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商品相場にスーパーサイクル到来と考えるのが早急である理由

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17 Feb 2021 08:02:49 GMT9
コーネリア・メイヤー
17 Feb 2021 08:02:49 GMT9

1週間前、世界はブレント原油価格がバレル当たり60ドルの壁を超えたニュースを報じた。その1週間後、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)も60ドルを超えた。これは、ここ2年で最長となる原油価格の反騰、そしてここ13カ月で最高のWTI価格となったことを意味した。指標は2月初め以来16%上昇している。

昨年末にこのコラムで、原油は今年の重要なリフレ取引となるだろうと述べた。これは他の商品とともに事実ではある。しかし、価格は正しい方向へ向いているとはいえ、商品相場が新たなスーパーサイクルに突入したと歓迎するには、まだ慎重になるべき多くの理由がある。

ここ最近の石油価格の反騰は、北米、欧州、アジアを突然襲った寒波によるところが大きい。北極圏からの大寒波が需要の急騰を助け、パーミアン盆地を始めとする米国シェールオイル産地からの供給に悪影響を及ぼした。それと同時に、テキサス州のパイプラインや精製所は部分的な停止を余儀なくされた。

価格上昇の裏にある重要な理由は、OPEC加盟13カ国とロシアを筆頭とする非加盟10カ国からなる「OPECプラス」同盟が、歴史的な減産合意を驚くほど厳密に順守したところにある。

12月と1月にOPECプラスは、ロシアとカザフスタンに2月と3月の例外を認めつつ、減産を3カ月延長した。さらにそれに上乗せしてサウジアラビアが、1度限りの自主的な取り組みとして、2月と3月に日量100万バレルの減産を発表した。

それによって供給が十分に抑えられ、経済協力開発機構(OECD)の石油在庫が30憶6300万バレルにまで縮小した。しかし、これでも依然として5年平均を1億3800万バレル上回っている。OECDの石油在庫は、OPECプラスが国際石油市場の健全性を測定・評価するのに使う極めて重要な指標である。

OPECが先週発表した月次石油市場報告では、2021年の需要の上昇が、日量で10万バレル少ない580万バレル増へと下方修正された。新型コロナ感染症が再拡大したことにより、国際エネルギー機関(IEA)も今年第1四半期の需要を以前の見通しよりも不活発と修正した。

しかし、大多数の経済学者は今年の第3、第4四半期にはかなりの上昇を予測している。これは、国際通貨基金(IMF)が今年の成長予測を5.2%から5.5%に引き上げた事実にも反映されている。

上記は楽観的な見方であるが、短期的には、この動向を脱線させるような展開を警戒することが重要だ。

来月のOPECプラス閣僚会議は、それほど簡単にはいかないかも知れない。ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相はこの週末、石油市場はバランスを取り戻したと発表した。これは、石油業界が現在のブレント価格に満足しているロシアにとってはそう言えるのだろう。だが、もっと石油価格が上昇しなければ予算調整がうまく取れない産油国もあるのだ。

そして、最近の値動きには、サウジが1回限りで実施した減産が功を奏していたのだという事実も忘れてはいけない。3月初めのOPECプラス閣僚会議はさらに先を見据えるものであり、4月以降について話し合うことになる。

現在の減産を徐々に緩和していくことについて、現在の価格レベルではタカ派の加盟国が、ハト派諸国の熱意を抑えるのは簡単ではないと感じるかも知れない。

月曜日に、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が電話会談を行ったが、その中で特に、OPECプラス合意に基づく両国の協力について話し合われた。

石油価格は2022年にかけてのこの先12カ月で間違いなく回復するだろうが、しかしおそらく、一部の人々が期待するほど急速にではない。新たな商品相場のスーパーサイクルに突入するかどうかはまだ分からない。その大部分は、米国と欧州のインフラ計画にかかっており、中国経済が今後12カ月でどのように発展するかにかかっている。

そしてこれは、米国に新政権が誕生して地政学的状況が変化し、北アフリカ諸国の永続的な平和が見込まれる中、OPECプラス体制下の減産を免除されているリビア、イラン、そして程度は少ないもののベネズエラが、どれだけの量を市場に供給するかによって相殺されることになる。

米国のシェールオイルも、見極めが難しいもうひとつの要因だ。専門家は、米国の供給量は2021年の間は日量1100万バレル付近を安定して推移すると見ている。それはそれとして、米国のシェールオイル業界はこの10年、多くのサプライズを予期するに十分な動きをしてきたわけであり、石油価格の急激な上昇がこれらの機敏な生産者たちにどのような刺激を与えることになるかは分からない。

このことから米エネルギー情報局(EIA)は、今年末に向けて石油価格が下落する可能性を警告している。当然、需要供給バランスがどのように動くかに左右されるところではある。

概して、今年最初の1カ月半の石油価格は、まさに驚き以外の何物でもなかった。石油業界がこの価格上昇を維持できるかどうかは、OPECプラス加盟諸国の減産体制の規律に依存するところが大きい。その意味で、すべての注目は来月のOPECプラス閣僚会議に集まっている。

  • コーネリア・マイヤー氏は博士号レベルの経済学者であり、投資銀行 の業務や業界に30年以上の経験を有している。ビジネスコンサルタント会社「マイヤー・リソーシズ」の会長兼CEOである。ツイッター:@MeyerResources
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