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G7はワクチンへの険しい道のりを辿らなくてはならない。

G7の仲間に手を振るボリス・ジョンソン。(Getty Images)
G7の仲間に手を振るボリス・ジョンソン。(Getty Images)
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25 Feb 2021 09:02:32 GMT9
25 Feb 2021 09:02:32 GMT9

「全員が安全でない限りいかなる人も安全ではない」ということを認めたうえで、G7は先週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に打ち勝つために、ワクチン、治療、診断へのより手軽で公平な世界的アクセスを手助けするための追加手順を発表した。しかし、言明された意図を、効果的な行動に移すには、各国内での強力な政治的指導力と、財政援助にとどまらない発展途上国への支援が必要となる。これは容易なことではないであろうが、豊かな国が臨戦態勢で要塞に住むことを避けたいのならば、その努力は重要である。

現在のワクチンの利用可能性と配分率は、深刻な不平等の状態にある。国際連合事務総長アントニオ・グテーレスによると、これまでに国内新型コロナウイルスワクチン接種率が75%に達した国は、たったの10カ国であるという。130カ国以上の国々が1回目の接種を受けていない。こうした不平等に直面し、G7はパンデミックに関連した援助金を75億ドルに増額することに合意したうえで、G20と国際組織などに、COVAXファシリティやAccess to COVID-19 Tools Accelerator のイニシアティブを通じて、発展途上国への支援を強化するよう呼びかけた。

こうした行動は、単になすべき正しいことというわけではない。つまり、発展途上国が直面している大きなリスクを鑑みるに、それらは先進国の利益にもなるのである。他の国々がウイルスに打ち勝たない限り、変異種は増殖し、先進諸国を、一見すると終わりのない、潜在的な勝ち目のないシナリオへと誘う。

こうしたことの発端は、既存のワクチンを無力化し、感染、入院治療、死、ロックダウンという恐ろしい循環を繰り返し引き起こす、変異種「移入」のリスクにある。すでに、COVID-19との戦いは、ケント(イングランド)と南アフリカ由来の新変異種の出現により、一層厳しいものとなっている。こうした変異種は感染のスピードを上げているが、幸いなことに、治療とワクチンの効果は保持されているという。

人々をさらに動揺させる変異種のリスクを最小限にすることは、国々が人々の生命と暮らしを危険にさらしてきた脅威の峠を越えることにとって重要である。他の選択肢は、国境へとバンカーのようなアプローチを適用することであろう。

これはもはや一騎打ちではない。私たちは今や皆、オリジナル・ウイルスのみならず新変異種ウイルスも打倒するように、免疫付与を推し進めている。もしこれがなされなかったら、多くの国々は————特に、感染を減らしワクチン接種をすることを強力に進めてきた国々は————繰り返し難しい選択を迫られることになるであろう。すなわち、海外からの新変異種によって崩壊するリスクを取るか、または、市民、住民、訪問者の対内的・対外的な人の流れを大幅に削減するか、という選択である。どちらの選択も簡単に支持できるものではない。

COVID-19との戦いにおいて、他の人々を助けることが国際的な優先事項であることは、特に西洋諸国にとって、別の仕方によっても示されている。中国はすでにその影響力を高め、「マスク外交」(ウイルスの拡大を抑えるために、無料のマスクを提供している)を通じて直接的にも、また、そのガバナンス・モデルが西洋諸国のそれよりも不測の事態を克服することにおいて効果的であると示すことによって間接的にも、発展途上国の中に取り入っている。

今や、中国はロシアと同様にワクチンを提供するのに忙しい。例えば、The Africa Medical Supplies Platform は最近、アフリカ連合は、財政的支援が必要な国々に対する資金と共に、3億回分のロシア製ワクチン「スプートニクV」の提供を受けたと発表した。

発展途上国におけるワクチン接種のアクセスを良くしようとするG7の試みは、G7が国際舞台を見捨てたという見方をはねかえす一助となるであろう。これはバイデン政権の、グローバル・リエンゲージメントという基本方針とも合致する。この領野におけるG7の成果は、最近の重要な諸誓約を完璧に果たすこと以上のことを含みこむであろう。発展途上国に対して財政的支援を行うこと、そして、先進国における予測されているか、または、既に確保されているワクチンの余剰を寄贈することは、急務である。

他の国々がウイルスに打ち勝つことができない限り、新変異種が増殖するであろう。

Mohamed A. El-Erian

G7は少なくとも2点において、こうした援助以上のこともまたしなければならない。1つは、援助が必要な国々や援助を求める国々に対して、G7加盟国は、サプライチェーンを局所的に阻害している小さな障害を克服するために、技術的補助や後方支援を提供するべきである。(この「欠陥」は、マラリアにおいてみられるように、長きにわたりワクチン早期接種を阻んできたが、今ではより容易に克服できるものとなっている)。もう1つは、G7は、ワクチン製造会社に地域の製造会社と知識を共有するよう後押しするべきであり、また、そうすることができるように、地域の製造会社の法的・運用的能力を手助けするべきである。

目の前の道は険しい。自国のためだけに資金と努力を費やすことを望んだり、COVID-19における現在の利益獲得機会、あるいは、ワクチンを含む科学的進歩からの将来の利益獲得機会を守ろうと模索したりするなど、様々なレベルでの壁が立ちはだかっているであろう。この道は険しいが、他の道はさらに険しい。ウイルスの混乱に甘んじるか、国際的バンカーに甘んじるか、あるいは、その両者である。

  • Mohamed A. El-Erianは、アリアンツのチーフ・エコノミック・アドバイザーで、クイーンズカレッジとケンブリッジ大学の学長であり、バラク・オバマアメリカ大統領政権下の国際開発協議会では議長を務めた。近著には「The Only Game in Town: Central Banks, Instability, and Avoiding the Next Collapse」がある。コピーライト:プロジェクト・シンジケート
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