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ニュージーランド、日本は、アジア太平洋の分裂に関する正当性を主張

内閣記者会見後のジャシンダ・アーデーン首相。2020 年 6 月 8 日、ニュージーランド、ウェリントンにて (Getty 写真 )
内閣記者会見後のジャシンダ・アーデーン首相。2020 年 6 月 8 日、ニュージーランド、ウェリントンにて (Getty 写真 )
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01 May 2021 09:05:30 GMT9
01 May 2021 09:05:30 GMT9

政治的なリスク分析という観点からは、インド太平洋が我々の新たな時代において極めて重要な舞台であることは、まったく疑う余地が無いだろう。世界の将来における経済的成長の大部分は、この地域にある。そして、世界における地政学上の戦略的緊張もまたしかりである。

寄稿欄で最近論じたように、この最も重要な地域は、今起きつつある米中超大国の争いの中心地域である。しかし、まったくもって不調である。北京のとる過度な戦略的行動は、ワシントンが地理経済の重要性について愚かにも完全に誤解したことと同じく愚かなことである。

ついこの先月のことだが、新しい経験的な、現実世界のデータから、この地政学上の戦略的主張がはっきりと明らかとなった。ニュージーランドは、これまでは英語文化圏の反中国同盟の創設国であったが、非常に重要なファイブ・アイズ (Five Eyes) 機密情報共有連合への関与を限定的としようとした。そして、まさに時同じくして、英語文化圏の名誉会員国である日本が、確かに日本は、19 世紀の明治の王政復古改革運動において、英国指揮の流儀にその根拠を置く政策へと新たに舵を切ったのであるが、会員制クラブに正式に入会しようとしていた。

これらの完全に異なった戦略的路線が共に、米中冷戦の争いの持つ偏った性質から説明されるのは皮肉なことだ。中国に対するその経済的依存という理由から、ニュージーランドは米国と距離を置きつつある一方、同地域における中国の攻撃的な動きが増加していることへの恐れという理由から、日本はワシントンに近づきつつある。

反中国という方向性においてファイブ・アイズ機密情報連合の権限を拡大するための、馬鹿馬鹿しいものの急速に拡大している英語文化圏の取り組みにおいては、ニュージーランドは、その代償を支払う可能性がある。2017 年の同国の諜報網の内部検査から明らかとなったことは、ニュージーランドがファイブ・アイズ連合に提出した全報告書のうち、99 について連合は見返りを受け取った。そのような明らかに有利な安全保障協定を危険にさらすことを厭わないということは、同国の中国との経済的な繋がりがどれほど重要となっているかについてを、明白とするだけだ。

北京は群を抜いて、ウェリントンの最大貿易相手国である。2020 年、ニュージーランドの輸出の実に 32.3 パーセントが中国向けであった。同様に、ニュージーランドは、習近平の巨大な一帯一路 (BRI) について、早期からの熱狂的支持者であった。そして、2017 年にはインフラ取引に署名した。隣国のオーストラリアと違って、ジャシンダ・アーダーンの左派寄り政府は、BRI から離脱する気配をまったく見せていない。同地域において、北京が攻撃的姿勢を増大させているにもかかわらず、である。

むしろ、逆のことが起こっている。インド太平洋における北京の姿勢が原因でいかなる危険が増大しようとも、アーデーン政府が中国とのつながりを臆病にも優先しているためである。2020 年 5 月には、ニュージーランドは、ファイブ・アイズのうち唯一、香港における中国の締めつけを非難する共同声明に署名しなかった国であった。また、アーデーン政府は、西部新疆自治区ウイグルに対する中国の処遇を批判する、ファイブ・アイズの共通声明からも離脱した。そして遂に今月、ニュージーランドは、他の英語文化圏国の最も恐れていたことを正式に認めた。ファイブ・アイズ網の反中国の権限拡大全般に対し、「不快感」をはっきりと表明した。

態度がこのように変わった理由は単純だ。アメリカの両政党は、世界中からの破壊的な保護貿易主義の撤回を継続しており、それにより、ドナルド・トランプ下における米国の環太平洋パートナーシップ (TPP) の否認、バイデン政権の明らかに熱意に欠ける協定への再参加という事態となっている。同時に、中国は、現在は東アジア地域地域包括的経済連携という装いの自由貿易取引を通じて、同地域を経済的にさらに統合し続けている。ますます、中国はインド太平洋という街における唯一の経済的ルールとなっている。米国が、このひどい地理経済的な愚挙を正さないとすれば、ニュージーランドは確実に従うこととなる。

しかし、別の一面には、中国は歴史的に忍耐強くないため、残りのインド太平洋地域をすぐにでも手中に入れようとしているようにも見える。そのため、支配に向け極めて重要な戦略的争いにおいてアメリカを打ち負かすための取り組みに、明らかに自由を奪われ続けている。柄にもなく慎重さを欠いているが、習は、中国は、将来いつの日かではなく今、インド太平洋全体の調和を要求する意図があることを、明らかにする。

結果として、日本やオーストラリアのような、長期的で重要なアメリカの同盟国は、すでに十分統合されているアメリカとの戦略的提携をさらに進めるべく声高に叫び続けている。ついこの先月のことだが、在オーストラリア日本大使は、東京はファイブ・アイズに参加予定であると、発表した。

アメリカは、地理経済の重要性について改めて学ぶ必要がある。中国が、インド太平洋において戦略的な脅しを控える必要があるとしてもである。

ジョン・C・ハルスマン博士

日本が加わることは、連合にとって莫大な恩恵である。日本は、中国に関して世界随一の諜報能力を有する。北京に近いこと、そして、伝統ある競争相手について、文化的歴史的に理解しているからである。結論は明らかである。日本は、米国 – 英語文化圏の反中国同盟にその身をさらに委ねたいのである。

ニュージーランドと日本の異なる反応は、米中冷戦の偏った性質に関する私の当初の仮説が正しいものであると教えてくれる。インド太平洋地域のほとんどの国々は、米国の安全保障の傘下に入ることを望む。中国と、急成長する貿易上のつながりをさらに望んでいたとしてもである。同地域において安定した同盟国を増やすことが、究極的な戦略的成功への鍵となるだろう。その実現のためには、アメリカは、地理経済の重要性について改めて学ぶ必要がある。中国が、インド太平洋において戦略的な脅しを控える必要があるとしてもである。どちらの国が改めるにせよ、同地域における包括的な対応を進展させることが、この最も重要な政治的リスクの争いへの勝利を確実にするものである。

  • ジョン・C・ハルスマン博士は、卓越した世界的な、政治的リスクに関するコンサルタント会社、ジョン・C・ハルスマン エンタープライズの会長兼業務担当パートナーである。また彼は、シティ・オブ・ロンドンの新聞、シティ・エイエム (City AM) 紙の上級コラムニストである。彼の連絡先は、chartwellspeakers.com である。
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