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G20の各国首脳:世界の中心で活躍するサウジアラビアと学んだ教訓

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23 Oct 2021 08:10:34 GMT9
23 Oct 2021 08:10:34 GMT9

2020年11月、サウジアラビアが議長国を務めたG20サミットが閉幕した。これまでの課題に加えて、新型コロナウイルスの感染流行による新たな課題にも取り組み、G20会合をバーチャル形式で開催したのは、開催国として並々ならぬ努力の賜物である。

様々な課題があったものの、G20リヤド・サミットでは3つの主要分野に焦点が当てられた。それは、人々に力を与え、地球を保護し、新たなフロンティアを形成する、の3つである。

特に「Shaping new frontiers」というテーマにおいて、サウジアラビアは、国際的な協力関係を通じてイノベーションの恩恵を活用・共有することや、人工知能の進歩やスマートシティの開発など、経済全体のデジタル化の恩恵を活用することについて取り上げ、一部の重要な分野に素早く取り組んできた。

2021年7月、サウジアラビアは、世界経済フォーラムのグローバル4IRセンターの一環として、物流、AI応用、交通、スマートシティに特に焦点を当てた「サウジ4IR(第4次産業革命)センター」を発足させた。これは「NEOM」の中でも野心的な「The Line」プロジェクトに代表されるものである。

G20 の議長国であるサウジアラビアは、政府とは独立したステークホルダーや国際的な専門家らで構成される様々なエンゲージメント・グループを設立した。そしてその各グループに多くのサウジアラビアの専門家が参加し、関連する技術を身につける機会を得たことにより、国際的な専門知識が広まったことが、サウジアラビアにとってより大きなメリットとなった。繰り返しとなるが、これらのエンゲージメント・グループは、それぞれ異なる分野に焦点を当てる。経済、いわゆるシェルパ・トラック、そしてエンゲージメント・グループである。

それぞれの議論の結果、サウジアラビアの新たな取り組みや規制監督が誕生した。例えば、「G20 Tech Sprint Initiative」では、規制遵守や監督上の課題を解決するための新技術の可能性が強調された。サウジアラビアは、他国から学ぶだけの受動的なG20参加国ではなく、自国の成果やノウハウをアピールした。

「世界競争力年鑑」によると、企業のサイバーセキュリティの分野で、サウジアラビアは世界第2位となっている。また、サウジアラビアは「ビジョン2030」事業における急速な達成を反映して、電子政府開発指数ではG20諸国の中で12位に躍進した。「世界競争力年鑑」によると、サウジアラビアは技術開発のための資金調達において世界第7位となっているが、これはサウジアラビア中央銀行と資本市場庁による包括的かつ積極的な規制の枠組みによって達成されたものである。

サウジアラビアは、G20 の各国首脳らによる最終的な提言を実行することを望んでいる。

モハメド・ラマディ博士

サウジアラビアの金融規制体制に対する信頼の証として、G20金融監督委員会は、サウジアラビア中央銀行(SAMA)のファハド・アル・ムバラク総裁を基準実施に関する常設委員会の議長に任命した。

シェルパ・トラックでは、教育、雇用、エネルギー、ヘルスツーリズム、デジタル経済などの社会経済的課題に焦点を当てた閣僚や政府機関の高官による会合が行われた。エンゲージメント・グループには、サウジアラビアの経済界、女性、若者、労働者、シンクタンクなどの様々な組織やグループの代表者らが参加した。明らかに若者と女性の雇用問題がG20会合の議題の大半を占めていた。

人口の約70%が35歳以下というサウジアラビア社会の比較的若い年齢構成や、「ビジョン2030」事業の下でサウジアラビアの生活のあらゆる側面に女性の参画を奨励していることを考慮すると、若者と女性に議論の焦点がことは驚くべきことではなく、これはサウジアラビアにとって重要な意味を持っている。

G20に参加したサウジアラビアのさまざまな関係者や幅広い分野の参加者が学んだ教訓は、決して過小評価されるべきものではない。今回参加した組織の中には、 サウジアラビア商工会議所、ミスク(MiSK)財団、世界文化センターIthra、サウジアラビア労働委員会、アブドゥラー国王石油調査研究センター、ファイサル国王研究センター、ハーリド国王財団、アルナドハ女性連盟、リヤド市王立委員会、キング・アブドゥラー科学技術大学など、サウジアラビアを代表する機関の著名人などが含まれていた。

このようなサウジアラビアの機関や民間企業から代表者が参加したことは、多くの点において重要であった。これらの参加者らにとって今回の会合は、専門的な技術的を向上させただけでなく、将来的に相互に関心のある課題で協力するため、新たな友情とネットワークを構築する機会となった。要するに、サウジアラビアはG20の議長国として、将来のサウジアラビアのリーダーとなる世代に、特別な国際的経験を提供したのだ。

さらにサウジアラビアはG20議長国として、G20参加国に加え、それ以外の国々や国際機関もG20会合に招待した。2020年には、ヨルダン、シンガポール、スイスが、G20会合の恒久的な招待国であるスペインとともに、招待された。
サウジアラビアは、アラブ通貨基金やイスラム開発銀行をはじめ、湾岸協力理事会議長国のアラブ首長国連邦、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国であるベトナム、そして「アフリカ開発のための新パートナーシップ」の議長国をつとめるルワンダなどの地域組織なども招待した。これにより、サウジアラビアとの関係機関や協力関係に、さらなる多様性がもたらされた。

アラブ世界で初めて開催されるG20会合となった2020年のG20リヤド・サミットにおいて、サウジアラビアは議長国として、特に新型コロナウイルスの感染流行や新たなデジタル時代の到来など、中東諸国が直面する課題に焦点を当てた。

質の高い投資の誘致、持続可能なエネルギー、労働市場の改革、若年層を中心とした機会の創出、女性の参画など、実質的な課題が幅広く議論され、これまでの教訓が各議論に反映されていた。サウジアラビアは、G20 の各国首脳らによる最終的な提言を実行することを望んでいる。

G20議長国を務めたことで得られた経験や教訓を踏まえ、サウジアラビアは2021年にローマで開催されるG20会合に効果的に参加する準備を整えている。

モハメド・ラマディ博士は、元幹部銀行員で、ファハド国王石油鉱物大学King Fahd University of Petroleum and Minerals, Dhahranの金融・経済学の教授である

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