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バイデン大統領の中東政策は実利的だが不完全

ホワイトハウスにおいてマスコミの前で話すジョー・バイデン米大統領。2022年5月10日。(ロイター)
ホワイトハウスにおいてマスコミの前で話すジョー・バイデン米大統領。2022年5月10日。(ロイター)
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15 May 2022 12:05:12 GMT9
15 May 2022 12:05:12 GMT9

ジョー・バイデン米大統領の中東政策は実利主義に基づいている。彼は包括的な中東戦略や、中東におけるロシアあるいは中国との長期的な対立を望んでいない。この哲学的方向性が、米国の外交に大幅な柔軟性を与えている。

しかし、そのような外交政策の危険性は、実利主義が自己目的になり得るという点である。ただ、バイデン大統領と上級顧問は、中東のパワーゲームにおける重要な要素となる歴史的・政治的要因について配慮はしている。例えば、大統領個人としては人権政策に関してはエジプト政府を好きではないが、米国とエジプトの関係の完全な断絶を望んでいるわけではない。ところが、それによって確かに、外交政策顧問チームがエジプトに対して首尾一貫した方針を立てるのに時間がかかるのである。

バイデン政権は徐々にイスラエルとパレスチナの衝突にさらなる注意を向けている。イスラエル政府とパレスチナの完全な対立、特に神殿の丘をめぐる対立を恐れているのだ。バイデン政権はまた、イスラエルとハマスのガザ地区における新たな戦争の回避に懸命に尽力している。この点において、武力衝突の仲裁と阻止におけるエジプトの役割、特にカイロの治安部隊がその仲裁において果たす役割を認識している。同時に、バイデン大統領は、エジプト治安機関によって行われている抑留と拷問の政策に対しては遠慮のない発言をしている。

バイデン大統領にとっての問題は、彼の中東政策が、ドナルド・トランプ政権によってなされた施策の多くが正しかったことを事実上認めているということだ。例えば、2020年の大統領選挙運動中にバイデン氏は、ロシアの影響力増大を許したとして、トランプ前大統領によるシリアからの米軍撤退決定を批判した。しかし、政権を獲得して以来のバイデン大統領はシリアでの米軍の駐留規模を拡大していないのだ。

バイデン大統領にとっての問題は、彼の中東政策が、ドナルド・トランプ政権によってなされた施策の多くが正しかったことを事実上認めているということだ

マリア・マーロウフ

一方、イエメンにおいては、バイデン大統領は戦争を速やかに終わらせることができない。彼は、米国の外国テロ組織リストからフーシ派を削除するという早期決定に対する反対を過小評価した。外務官僚トップの多くが、フーシ派のテロリスト指定解除は大きな間違いだったという、ある程度の密かな罪悪感を抱いているかもしれない。困難なのは、再びフーシ派をテロ組織として指定できるような政治的な出口を見つける能力がバイデン政権にない点だ。

レバノンは、バイデン政権にとってもう一つの政治的ジレンマとなっている。バイデン政権はヒズボラがレバノンにもたらしている存続の危機を徐々に認識してるが、ヒズボラを公然とは批判していない。ヒズボラに対する唯一の批判はドロシー・シア駐レバノン米国大使による、公正で透明な選挙プロセスの要求だ。レバノンが公正な選挙の実施に成功すればヒズボラが国を破壊してしまうと、バイデン政権の高官は今や理解し始めている。これはトランプ政権が採用した政策で、バイデン氏は当時それを批判していた。しかし、彼はそれを覆すことができないのだ。

それでも、特にサウジアラビアとエジプトに対しては、バイデン大統領は提携の考えを提案することができる。少なくとも、そのようなアプローチを取れば、イスラエルとパレスチナの間の一触即発の状況のいくつかの面を解決するうえでそれらの国の助けを得ることができるだろう。そうすれば、70年以上続いている中東における米国外交の伝統的な概要からそれらの国を遠ざけることもないだろう。さらにバイデン大統領は、パレスチナとイスラエルの間の状況を安定化するために、またシリアにおいて僅かながらの政治秩序を作り出すためにも、ロシアと中国との限定的な協力を達成することもできる。

最後に、フーシ派のテロリスト指定とヒズボラの件ではトランプ前大統領が正しかったと認めるほどにバイデン大統領が実利的であれば、共和党から政治的サポートを得ることができるだろう。したがって、中東戦略に関するバイデン大統領の成功は、彼が民主党と共和党の間にうまくいく関係を築けるかどうかにかかっている。それができれば、特に無慈悲なテロ集団に対して、有効な政策を実行することができるだろう。

  • マリア・マーロウフ氏はレバノン人のジャーナリスト、ブロードキャスター、出版者、執筆家である。リヨン大学で政治社会学修士号を取得している。ツイッター: @bilarakib
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