア(ソーシャルメディア)において無礼な意見が飛び交い、政治論が崩壊しているこの時代において、全ての年代の人々が彼ら自身の言葉に気を使い、文化的なマナーを重んじていることを見るのは、とても喜ばしいことです。

どちらの文化とも、年配者を大切に思い、彼らの経験に対して尊敬の意を示します。一方で若者たち!彼らはどちらの国においても、等しく慶に満ちています。サウジアラビアは若い国ですが、日本は世界で最も急速に高齢化が進んでいる国の一つです。

それでも若者たちは、他の人と同じように、ファッショントレンド、新しい技術、メディアに対して等しく熱中しています。彼らが、他の多くの国がついてくるようなトレンドを始めたのです。ファッションがどのように進んでいるかや、どれほど若者たちが冒険好きであるかを見るには、東京の通りを歩いてみるだけでできてしまいます。

任天堂のような日本の巨大なゲーミングテクノロジー企業は、世界中に広まる多くのトレンドを作り出してきました。ポケモンG Oや他のA R(オーギュメンテッドリアリティ)ゲームが思い浮かぶでしょう。G C Cの若者世代はそれらのトレンドに対して、活気と熱気を持って受け入れ、適用しています。サウジアラビアやその他のG C C諸国の経済は、A I(アーティフィシャルインテリジェンス)の全てのことにとても関連しています。アラブ首長国連邦さえもまた、A Iのための大臣を設置しました。

それから、女性たちもいます。しばしば彼女らは、抑圧されて扱われてきました。私の経験では、日本と同様にサウジアラビアでも、女性たちの多くは十分に教育を受けていて、はっきりと主張を行います。どちらの国でも、一つずつ、壁は取り払われてきています。

現在の日本の内閣総理大臣である安倍晋三氏は、日本の経済的福祉は、経済に女性が参加することに依存していることを分かっています。これが、高齢化社会の中で弱体化している労働力に対して彼が取らねばならない唯一の対策です。

サウジアラビアでも同様に、女性たちにとっての生活はかなり自由になってきました。女性たちは運転することができるし、保護者の同意なしに旅行することができるし、政治やビジネスにおいて重役につくことが積極的に奨励されています。サウジアラムコは、女性を雇用し昇進させることに関して早くから取り組んできました。私は、サウジアラビアと日本では共に、女性たちの黄金時代がやってきたということができると思います。

もちろん両国の文化や社会には、多くの差異があります。不透明な社会の構造や慣習の背後にあるものまでを見ることは難しいかもしれません。けれども、より深く探求してみると、多くの共通点も見出すことができるのです。

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