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トルコの政党が女性票獲得に躍起

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13 Nov 2021 11:11:17 GMT9
13 Nov 2021 11:11:17 GMT9

1934年のこと、トルコの女性は、欧州でもいち早く政治参加の権利を得た。それ以来、女性は国政に積極的に参加している。しかし、政治の世界で性的平等を実現するには、まだ努力が必要だ。

トルコの全政党が理論上は女性の政治参画を歓迎し、後押しする態度を示しているが、現実には政治は今でも男性が支配する領域となっている。例を挙げれば、トルコ共和国設立以来、女性が政治に参加しているとはいえ、1993年から1996年まで首相を務めたタンス・チルレル氏が唯一の女性首相である。以降、大統領も首相もすべて男性が務めてきた。

とはいっても、男性が支配し主導する政党も、選挙での支持を得ようと思えば、女性に呼びかけることが必要だ。トルコの政党には本部に直結する女性部があり、2023年の重要な選挙に向け、最近女性の支持獲得に力を入れている。若者とクルド人の票に加え、女性票が選挙の行方を左右するであろう。

主要野党CHPの党首ケマル・クルチダルオール氏は、今週自作ビデオで、同党のトルコの女性に関する6段階の計画を発表した。選挙で勝ったら6カ月以内に実行するということだ。また同氏は、中道右派のIYIの党首メラル・アクシェネル氏との連立政権が成立した場合、政権獲得から1週間以内に、女性に対する暴力の防止と撲滅に関するイスタンブール条約に再度参加することも強調した。

直近の調査では、アクシェネル氏は女性の権利を擁護する姿勢が評価され、人気が急上昇している。アクシェネル氏はトルコ初の内務相を務めた人物だが、集会で同氏に抗議した女性に男性至上主義的かつ侮辱的な言葉を投げかけたとして、ある議員を即座に除名した。

もう一人の重要人物、イスタンブール市長のエクレム・イマムオール氏は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の主要ライバルのひとりと目されているが、以前から政府の女性に関する政策には批判的である。与党のAKP党が真夜中にイスタンブール条約から離脱した際には、「女性たちの長年にわたる努力を踏みにじるものだ」と糾弾した。

野党側では女性が大きな存在感を見せているが、AKPも保守的な女性有権者の支持を獲得しようとテコ入れしている。与党は10年にわたって女性の支持を得てきたが、大きな理由は、女性が大学に行きたがらない原因となっていたヘッドスカーフ禁止を2011年に廃止したことである。

若者とクルド人の支持に加え、女性の支持が選挙の行方を左右するであろう。

シネム・センギス

しかし、ヘッドスカーフに関するAKPの実績は、トルコのフェミニズム運動なくしてはあり得なかったものだ。ヘッドスカーフ問題での、非宗教的でリベラルな女性の支持を忘れてはならない。今度はその女性たちが保守的なAKPの支持者に対して、女性の権利について、あの時同様の支持を期待している。

イスタンブール条約からの離脱は、非宗教的な人々だけでなく、保守層にも反発を引き起こした。女性の人権問題活動家、弁護士、野党政治家等が3月のエルドアン氏の決定を非難し、何日にもわたって抗議のために路上に繰り出した。女性たちにとって、条約の廃棄は非常に大きな落胆だったのだ。エルドアン氏は世界で最初に条約に調印したのだが、票田として期待する一部保守層の圧力に屈して離脱したと見られる。

過去数年にわたって、AKP幹部の女性に関する発言が問題になったことも何度かあった。女性は公衆の面前で笑ってはならないとか、服装は地味にすべきだとか、家庭外での女性の役割を規制する差別的保守主義の現れである。

AKPには数多くの女性議員もいるが、多くの人々は、これら女性政治家は父権社会を補強するための存在であり、政府にトルコの女性の待遇を改善するよう迫るものではないと考えている。直近の例では、AKPの女性議員が、AKPが政権を取るまでは「女性には名前が無かった」と言ったことがある。これには野党が一斉に反発した。

クルチダルオール氏の発表からうかがえるのは、CHPの女性に関する政策はよく準備されたものだということだ。一方、日曜日のイスタンブール・マラソンの際の1枚の写真が、同党が選挙で大きな支持を獲得するであろうことを明確に示している。アクシェネル氏の他にも、CHPのイスタンブール支部長カナン・カフタンチオール氏、CHP女性部副部長アイリン・ナズリアカ氏、イスタンブール市長夫人ディレク・イマムオール氏が写っていることが、多くの人々の注意をひいた。男性より女性が多く写っており、また、前面に出ていた。

AKPは今まで以上に、支持基盤である保守派女性層の支持を必要としている。その票を失うことは、同党にとって政治的に重大なつまづきであり、女性に党の成功がかかっているのだ。同党の創成期に支持してくれた女性たちの支持を取り戻すことも必要かもしれない。

要約すれば、トルコでますます分極化傾向にある問題の一つが女性の権利であり、政治や家庭外での女性の役割と参画などが焦点となる。女性の支持なくしては、どの政党も2023年の選挙で目標を達成できないことは明白である。しかし大事なのは、女性たちが政治的成功の道具にされないことであり、政党が、「女性とともに勝利を」という政策を純粋に、トルコでの女性の待遇を改善するために実施することだ。

  • シネム・センギス氏はトルコと中東の関係性を専門とするトルコの政治アナリストである。Twitter: @SinemCngz
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