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米軍のアラビア湾岸駐留は戦略上の優先事項である

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27 Nov 2021 09:11:11 GMT9
27 Nov 2021 09:11:11 GMT9

ジョー・バイデン米大統領は就任後すぐ、世界各地での米軍の駐留について詳細かつ包括的な評価を実施するよう国防部門に指示した。

「世界配置の見直し」として知られるこの評価は、国防総省の報道官ジョン・カービー氏の言葉を借りると、「我が国の利益を追求するためには、どのように軍隊を配置するのが最善であるか、最高司令官に対する国防長官の助言に情報を与えるのを助ける」であろう。

世界中の米軍の駐留に対する見直しは必要である。結局のところ脅威は時とともに変化する。世界のある部分における一定の機能と軍事力の必要は、数十年前のものであって、現在はもう必要ないかもしれない。この見直しの結果は疑いなく、中東によかれあしかれ影響を与えるだろう。

メディアにリークされる頻度の割には、この結果はどうであろうかということについて驚くほど少量の情報しか知られていない。この見直しの公表について正式な日にちは発表されていないが、数週間のうちに結論が出ると予期されている。

しかしながら、評価の詳細についての限られた情報からも、政権が使う想定のいくつかを容易に推測できる。

見直しの焦点はおもにインド・太平洋地域におかれているであろう。かつて、ロイド・オースティン米国防長官は中国を国防総省にとって「pacing(歩調を規定するような)」脅威であると述べている。これは、訓練、資金、国防総省内の資源の配分は、何よりもまず中国を念頭においてなされねばならないという意味である。

バイデン政権は、国内需要のための資金を再び優先するために、防衛費を削減することに前向きなことでも知られる。それゆえ、「世界配置の見直し」によって、世界のいくつかの地域では米軍が削減されると考えるのが妥当であろう。中東における駐留軍を削減することは米国にとって、戦略的に間違いであろうが、この地域の為政者たちはその可能性に備えることが賢明であろう。

中東では、米国とその同盟国や協力国が直面する課題と脅威に事欠かない。明らかに、最大の脅威をもたらすのはイランである。1979年以来、イラン政府は、安定をゆるがす政策を追求し、この地域の大部分に影響が波及してきた。レバノン、イラク、シリア、イエメンにおけるその代理となる集団への支援と資金援助によって、イランは世界最大のテロ支援国家の一つとなった。

アラビア湾でのイランの傲慢なふるまいは、19世紀の海賊行為を思い出させる。イラン政府が核兵器を手に入れようとしていることは、この地域だけではなく世界の平和にとっての脅威である。

米国防総省の政策立案者たちが「世界配置の見直し」の最終調整をするなか、彼らが忘れてはいけない3つの重要な点がある。

まず第一に、イランは深刻な脅威であり続けるということである。米国にとって中国は「pacing」な脅威かもしれないが、米国の同盟国と協力国の多くにとって、このような称号に値するのはイランである。近年、この地域では米軍関係者にとってイランより大きな脅威はなかった。「世界配置の見直し」は、イランが攻撃的な外交政策を追い求めている限り、中東での米国の軍事的存在は堅固なものであり続けなくてはならないことを認識する必要がある。

第二に、米国の政策立案者たちは、インド・太平洋地域が、より広い中東地域といかに結びつき、時には一体化しているかを理解する必要がある。中東の安定と安全なしに、本格的な中国戦略をもつことはできない。

例えば、スエズ運河、ホルムズ海峡、バブ・エル・マンデブ海峡など、中東地域の通行地帯は、そこを通ってインド・太平洋に出られるため、米国政府の安全保障上の利益にとって重要である。これらの米海軍にとっての海上の通行ルートの安全と安定は、インド・太平洋での危機に米国が適時に対応するためには、ひじょうに重要でもある。

最後に、米国はこの地域にもっと携わる必要がある。たとえ「世界配置の見直し」が中東での米軍の数を増加することになったとしても、軍の追加は外交的存在感の強化に伴われないといけない。バイデン大統領はこの地域における米国への信頼を回復する必要があり、それは、自身が中東を訪問することから始められよう。最低でも、湾岸諸国の指導者たちと定期的に話すべきである。―しかし、実際に顔を合わすことの代わりとなるものはない。

その重要性を考えると、この地域における彼の不在は地政学的な怠慢になる。大統領となって10ヶ月目であるのに、中東にまだ足を踏み入れていないとは信じがたい。

バイデン政権がイランとの核対話が数週間のうちに再開されることを願うなかで、米政府はイラン政府に対する善意のしるしとして湾岸における米軍の拠点を削減する気になるかもしれない。しかし、これは、すでにアフガニスタンからの撤退によって米国の威信と責任に疑問が呈されているなか、イランに危険な合図を送るだろう。

米国の安全保障上の利益に中東での駐留が必要である限り、そしてこの地域の国々が米軍を喜んで迎え駐留させる限り、米国政府はこの地域における軍配置のレベルを、増加しないにせよ、維持すべきである。

  • ルーク・コフィー氏はヘリテージ財団ダグラス&サラ・アリソン外交政策センターの所長。Twitter: @LukeDCoffey
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