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アラムコがサウジの土地、海洋、海岸線の生物多様性を守るために実践していること

マングローブは、CO₂を削減するための最も効率的な自然環境ソリューションの一つとして認識されている。(写真提供:サウジアラムコ)
マングローブは、CO₂を削減するための最も効率的な自然環境ソリューションの一つとして認識されている。(写真提供:サウジアラムコ)
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22 May 2021 07:05:42 GMT9
22 May 2021 07:05:42 GMT9

5月22日(土)は、生物多様性問題への理解と認識を深めることを目的として、国連が「国際生物多様性の日」に指定している。

そして、多様な野生の動物や植物にあふれるサウジアラビアにおいても、今年は、『私たちも解決の一翼を』をテーマに、イベントを開催する。

サウジアラビアには鳥類499種、哺乳類117種、爬虫類107種、サンゴ礁266種、魚類1,230種、両生類8種、そして顕花植物2,400種以上が生息している。

太陽の陽光を受けて緑、青、赤、紫、黒など様々な色に変化し、鮮やかに輝くアラビアン・サンバードをはじめ、地球上で最も美しいとされる動物たちがサウジアラブアで見ることができる。

他にも、チンパンジーやシェイクスピア劇のような複雑な社会的行動をとり集団生活をする鳥、アラビアヤブチメドリなど、大小さまざまな魅力的な生き物がいる。

残念なことに、サウジアラビアには世界的に絶滅の危機に瀕した動物も生息している。例えば、サルソ島レーサーは、1964年にジャザン沖のファラサン諸島で初めて発見されたヘビであるが、それ以来誰も見かけた者はいない。

サウジアラビアの動植物の約70%が減少傾向にあり、約33%が正式に絶滅の危機にある種のリストに載っている。

こうした日頃目にしない驚くべき統計を見せられると、誰でも焦りを覚え、気が滅入る。本当にこれだけ多くの種が絶滅の危機に瀕しているのであれば、どの種を最初に助けるべきなのだろうか?

世界的にはこのような場合、コミュニティは大型でカリスマ性があり、可愛いい種の保護に注力する傾向があるが、その決定の背景には科学的根拠がほとんど無い。

国連国際生物多様性の日とアラムコからの重要なメッセージは、すべての人が生物多様性の危機に向けて参加すべきだということだ。私たちが生物多様性を守れなければ、誰が守るのであろうか?

クリス・ボーランド

サウジアラムコ社は、同社が操業する土地、海、海岸線の生物多様性の保護に努めてきた。同社は近年、サウジアラビアに生息するすべての動物種(海洋生物は含まない)の保護優先度をランク付けする科学的手法を開発している。

種の絶滅危惧の程度、生存している個体数、個体数が増えているか減っているか、世界に占めるサウジアラビアでの個体発生数、その種のユニークさの程度などいくつかの要素を考慮して、個々の種を100点満点で評価するものである。

こうしてアラムコ社は、すべての種を保護の優先順位が高いものから低いものへとランク付けした、純粋に実証的なスコアシートを作成することに成功している。

アラムコ社は、科学的なスコアリングシステムを用いて、サウジアラビアで今最も保全の優先度が高い種は、アラビアンブリームという淡水魚であることを発見している。この小さな魚は1983年に初めて発見されたが、2014年にカイバーで見つかるまでは、誰にも目撃されなかった。この魚は絶滅の危機に瀕しており、サウジアラブア内の小さなダム1つにしか生息していないことが分かっている。

次に保護の優先順位が高いのは、アシールカササギだった。この鳥は、サウジアラビアのアシール山脈にあるジュニパーの森のわずかな場所にしか生息しておらず、おそらく100組しか生存していない。

保護優先度の高い上位20種のほとんどが、あまり聞いたことのない小さな淡水魚や爬虫類、鳥類であることが分かっている。

保護優先度の高い種のほとんどは、美しくもなく、象徴的な存在でも無かった。しかし、だからといってそれらの種の絶滅を放置していいわけでは無い。実際、これらの種があまり知られていないという事実は、アラムコが事業を行う際に細心の注意を払っている理由の一つである。

同社は最近、企業の生物多様性保護方針を策定し、すべての新規プロジェクトが生物多様性に現状プラスの影響を与えることを求めている。

アラムコ社は、この活動を通じて、動植物にとって居心地の良い生息地を確保することで、生物多様性を保護することを目指している。これまでにアラムコ社は、社有地内に10カ所、977平方キロメートルの生物多様性保護区を指定し、500種以上の動植物の保護に貢献してきた。

また、新規プロジェクトの際には、現地準備を開始する前に生物多様性の調査を徹底的に行い、在来種の保護に努めている。

また、劣化した生息地の回復にも力を入れている。例えば、海岸沿いの重要な場所に数百万本のマングローブの木を植え、極めて重要な生息地を回復させている。また、ルブアルカリ砂漠にある広大なシェイバ野生生物保護区にアラビアンオリックス、ガゼル、赤首ダチョウを再び住まわせている。

世界は生物多様性の危機に直面しており、人々がどのように支援できるかが大きな課題となっている。

サウジアラビアでは、自生する植物の保護が優先課題とされている。砂漠の植物の上を車で走らないようにしたり、木を集めすぎたりしないようにすることが呼びかけられている。高さわずか50cmの小さな植物でも、40年、60年経っている可能性があり、枯れてしまうと元に戻るのに数十年かかると言われている。

自生している木を植える、ゴミのポイ捨てや野生動物の狩猟をやめたり、肉食をやめたりなど、人間が消費する天然資源を減らし、自然が存在する場所を増やすために必要な行動はたくさんある。

国連国際生物多様性の日とアラムコからの重要なメッセージは、すべての人が生物多様性の危機を解決するために参加すべきだということだ。私たちが生物多様性を守れなければ、誰が守るのであろうか?

  • クリス・ボーランドは、サウジアラムコに所属する環境スペシャリストである。
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