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証拠は「平和的」核開発活動だとするイランの主張と矛盾

イラン北部のゴムにあるフォルドのウラン転換施設の内部(イラン原子力庁/AFP通信)
イラン北部のゴムにあるフォルドのウラン転換施設の内部(イラン原子力庁/AFP通信)
12 Nov 2019 06:11:27 GMT9

 

イランの体制は最近、そのブレイクアウト時間(十分な兵器級ウラニウム(WGU)を製造するのに必要な時間)を大きく短縮させたようだ。イラン政府はここ数ヶ月で、複数の段階を経て、これを達成した。

先週、イランの核開発責任者のアリー・アクバル・サーレヒーが、イランは「十分な」20%の濃縮ウランを保有していると挑発的に宣言した。同国はフォルドの核施設で5%のウラン濃縮を再開し、ウランガスを遠心分離機に注入し、60機の高度遠心分離機IR-6を稼働させていると、彼は付け加えた。WGUは約90%の濃縮で得られる。

イランが現在、イラン核合意として一般的に知られている2015年の包括的共同行動計画(JCPOA)の下で認められていたものより50倍近く速くウランを濃縮する遠心分離機のある種の試作機を使用する中、これはイランの核による挑発において、危険な段階を示すものだ。

イランの動きは、JCPOAの規定に明確に違反するものだ。この下では、イランの指導者らは15年間フォルドでのウラン濃縮を停止し、同施設を科学研究センターに転換することで合意していた。

イラン政府が核合意に違反する形でこれまでに取った3つのステップには、合意で定められた300キロの上限を超えて濃縮ウランの備蓄を増やしたこと、上限の3.67%を超える水準にウランを濃縮したこと、高度遠心分離機IR-4を20機、IR-6を20機稼働させたことが含まれる。

イランの指導者らは、同国の核開発活動は平和利用のみを目的としているという不合理な主張もしており、対応が必要だ。イスラム共和国の核プログラムの背後に実際に良い意味の意図があるというなら、なぜ核拡散防止条約(NPT)の基本条項に従わないのだろうか?イランは1970年以降、NPTの当事国となってきたが、繰り返しナタンズやアラクの原子炉を含む同国の核施設について、国際原子力機関(IAEA)への報告を怠ってきた。

加えて、イランの体制はなぜ、テヘラン郊外に位置すると言われている秘密施設に関して新たに明らかになったことについてのIAEAの質問に回答を拒否しているのだろうか?ワシントンに拠点を置く2つの非党派組織、科学国際安全保障研究所と、民主主義防衛財団は昨年、イランがこの場所で秘密裏に行っている核開発活動に関する詳細な報告書を発表した。また、IAEAの査察官は9月、この現場で放射性ウランの痕跡の検出に成功している。

イラン政府はなぜ、国際査察官に対して、パーチンの軍事施設での核開発活動の査察を認めないのだろうか?また、イランはなぜ最近、国連の査察官がナタンズの核施設に立ち入ることを阻止したのだろうか?

さらに言えば、なぜイランの体制は、核合意の後に、フォルドにS-300対空ミサイルシステムを配備したのだろうか?最後に言うならば、なぜイランの体制は、違法な核技術や設備を入手しようと取り組んでいることについて、適切に報告しないのだろうか?ドイツの国内諜報機関、連邦憲法擁護庁は、2016年の年次報告書で、イラン政府が、「国際的な基準からしても、量的に高いレベルで」ドイツの企業から違法な核技術と設備を入手するための「秘密の」道を進んできたと明らかにした。

言い換えるならば、テヘランにあるイランの秘密核施設でのウラン検出や、イランが同国の使節についての簡単な質問への回答に後ろ向きなこと、イランが続ける核開発活動に関する非党派組織の証拠は、どれも、イラン政府の核プログラムが、イランの指導者が主張するような平和利用目的には決して設計されていないという疑念を指し示しているのだ。

4年が経過し、JCPOAが、イラン政府にその核の野心を追求するための金を提供するのと同時に、イランを支配する聖職者にその覇権的野心やテロ支援活動を追求するために何十億ドルもの資金を提供したムッラーのための合意以外の何物でもなかったことも明確になった。

イランの20年前の核に関する資料は、同国を支配するムッラーが核兵器のためのWGUの入手や、積極的な追及に興味を持っていることを示している。

マジッド・ラフィザデー博士は、ハーバード大学で学んだイラン系アメリカ人政治科学者。イランとアメリカの外交政策に関する第一人者で、実業家、インターナショナル・アメリカン・カウンシル理事長。ツイッター:@Dr_Rafizadeh

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