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ロシアとイラン 世界で最も制裁を受けている2カ国の次の動きは?

テヘランでイランのジャバド・オウジ石油相と会談するロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相。(ツイッター・写真)
テヘランでイランのジャバド・オウジ石油相と会談するロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相。(ツイッター・写真)
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02 Jun 2022 08:06:44 GMT9
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先週、ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相がテヘランを訪問した際、ロシアとイランの高官は、銀行とエネルギーの分野で協力を強化するための3つの覚書に署名した。両国は、エネルギーと貿易の支払いに自国通貨を使用することに合意した。

また、イランがロシアに石油化学製品や技術・エンジニアリングサービスを輸出し、触媒製造に関する国産技術を提供することや、テヘランがロシア領を利用して他国への天然ガス配送を行うことでも合意した。

先日開催された湾岸国際フォーラムのパネルディスカッションで、ウクライナ戦争がロシア・イラン関係に与える影響が議論された。その際、講演者の一人が、これらの国家は現在世界で最も制裁を受けている2カ国であると指摘した。問題は、この地位が両国の協力関係の進展にどの程度寄与しているのか、そしてウクライナ紛争の結果がこの関係をどの程度形成するのか、ということである。

西側諸国が今年ロシアに課した制裁は、2022年初頭に締結される予定だったイラン核協定の新たな締結プロセスを遅らせる一因となった。ロシアは3月、制裁によってイランとの軍事・貿易協力が妨げられないことの保証を求めたからである。ロシアが米国から保証を受けたことが確認されたものの、「包括的共同行動計画(JCPOA)」による核合意の行方は依然として不透明だ。

2021年に流出したインタビューの中でイランのジャヴァード・ザリーフ元外相は、イラン核協議におけるロシアの破壊的な役割について、次のようにコメントしている。「ロシアは2015年から核合意を阻止しようとしていた。(ロシア外相の)セルゲイ・ラブロフ氏は合意の夜にすべてを崩壊させようとしたのだ。JCPOAの合意がなされた後、ロシアに戻ったラブロフ氏は、同国メディアから攻撃された。なぜこの合意を許し、イランが西側と近づくことを許したのかと」

2022年のある時点で、これは非常に重要な問いになるだろう。厳しい制裁を受けたロシアは、ほぼ間違いなく、イランを再び西側に近づけることを望まないだろう。現在の状況において、それはロシアの利益に反することになる。世界の液化天然ガス市場は冬のピークシーズンに向けて、ロシアの供給と欧州や中国の需要の見通しが不透明である。新たな核取引が成立すれば、ロシアに次いで世界第2位のガス埋蔵量を誇るイランが、カタール(オマーンなど他の近隣諸国も含めた)と合わせてヨーロッパのエネルギー危機の解決策になる可能性がある。これに対しロシアは、ウクライナとの交渉において圧力をかけるための優位な立場を得るために、ヨーロッパの現在のエネルギー依存度を冬まで温存することが必要である。

この点で、ロシアとイランの長期的な二国間関係は、それぞれの国益にとって不利に作用するのだ。イランは、近隣諸国の利益をしばしば損なう政策に起因する既存の制裁が枷となり、ヨーロッパのエネルギー危機を解決するためにその潜在力を活用することができない。同時に、イランの指導者は、米国と NATOに対抗するために、ロシアとの関係を外交政策の中心的存在と考えており、これはウクライナ戦争における文脈の中で、イランの国益と矛盾している。

イランは、西側へ目を向ける試みを進めている。例えば今月は、2014年以来初めてポーランドの外相がイランを訪問する。しかし同時に、イブラヒム・ライシ大統領は次のように述べる。「イラン・イスラム共和国は……NATOの拡張主義的な政策に、強く反対することを宣言する」。こうしてロシアのシナリオを繰り返し、EU加盟国との関係をさらに発展させるための障害を作り出しているのだ。

とはいえ、欧米から制裁を受けている両国は、反西側諸国のアジェンダを展開することも可能であり、それは現在も優先されているようである。先に述べたように、両国はエネルギーや貿易の支払いには自国通貨を使うことで合意している。脱ドル化は、2014年から続いているロシアと中国の戦略的な動きであり、主に制裁の課題を克服することを目的としている。一方、イランがロシア領を利用して他国への天然ガス配送を実施する合意は、欧米の制裁を回避するために、LNG密輸の代替策を提供するものだ。

このように相反する2つのストーリーがあるにもかかわらず、ロシアとイランの2国間関係の将来は、ウクライナ戦争終結後のロシアにおける、世界的な地政学的レバレッジに依存すると思われる。具体的には、ロシアがシリアでどの程度の立場を維持できるか、イスラエルやトルコとの関係をどのように管理するか、イランや湾岸諸国との関係をどの程度まで均衡させることができるか、に依存することになる。

中東以外では、アゼルバイジャンとアルメニア間のナゴルノ・カラバフ紛争においてロシアが重要な役割を果たした南コーカサスで、重要な地政学的ダイナミクスが働いている。ヨーロッパにおけるロシアの差し迫った懸念を考慮すると、重大な疑問が浮かび上がる。これらすべての舞台で力の空白は生じないのか、イランはどの程度まで国益を定め、どの程度までロシアの利益に反する行動をとる可能性があるのか。

ロシアはほぼ間違いなく、核取引の再開を認めることでイランを西側に近づけることを望まないだろう。

ディアナ・ガリーヴァ博士

少なくともイランの場合は、近隣諸国との関係を正常化し、制裁を克服するという選択肢がある。湾岸国際フォーラムのパネルディスカッションでは、2つの「悪」のうち、欧米はより小さな「悪」に対処することを選ぶかもしれないとの見解が示された。しかし、ロシアの場合、欧米に対する地政学的な対抗意識から、制裁対象国としての未来が長く続くと思われる。イラン指導部は、ウクライナ戦争後のロシアの政治的、外交的、軍事的地位を計算し、そこから、彼らと同じカテゴリーに留まるか、それとも欧米が認識する、より平和的な無制裁国家群に移行するかを判断することが可能である。しかし、いずれにせよ、イランは外交政策の方向性を劇的に変えなければならないようだ。

  • ディアナ・ガリーヴァ博士はオックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジのアカデミック・ビジター。『カタール:レンテッド・パワーの実践者(ラウトレッジ/2022年)』、『ロシアとGCC :タタールスタンのパラディプロマシーの事例(IBタウリス・ブルームズベリー/2022年)』の2冊の著書がある。また、『ブレグジット後の欧州と英国:イランとGCC諸国に対する政策課題(パルグレイブマクミラン/2021年)』の共同編集者でもある。ツイッター: @diana_galeeva
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