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ダーイシュの悪魔的な復活…過去最強となるか?

バリア・アラマディン
09 Jun 2019 02:06:33 GMT9

大胆な予測をお許しいただきたい:数年内に、ダーイシュは表舞台に復活するだけでなく、飛躍的に勢力を増し、打ち負かしにくくなる。

ダーイシュは今なお歴史上最も裕福なテロリスト組織であり、復活に備えて数十万ドルを隠し持っている。ダーイシュの何万人ものメンバーがまだ逃走中か、スリーパーセルとしてイラク・シリア中に潜伏している。一方、ダーイシュとの関与度合いが様々に異なる100,000人の抑留者が収容キャンプで苦しんでいる。彼らはその多国籍な性質により複雑な状況を抱えている。母国が嫌々受け入れるべきか、それともやがて死ぬか首吊りに処されるまで放置すべきか?

ダーイシュが人類史上最悪の犯罪を犯してきたことを、我々は忘れてはいけない:火あぶり、石打ち、斬首、レイプ、集団虐殺、その他の組織的な残虐行為だ。そのイデオロギーは未だ効力を持ち、プロパガンダは広範囲に届く力がある。象徴的な勝利を数回収めれば(町の奪回、壮観なテロリスト攻撃等)、数千人の混乱した人間や頭がおかしくなっている者を、元の地位に舞い戻るよう焚きつけることが可能かもしれない。

ダーイシュの行いが明らかに邪悪だから、ダーイシュの下で生活した人間もすべて邪悪だろうと断言したくなる誘惑にかられるものだ。なぜ多くの普通のイラク人やシリア人がダーイシュを大目に見てきたのか(単純な恐怖心以外に)、その理由を理解しなければ、それもこの凶悪な組織の復活を許す大きな要因となるだろう。

ダーイシュの支配はいわゆるカリフ制に則り、そのあり方は地域により著しく異なる。大都市では外国人ジハーディストにより暴力的に神政主義が布かれた一方、田舎の小さな町ではダーイシュ指導者は主に地元民であった。その結果は、現地の伝統とダーイシュの厳格な禁欲主義との間に生まれた有機的なハイブリッドだ。ダーイシュが粛清されたとき、地元のジハーディストは治安部隊との消耗戦に乗り出すべく、徹底的な地の利を生かして山の中へと溶け込むように逃亡した。

2011年までにはイラクのアル・カーイダは制圧されていた。しかしヌーリー・マーリキーによる秘密主義政策およびスンニ派政治家の粛清、自身の力を確立するための暴力的な民兵組織への依存は、スンニ派その他のコミュニティを疎外した。2013年にはイラクはイスラム教徒、各部族、バース党員等の、怒りに掻き立てられた抵抗運動や反国家勢力で溢れていた。ダーイシュはこの複雑な環境の中から一躍権力の座に躍り出た。

ダーイシュへの抗戦は一部イランの同盟民兵組織に委託された。民兵組織は、今では連合軍の爆撃により灰と化した地域の支配下へと戻されている。イラク人は2つの悪の間で板挟みになっている:「ハッシュド」民兵組織とダーイシュは、宗派主義的残虐行為で同様に罪を犯している。2018年の選挙の前、ダーイシュから解放された地域のスンニ派は、投票に必要な書類の発行や本来利用可能な物へのアクセス、国内を移動する権利等が広く妨害された。民兵は亡命者として戻った者たちに対して恐怖政策で支配した。ゆえに、人民の大きな割合は効果的に人非人にされた—コミュニティ全体がダーイシュとの関連性の汚名の烙印を押された。信用を失ったハッシュドの同盟組織以外に、尊敬を集めるスンニ派で議席を許されている者は少数だ。スンニ派がこれまでにないほど疎外感と怒りを感じていることは、イラクの国としての結束にとって危険だ。

シリアとイラクで主要な領土を奪われたダーイシュは、未だかつてないほど危険な存在となっている。追手を逃れた何千人もの外国人戦闘員が各地に散らばった。静かに故郷に向かったり、新たな戦地へと向かったりしている。どこにたどり着こうと、大惨事を起こし、新たな戦闘員を獲得することを誓いながら。

最近ではレバノン北部とシナイで死者を出したダーイシュによる攻撃が起こり、また数カ月前にはスリランカの教会で250人以上の礼拝者が命を落とした恐ろしい攻撃があった。今後もそのような攻撃が発生することは保証できる。エジプトのコプト教会で、アジアの観光リゾートで、混雑したアフリカのモールで、はたまた西側諸国のスタジアムや公共の場で。

北アフリカおよびサハラ以南のアフリカの12の国ではすでに、復活したダーイシュが大陸横断型の新たなカリフ制に似た何かを作り出しつつある。先週はモザンビークおよびコンゴ共和国での攻撃について名乗り出た。いずれもイスラム過激主義の温床としては知られていない国だ。ダーイシュはまた、他のサヘル派から忠誠の誓約を受けたと報告した。これは同組織の野心的な汎アフリカ戦略を示すさらなる兆候である。

第2期ダーイシュは、敗北から多くを学んだ。標的になりにくいよう地理的に分散することを目指し、 断固たる対応を引き起こすことを避けるため水面下で力を強め、地元民を不必定に疎外することは避けるだろう。ダーイシュはまた、アル・カーイダのような敵との間の過去の対立関係を乗り越えようとしている。それによりジハーディスト運動が弱体化したからだ。新興ヨーロッパ極右の脊髄反応的な人種差別とイスラモフォビア(イスラム嫌悪)により、世間に不平感を抱く西洋諸国の若いムスリムは、過激派の誘惑に対して無防備に晒されることになるだろう。

イラクその他の重要国家における宗派主義、好戦状態、不正義、社会的排除に抜本的な対策を講じない限り、ダーイシュが再び復活する能力を手にするのに必要な前提条件は揃うと大多数の専門家は口を揃える。しかし、2019年のダーイシュは2014年当時に比べてはるかに経験を積み、世界を股にかける、有機的に統合された勢力だ。リビア、アフリカ西部、エジプト、イエメン、アフガニスタン、インドネシアなどの関連組織は、ダーシュの再来が真にグローバル化した現象となるよう、協調して行動するだろう。数十カ国にまたがりその力を強めている組織に対するグローバル化された対応はいずこに?

2014年、それまで知られていなかったテロリストの大群がイラクとシリアの大部分を襲ったとき、世界は驚きを装った。しかしダーイシュの勢力拡大は、気に留めていた人の目には1年以上にわたり明らかだった。「歴史は繰り返す」の言葉通り、もし血塗られた歴史が繰り返すとするならば、それは世界の存続を脅かすものとして再興を決して許してはいけなかった脅威の撲滅の失敗を招いた、犯罪的ともいえる予見性とリーダーシップの欠如によるものであろう。

不平感に対処し、市民の声が反映され、寛容の文化が培われれば、社会には右翼とイスラム過激派両方によるニヒリスト的でヘイトに満ちたプロパガンダに対して効果的に耐性ができる。予防は治療よりも1000倍よいことだ。わかっているのに、我々はまたもや鶏小屋の扉を狼に対して開けっ放しにすることを選んでしまうのだ。

バリア・アラムディンは受賞歴のある中東・イギリスのジャーナリスト兼TVニュースキャスターである。Media Services Syndicateのエディターを務め、多くの国家元首へのインタビュー経験がある。

https://www.arabnews.com/node/1508371 

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