新しいグローバルな地政学的ゲームが形成されつつある。そして中東は、しばしばそうであるように、考えられる新しい同盟関係と、その結果としてのパワーパラダイムという点において、直接的な影響を受けることになる。現在進行中のロシア・ウクライナ戦争がこの地域に与える影響を完全に理解するには時期尚早ではあるが、一部の国々が強力な経済力、戦略的立地、政治的影響力を活用するという点で比較的楽な立場にいることは明らかである。その他の国々、特にパレスチナのような非国家主体は、不利な立場に立たされている。
米国のバイデン政権や一部のEU諸国は、ウクライナへ侵攻したロシアを非難するようパレスチナ自治政府(PA)に繰り返し求めたが、彼らはこれまでのところ行動を控えている。米国のニュースメディア「アクシオス」は、アナリストのハニ・アル・マスーリ氏が次のように述べたと報じている。「パレスチナ指導部は、ロシアを非難することは『パレスチナ人が主要な同盟国や政治的立場の支持者を失うことを意味する』と理解している」。実際、西側の反ロシアの大合唱に加われば、パレスチナはさらに孤立するだろう。パレスチナは、国連安保理のように米国が支配する国際機関で行われる親イスラエルのアジェンダとバランスを取ることができる味方を切望しているのである。
1980年代後半から1990年代初頭にかけてソ連が崩壊し、東欧圏が解体された。その後ロシアはパレスチナとイスラエルに関する米国の政治課題において、わずかではあるが役割を果たすことが許された。1991年のマドリード和平会議やオスロ合意には共同提案者として参加した。それ以来、「和平プロセス」に関連するすべての主要な合意にロシア代表が参加している。2016年にイスラエル政府・パレスチナ指導部間の政治的打開策に関する交渉を仲介したとされる、いわゆる中東カルテットの代表者の一人がモスクワであるほどである。
パレスチナ・イスラエルの政治テーブルにロシアが常駐しているにもかかわらず、モスクワは従属的な役割を担ってきた。会談の勢い、時間、場所、そして結果までを大きく左右したのはワシントンであった。米国のテルアビブへの強い支持の影響から、パレスチナ人は占領され抑圧されたままであった。一方、イスラエルによるパレスチナ入植事業は規模、人口、経済力において飛躍的に拡大した。
しかし、パレスチナ人は、モスクワを同盟国とみなし続けていた。米国、EU、国連を含む中東カルテットの中で、ロシアはパレスチナ人から見て信頼できる唯一の存在であった。とはいえ、実際には米国が国連の拒否権、イスラエル軍への多額の資金提供、パレスチナ人への執拗な圧力などを通じて、国際的な意思決定において、ほぼ完全に覇権を握っている。このことを考えると、ロシアの役割は象徴的とは言えないまでも、最終的には重要ではないことがわかった。
しかし例外もある。近年、ロシアは、イスラエルとPAの間だけでなく、パレスチナの政治団体ハマスとファタハの間の仲介を申し出ることによって、和平プロセスにおける支援政治家としての従来の役割に挑戦しようと試みている。2019年2月にトランプ政権がPAへの資金を削減した後に現れた政治的空間を利用して、モスクワはパレスチナの指導者にさらに接近していった。
パレスチナとイスラエルにおける、より独立したロシアの立場は何年も前から形作られてきた。例えば2017年、ロシアはパレスチナのライバル同士の国家対話会議を主催した。モスクワの会議は実質的な何かにつながるものではなかったが、ロシアはパレスチナにおける旧来の立場、そして米国が自称する「誠実な仲介者」としての役割に挑戦することができるようになったのだ。
ジョー・バイデン新米大統領は昨年、ロシアが中東における政治的領域を侵害することを警戒して、PAへの資金提供をいち早く再開した。しかし、彼は、国際法に反してエルサレムをイスラエルの首都と認めるなどの、トランプ政権がイスラエルに与えたいくつかの大きな譲歩を覆すことはしなかった。さらに、イスラエルの圧力により、米国は2019年にトランプ氏によって閉鎖された東エルサレムの領事館をまだ復旧していない。同領事館は、パレスチナにおけるワシントンの外交使節団として機能していた。
米国のパレスチナ人に対する役割は、今のところ、経済的な支援にとどまっている。同時に、イスラエルに対しては、財政的、軍事的、政治的、外交的な主要な恩人としての役割を果たし続けている。
パレスチナの諸団体は、イスラム主義であれ社会主義であれ、ワシントンへの全面的な依存からの脱却を繰り返し求めてきたが、パレスチナの指導者はこれを拒否してきた。PAにとって、現在の地政学的秩序の中で米国に逆らうことは、政治的自殺のようなものである。
常識的に考えて、パレスチナ人は世界の大きな変化に対応するために、統一戦線を構築しなければならない。
ラムジー・バロード
しかし、中東は急速に変化している。米国が近年、この地域から政治的に撤退した。そのため、中国やロシアといった他のアクターが、政治的、軍事的、経済的な代役やパートナーとして、徐々に自らを証明していくことができるようになったのだ。
ロシアと中国の影響力は、今やこの地域全体に感じられるようになっている。しかし、特にパレスチナ・イスラエル問題におけるパワーバランスに対する彼らの影響は、まだほとんどない。2012年に戦略的な「アジアへの軸足」が始まったにもかかわらず、ワシントンはイスラエルの後ろ盾を堅持している。なぜなら、米国のイスラエル支援はもはや外交政策の優先順位の問題ではないからだ。両政党、強力な親イスラエルのロビー団体や圧力団体、全米の大規模な右翼やキリスト教の有権者が関わる、米国国内の問題となっている。
パレスチナ人は、国民も、指導者も、政党も、ワシントンに対する信頼や信用をほとんど持っていない。実際、パレスチナ人の政治的不和の多くは、まさにこの問題に直結している。ただ、米国陣営から離れるには強い政治的意志が必要だが、残念なことにPAはそれを持ち合わせていない。
30年以上前に米国が世界で唯一の超大国として台頭して以来、パレスチナの指導者は「新しい世界秩序」の一部となるべく、完全に方向転換してきた。しかし、パレスチナの人々は、指導者の戦略的選択からほとんど何も得られていない。それどころか、パレスチナの大義はそれ以来、多くの損失を被っている。内部の派閥主義と不統一、地域的・国際的政治観の混乱の結果、アフリカ、アジア、南米の多くの国々を含むパレスチナの歴史的同盟国が離脱した。
しかし、ロシア・ウクライナ戦争によって、パレスチナ人はソビエト連邦の崩壊以来、最大の外交課題に直面することになった。
常識的に考えて、パレスチナ人は、世界で進行中の大規模な変化、すなわち最終的には全く新しい地政学的現実をもたらす変化に対処するために、統一戦線を展開しなければならないのである。