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サウジアラビアの模範的なCOVID-19への対応

2020年5月31日、サウジアラビアが国内線を再開した後、リヤド国際空港で検温を受ける乗客。(ロイター)
2020年5月31日、サウジアラビアが国内線を再開した後、リヤド国際空港で検温を受ける乗客。(ロイター)
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02 Oct 2020 10:10:37 GMT9
02 Oct 2020 10:10:37 GMT9

フォーブス誌は先月、コロナウイルス感染症(COVID-19)における世界で最も安全な100ヶ国を報じた。サウジアラビアは13位で、それより上位にランク付けされた唯一のアラブ諸国は9位のUAEだった。Deep Knowledge Groupによるランキングは、各国で発生したCOVID-19感染症例または死亡者の数だけに基づいているわけではない。どちらかと言えば、複数の医学的、経済的、政治的要因に基づく複雑な一連の評価となる。

レポートの著者によると、検疫とロックダウン措置における政治的意思と社会的受容があるか、国と地方自治体が良好な協力関係にあるか、そして国が良好なモニタリングと検査を行っており強力な医療システムを持っているかどうかを分析した。もう1つの要因は、COVID-19による経済的混乱に対して国がどれほど脆弱であるか、そして緊急事態に対処する設備がどれほど整っているかだ。

報告はこう述べている。「Deep Knowledge Groupの新しいCOVID-19特別分析ケーススタディは、分析に含まれる250の国と地域のそれぞれによって達成された経済的、社会的、健康的安定性に加え、COVID-19によって引き起こされた世界的な健康および経済の危機に対する戦いで提示された長所、弱点、機会、脅威またはリスクを分類、分析、ランク付けするよう設計されている。」

それは140を超えるパラメーターを調べ、3万5,000を超えるデータポイントを検討した。

このグループは、検疫効率、モニタリングと検査、保健の準備、政府の能力などのカテゴリにおける、130の定量的および定性的パラメーターと1万1,400を超えるデータポイントに基づいた最初のレポートを6月に発行した。当時、サウジアラビアは17位だった。

最近の報告によると、COVID-19に関して世界で最も安全な国はドイツだ。続いてニュージーランドと韓国が僅差で続く。首位だったスイスは4位に後退した。日本は5位、オーストラリアと中国はそれぞれ6位と7位だった。

最初から、サウジアラビアにおけるパンデミックへの対処方法は印象的だった。イランからバーレーンを経由してキング・ファハド・コーズウェイを旅行した男性が、3月2日に最初の症例として報告されるや否や、迅速かつ厳格な措置を講じた。患者はすぐに隔離され、その接触者らは検査された。それまでに、サウジアラビアはすでに広報キャンペーンを開始し(1月28日)、COVID-19フォローアップ委員会の最初の会議を開催し(2月1日)、中国への旅行を禁止し(2月6日)、まずは海外の巡礼者(2月27日)、その後サウジアラビア国民と在留外国人によるウムラを中止した(3月4日)。これは、多くの国がまだ感染症流行の深刻さや検疫が必要かどうかについて議論していた時期だった。その時期にはウイルスについて入手できる情報が少なく混乱しており、不安なパニック状態において、堅固さとリーダーシップが求められていた時期だった。これはサウジアラビアによって実証された。

サウジアラビア王国は、3月2日に最初の症例が報告されるや否や、迅速かつ厳格な措置を講じた。

マハ・アキール

3月に、サウジアラビアはいくつかの抜本的な対策を講じた。学校や大学を閉鎖し、比較的短時間で教育省が設置した仮想プラットフォームを通し、この状況下でも効率よく教育を継続した。その後、国際線の運航を禁止し、世界保健機関がCOVID-19の世界的パンデミックを宣言してから4日のうちに、ショッピングモール、レストラン、公園の閉鎖を命じた。さらに、医療関係者、公益事業作業員、食品配達員、メディア関係者を適用除外とした、午後7時から午前6時までの間の外出禁止令を21日間課した。その外出禁止令は4月に1日24時間に延長され、午前6時から午後3時までの間に必須の外出のみ家を出ることが許された。

外出禁止令の期間中、ほとんどすべてのものに関して配達サービスが提供され、自宅での注文とサービスを容易にするためにアプリケーションが作成された。保健省は、さまざまな場所で実地(PCR)検査を行い、毎日記者会見を開いて一般市民へ向け最新情報を更新し質問や懸念に答え、透明性と信頼を確立したヘルスケアの提供に全力を尽くすことで、人々をなだめ指示に従わせた。

もちろん、夜間外出禁止令、後にはソーシャル・ディスタンシングとマスク着用に関する規則に違反した人々に対する罰則の施行は、コンプライアンスおよび感染・死亡の減少に貢献した。しかし、イードの祭りの後、従業員がオフィスに戻るとその数は急増した。ソーシャル・ディスタンシングの制限が最初に緩和されたとき、高止まりが続いたものの、今はかなり減少している。

経済面では、政府は企業、特に今回の危機の間に甚大な被害を受けた中小企業が従業員に給料を支払い事業が維持できるよう支援するために、いくつかの財政支援パッケージとイニシアチブを開始した。

その後、ハッジに関する難しい決断が下された。サウジの指導部は、約1,000人の巡礼者のみ厳格な保健対策の下でハッジ巡礼を行うという、責任ある決定を下した。巡礼者たちは巡礼を終える前に検査を受け隔離されており、幸いなことに、COVID-19の症例は検出されなかった。その決定は成果を収め、世界保健機関が称讃した。

意識を高めるための政府の努力は続く。全国に専門の研究所や部署を設けて検査を強化し、検疫や経過観察の際に役立つアプリケーションと電話窓口を開始し、病院での診療を行い、ワクチン開発に関する研究や国際社会との協力を行っている。総合的に、サウジアラビアはパンデミックへの対処方法において模範的だった。

  • マハ・アキール氏は、ジェッダを拠点とするサウジアラビアの作家。Twitter: @MahaAkeel1
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