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バイデン、イランとの核合意の困難に直面

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09 Nov 2020 10:11:28 GMT9

次の米国大統領に選出されたジョー・バイデンに祝辞の言葉が次々と寄せられる中、イランの最高指導者アリ・ハメネイは、自由民主主義とアメリカのシステムをあざける機会としてアメリカの選挙を取り上げた。ハメネイはそもそもバイデンが大統領に選出されたことに対し、特に喜んでいるようには見受けられない。バイデンの大統領選挙キャンペーンで、核合意への復帰が約束された事項の1つに掲げられていたが、復帰はそう容易な作業ではないかも知れない。

そもそも、共和党の反対にもかかわらず、バラク・オバマ前米大統領がイランの核合意に参加した事実がある。当時は大統領令で参加を決め、連邦議会による批准手続きを経ていない。

更に悪いことに、ヒラリー・クリントンが大統領選挙でドナルド・トランプに簡単に勝つだろうと誤って考えたオバマは、核合意を維持することを彼女に託していた。結局それが裏目に出て、核合意は連邦議会で批准されず、トランプがそれを反故にするきっかけを与えた。問題は、当初は包括的共同行動計画(JCPOA)と米国の意図に懐疑的だったハメネイが、次の大統領によって破棄される可能性があることを知りながら、合意を受け入れ、譲歩するかどうかである。テロリストの首謀者であったガセム・ソレイマニの殺害は、イランの米国への不信をさらに深め、その影響はトランプ大統領が政権から去った後でも長引く可能性がある。

一方、米国上院は共和党の多数下にとどまる可能性が高く、下院の民主党の過半数越えの議席数も減ることが予測されている。したがって、バイデンが共和党が多数の上院で核合意に復帰する決議を通すことができる可能性はほとんど無い。トランプは、多国間の交渉で合意が為された核合意から、他の署名各国、特にヨーロッパ諸国に相談することなく、一方的に脱退したことで、厳しく非難されている。しかし、イラン側に渡されたせっかくのコインも、テヘランに協調行動を促すような誘引とはなっていないようである。それどころか、イランの指導者は、米国がイランの核となる原則を放棄することを強制できないことを国民に証明したがっている。政権の配下は金曜日の祈りの中で「アメリカの死」を呼びかけ続けている。ウラン濃縮に関してなされた譲歩は、イランがこの地域で不法な活動を増加させることで報いられている。核合意を唱えたオバマの理論的根拠は、経済的繁栄がイデオロギーに勝るというものだった。しかし、イランとの合意成立後、そのような状況は訪れていない。

包括的共同行動計画(JCPOA)の署名から5年、米国は段階的な取引が機能しないことに気づく。

ダニア・コレイラット・カティブ博士

加えて、米国はイランに解放された資金が紛争の資金調達に使用されていないことを確認できずにいる。オバマ政権の米国の最高幹部は、資金の一部はテロ組織に送られ、米国はこれを管理出来ていないとさえ、率直に明言している。同時に、オバマは交渉の流れを妨げないように、この地域でのイランの攻撃的な行動を見過ごしている。シリアのバシャール・アサドが化学兵器を使用した際には、オバマはレッドラインを超えた相手に対し、あろうことかシリアから撤退し、その後のロシアの介入への道を開いた。ホワイトハウスは、イラン側を動揺させないために、シリアへの制裁を定めるシーザー法が議会で通貨するのを遅らせた。

加えて、この制裁措置はアラブ湾岸同盟諸国の背後で封印されていた。長年の同盟国米国に見捨てられたと感じた湾岸諸国は以後、より独力で対処する力をつけるため、積極的な地域政策を採用するよう促された。イランとの米国の核合意は、地域に安定をもたらすはずだったが、結果はその正反対で、より多くの混乱と紛争の激化をもたらした。一方、トランプの最大圧力政策は、直接の対立を控えながら、イランのシステムを弱体化させたが、同国を屈服させるには至っていない。イランは濃縮ウランの製造を再開し、米国に対してさらに大きな反抗を示した。実際、イランは40年間制裁下にあり、制裁に対する一種の抵抗力を発達させてきた。トランプが期待していた、イランのハッサン・ロウハニ大統領からの交渉の席に戻るという呼びかけは為されることはなかった。 イランは、調停者の役割を演じようとした日本の首相を鼻であしらったことを始め、米国とのあらゆる交渉の扉を閉ざした。ロウハニは、フランスで開催されたG7でジャバド・ザリフ外相がそうしたように、国連総会中に米国大統領と会うことを拒否した。 イランは依然として反抗的であり、米国との交渉の前提条件として、米国が包括的共同行動計画(JCPOA)の枠組みに復帰することを要請している。

包括的共同行動計画(JCPOA)の署名から5年が経ち、米国は断片的な取引が機能しないことに気付き始めている。ただ、バイデンとしても、何らの譲歩も得られずに取引に戻ることで、弱腰であると見られることを防ぐであろう。そのため、米国及びイランだけでなく、地域の米国の同盟国に必要な保証を提供する大バーゲンが必要となってくる。 ただでさえ、バイデン政権は当初国内の課題だけでも多忙を極めるはずだ:いくつか例を挙げるだけでも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の問題、悪化する経済、人種間の緊張など、いずれも緊急度が高い。また、バイデンの最優先事項は、トランプ大統領の任期中に緊張した欧州各国との関係修復であるはずだ。結局のところ、イランとその周辺地域に対して多国間アプローチを採用する可能性が高いバイデンは、おそらく欧州の同盟国と関わり、イラン問題の包括的な解決策を探ることになろう。バイデンがイランとの交渉において、どのような選択をするにしても、核合意に戻ることを選ぶのは、困難に直面することにつながるであろう。

  • ダニア・コレイラット・カティブ博士は、米国とアラブ諸国の国際関係の専門家で特にロビーイングに詳しい。 彼女はまた、Track IIディプロマシーに特化したレバノンのNGOResearch Center for Cooperation and Peace Building (RCCP)の共同設立者である。彼女はまた、ベイルート・アメリカン大学のIssam Fares Institute for Public Policy and International Affairに研究者として所属している。
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