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欧米の「ダブルスタンダード」は言いがかりではなく事実

トルキ・アル・ファイサル王子。(ウィキメディア・コモンズ)
トルキ・アル・ファイサル王子。(ウィキメディア・コモンズ)
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09 May 2022 06:05:14 GMT9
09 May 2022 06:05:14 GMT9

ロシアによるウクライナへの侵攻により、世界は二極化した。ロシアによる隣国への侵攻の理由にもかかわらず、主権国家の領土を占拠しようとするロシアの違法行為を非難することと、この大きな亀裂はあまり関係がない。ロシアのプーチン大統領による、今回の侵攻を支持する国はほとんどない。

事実、ロシアによる侵攻は違法であるとともに国連憲章の違反であり、より大きな紛争の引き金になりかねない。世界の国々が二極化している理由は様々だ。しかし、米国を中心とする西側諸国とロシア、中国、インドなどの新興国との対立に巻き込まれたくないというのが主な理由であろう。

米国からすれば、唯一の超大国であった30年間が終わるかどうかがかかっている。これまで世界の国々は、米国自身を中心とする違法な戦争と主権国家への不正な侵攻を目の当たりにしてきた。しかし、米国に対する制裁もボイコットも、国際刑事裁判所への起訴も行われなかった。

そのため、ソーシャルメディア上の多くの活動家が非難を浴びせた。その際頻繁に使われていた言葉が「ダブルスタンダード」だ。彼らが指摘したのは、イスラエルによる数十年にわたるパレスチナの土地の占領と、それに対する欧米の反応である。

多くの指導者は、イスラエルの占領をダブルスタンダードの具体例として言及することを避けたが、中には言及した指導者もいた。元サウジアラビア総合情報庁長官のトルキ・アル・ファイサル王子が、ロシアのウクライナ侵攻に対する西側のダブルスタンダードを公然と非難し、イスラエルに対する制裁を要求したのは勇気ある行動だった。

先週のアラブニュースとの独占インタビューでファイサル王子は、ロシアによるウクライナ侵攻とイスラエルによるパレスチナ領の不法占拠の間に違いがあるとは思えないと述べた。「ロシアによるものであれ、イスラエルによるものであれ、侵略は侵略である。にもかかわらず、イスラエルに制裁を下すという動きはない」とファイサル王子は言う。

この2つのケースや、2003年にアメリカが国連の承認なしに、虚偽の主張に基づいて行ったイラク侵攻との比較は多く見られる。ロシアの攻撃に対する西側諸国の反応は、現代史において前例のないものであった。国際法を犯した国に対して、西側がこれほど厳しい制裁を課したことはかつてなかった。ところが、国連決議において占領軍と認定されたイスラエル軍が日常的に国際条約を破っていても、欧米はほとんど見向きもしない。

西側諸国がダブルスタンダードを用いていると非難するのは、歴史的にみても妥当である。ロシアはウクライナで犯罪を行ったと非難されているが、イスラエルは日々パレスチナ人に対してあらゆる種類の罪を犯している。イスラエルがその罪の責任を問われたことは一度もない。西側諸国がイスラエルに制裁を加えたことも一度もない。また、西側諸国がイスラエルの占領に関する国連決議を実行するための具体的な措置をとったこともない。

ファイサル王子の発言は、数千万人のアラブ人、数億人のイスラム教徒の声を代弁するものである。彼はまた、処罰されることのないイスラエルの犯罪行為を記録している世界中の何百万人もの活動家の代弁者でもある。西側諸国はダブルスタンダードを用いているだけでなく、イスラエルの犯罪に加担するという罪を犯しているのだ。

元米国大使でもあるファイサル王子は「イスラエルを宥めても、彼らの態度が変わる気配は全くない。パレスチナはいまだに占領されており、イスラエル政府によって無差別に投獄され続けている。パレスチナ人に対する攻撃や暗殺は、ほとんど毎日のように行われている」と話し、自らの立場を明確にした。

欧米による加担は政府や親イスラエルの政治家にとどまらない。欧米の主要メディアは、パレスチナで起きている真実を否定し、視聴者から隠そうとしている。恥ずべきことだ。イスラエルの犯罪に関するニュースはほとんど報道されない。されたとしても、イスラエルのイメージを良くし、パレスチナ人を非人間的に扱おうという試みが意図的に行われている。数十年にわたる占領は、多くの場合イスラエルとパレスチナ人の間の「紛争」として説明される。イスラエルが侵略者として描かれることはほとんどない。パレスチナ人が無残な殺され方をしていることは、ほとんど報道されない。西側諸国政府はヨルダン川西岸地区の入植地化を違法と認めているが、略奪したパレスチナの土地にさらなる植民地を建設する計画をイスラエルが承認しても、何の行動も起こさない。

イスラエルのF16が、包囲されたガザ地区の民間人居住区一体を破壊する様子がテレビの生中継で映し出されても、西側諸国はこの明らかな戦争犯罪を非難することを避けている。一方、ロシアはウクライナで戦争犯罪を行ったと当然の如くただちに非難され、国際刑事裁判所のメンバーでない米国も即時調査を要求している。米国も英国もフランスも、イスラエルの戦争犯罪について独立した調査を求めたことは一度もない。

トルキ・アル・ファイサル王子の発言は、何千万人ものアラブ人、何億人ものイスラム教徒を代弁している。

オサマ・アル・シャリフ

最近、イスラエルのナフタリ・ベネット首相が、ヨルダン川西岸地区は係争地であると発言した。もし、ウクライナに対しプーチン大統領がこのような発言をすれば、即座に米国とその西側同盟国から非難されたことだろう。

ロシアによるウクライナ侵攻により、パレスチナ人やイラク、アフガニスタン、リビアなど他の被害国に対する西側諸国の偽善とダブルスタンダードが露わになった。アラブ人の大多数はこの戦争をロシアによる侵略と見ているが、西側諸国の反応は長期的な原則というよりむしろ、イデオロギーに基づくものであるとして区別している。

イスラエルによるパレスチナへの侵攻は現在も続いているが、これは何十年も前からだ。西側諸国がいち早くロシアに制裁を加えた一方で、イスラエルは殺人、土地の強奪、そして何百万人ものパレスチナ人の自決権を奪おうとする罪から逃れようとしているのである。欧米がダブルスタンダードをとっているというのは言いがかりではなく、事実なのだ。

  • オサマ・アル・シャリフ氏はアンマンを拠点とするジャーナリスト、政治評論家。@plato010
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