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気候危機に対処するには今すぐ変化が必要だ

2016年11月11日、英国、ノーサンバーランド、ブラグドン・ホール、石炭の露天採掘が行われているショットン・サーフェス鉱山(ロイター)。
2016年11月11日、英国、ノーサンバーランド、ブラグドン・ホール、石炭の露天採掘が行われているショットン・サーフェス鉱山(ロイター)。
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06 Nov 2021 06:11:47 GMT9
06 Nov 2021 06:11:47 GMT9

私が物心ついた頃から、地球を救おうという話題は常に語られてきた。そこに目新しさはない。
そして今、冷たく、灰色で、やや湿度のあるグラスゴーに世界のリーダーたちが集い、またしても同じ話題を話し合っている

今のところ、森林破壊の阻止、メタン排出量の削減、世界的な気温上昇の鈍化などが公約に掲げられてきた。どれも良いことだ。

しかし記憶を遡って2015年12月、この時世界は国際的な温室効果ガスの排出量を大幅に削減することで合意に至っていた。この狙いは、産業化以前の時代と比較して、今世紀中の気温上昇を2℃以内に抑えつつ、さらに1.5℃まで目標を上方修正するための手段を探っていくことだった。だが、それは依然として実現していない。

グラスゴーでの「COP26」の開会の挨拶で、代表を務めるアロック・シャルマ氏は、地球に残された時間は少なくなっていると述べた。シャルマ氏は「1.5℃以内に抑えるための期限が迫っていることを我々は知っています」と語った。彼は8月に公開された「気候変動に関する政府間パネル」の報告書を引き合いに出した。この報告書では「人間の活動が明確に世界的温暖化の原因である」という、あまり大して衝撃的とも言えない事実が明らかになった。私は何かを見落としているのかもしれないが、他にどんな原因があり得たというのだろうか?

お腹にガスを溜め込んでいる牛たちは大きな要因だ。牛が排出するメタンは、確実に世界の温暖化の原因のひとつだ。メタンガスは大気中に熱を閉じ込めるのである。だが、ここで少し立ち止まって考えてみよう。そもそも、なぜそんなに大量の牛たちがこの地球に存在しているのか?盛りのついた牛たちによってベビーブームが起きているわけではない。それは完全に、人間の肉に対する強欲が原因だ。

問題はメタンだけではない。2月、世界資源研究所は、森林破壊の主な原因のひとつが牛牧場の土地確保であることを明らかにした。世界の森林が広範囲に渡って失われているもうひとつの原因はパーム油と大豆の栽培であり、それらが大量に飼料として使われているのである。

これらを結びつけるファクターとは何か?それは、これらが全て利益目的かつ本質的に不可欠なものでは全くないということだ。私たちはそれらが無くても生きていける、少なくとも消費量を減らしても生きていけるのである。

利益以外のことを私たちが考えなければ、未来の世代のために地球を救うことはできない。

ドナルド・トランプ大統領の下、米国は経済に悪影響だという理由でパリ協定を離脱した。地球を救うつもりなら、私たちは利益が落ちることを受け入れなければならない。少なくとも一時的にそのあり方を多角化するべきだし、他の国ではそうなってきている。

何十年にも渡って石油を経済の原動力としてきた、豊富な産油量を誇るサウジアラビアを例に見てみよう。

同国は今週、地球への悪影響が少なく、さらにクリーンな燃料への扉を開く炭化水素を原動力とした、よりクリーンな経済への移行を主導していく用意があると述べた。

誰がそんなことを想像しただろうか?オーストラリアや英国が未だに石炭を燃やすことについて話し合っている中で、サウジアラビアがそれだけ大きなライフスタイルの変化を提案したのである。

私が子どもの頃、干ばつや飢饉、異常気象が破壊の爪痕を残していった。私が物心付いた頃から気候は厳しい状況に置かれ続けてきたのである。

グラスゴーに集まったリーダーたちは本腰を入れて法律を変え、経済の見方を変えるべきであり、私たち全員が食習慣を変えていく必要がある。

ピーター・ハリソン

グレタ・トゥンベリ氏をはじめとする気候活動家たちだけが、「今すぐ変化を、さもなければ近い将来私たちは自らの強欲がもたらした結果と向き合わなければならなくなる」という一貫したメッセージを発信し続けている。

私には6人の姪と甥がいる。私たちが行動を起こさなければ、その結果と向き合わなければならなくなるのは彼らやその友人たちだ。その彼らの子どもの世代で状況がどうなっているのか考えると、私は身震いしてしまう。

グラスゴーに集まったリーダーたちは本腰を入れて法律を変え、経済の見方を変えるべきであり、私たち全員が食習慣を変えていく必要がある。

  • ピーター・ハリソン氏はアラブニュースのドバイ支社で編集主任を務めている。彼は10年以上に渡って中東の取材を続けている。
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