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砂漠化防止に向け、世界は団結する必要がある

2022年4月18日、イラク・カルバラー。気候変動は、同地の「グリーンベルト」地帯にも影響を与えている。(AFP)
2022年4月18日、イラク・カルバラー。気候変動は、同地の「グリーンベルト」地帯にも影響を与えている。(AFP)
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27 Jun 2022 05:06:44 GMT9
27 Jun 2022 05:06:44 GMT9

世界が6月17日の「砂漠化および干ばつと闘う世界デー」を迎える中、国連の報告書は、今や当たり前のように起こっている砂漠化の進行と深刻な干ばつが人類にもたらす脅威を概説した。

国連は、干ばつは「持続可能な開発」に対する最大の脅威であるとし、2050年までに世界人口の75%以上に影響を与える可能性があると予測している。この悲惨な警告は、今日、現実の世界でも兆候を示し始めているようだ。2000年以降、干ばつの回数と期間は29%も増加している。世界人口の約3分の1にあたる23億人以上が、すでに水不足に直面しているのだ。

また、2040年には、世界の子どもたちが住む地域の約25%が異常気象の影響を受ける可能性があり、干ばつと無縁でいられる国はないという厳しい予測もある。

さらに深刻なのは、砂漠化が、砂漠を抱える国や乾燥・半乾燥地域にある国だけの問題ではなくなってきていることである。世界の広い範囲で乾燥化が進むと、突然の豪雨で表土が流されたり、猛烈な暴風雨で吹き飛ばされたりして、深刻な浸食が進む。つまり、世界のどの地域においても、遠く離れた場所で発生した異常気象の影響からも守られることはない。例えば、アフリカのサハラ砂漠では、毎年6000万トンもの砂が、暴風によって9000キロメートルも離れたカリブ海の島々まで運ばれている。

残念ながら、世界中で砂漠化が進行しているのは、自然だけが原因ではない。他の環境問題と同様に、人間の活動がより大きな脅威となっており、砂漠化と干ばつを年々加速させている。

世界の地表の33%以上は乾燥地帯であり、それゆえ乱開発や不適切な利用に対して極めて脆弱な状態にある。貧困、森林伐採、過放牧、不適切な灌漑(かんがい)などの問題が、砂漠化を促進する大きな要因となっている。

さらに、地球温暖化による気候の変動が加わり、世界は永遠の砂漠化へと突き進んでいる。このように、私たちは、ある負の要因が別の要因を生み出すという悪循環に陥っているように見える。

世界のどの地域においても、遠く離れた場所で発生した異常気象の影響からも守られることはない。

ランヴィル・S・ナイヤー

例えば、貧しい人々は自分自身と家畜を養うために苦労しており、気候変動と少雨は森林破壊と過放牧の増加につながる。また、降雨量が少ないために、灌漑を利用できる一部の特権階級は、適切な収穫を得るために限られた水を過剰に使用するようになる。不作は貧困を増長させ、貧困層が増えれば増えるほど、彼らはより絶望的になり、その結果、まだ利用できるわずかな天然資源をさらに激しく使用し、問題を悪化させる。

干ばつや砂漠化による影響は、経済的なものだけではなく、死や貧困にもつながる。国連によると、1970年から2019年の間において、干ばつは人的損失の最大の要因の一つであり、約65万人の死者を出している。さらに、干ばつや砂漠化は、コミュニティ全体が水へのアクセスが可能な他の地域への移住を余儀なくされるなど、長期的な社会的影響ももたらす。

強制移住は、アフリカのいくつかの地域で見られるように、貧困、社会的紛争、しばしば暴力の主要な原因の一つとも言われている。特に、あるコミュニティが、主に耕作地を求めて、あるいは職を求めて、別の地域へ移住するような場合には、コミュニティ間の衝突が頻発しているようである。

干ばつや砂漠化は、人類の他のあらゆる問題と同様に、女性や少女に、男性よりもはるかに深刻な影響を及ぼす。例えば、アジアやアフリカの多くの国では、年齢に関わらず、生活用水を汲むのはその家の女性の仕事とされている。水源が数キロメートル離れていることもあり、家族全員の食事や洗濯に必要な水を確保するために、少女たちは学校へ行くのを諦めなければならない。干ばつや熱波によって、これらの移動距離はより長く、より困難なものとなり、少女や女性の健康と幸福に影響を与えるだけでなく、彼女たちの生活の多くの時間を占めるようになる。

また、干ばつや砂漠化は農作物や家畜にとって最大の脅威であり、5500万人以上の人々がその影響を受けている。従来は発展途上国がその被害を受けやすかった砂漠化も干ばつも、今や先進国でもおなじみのフレーズである。スペイン南部の大部分とポルトガルの一部では、長年にわたって激しい熱波と干ばつに見舞われており、この2つの国では砂漠化が急速に進行している。かつては豊かであった何千エーカーもの土地が休耕地と化しているのだ。また、カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州をはじめとする米国各地でも、同じような現象が起きている。米国政府によると、特に西部の土地の40%近くが乾燥地や半乾燥地であり、砂漠化の影響を強く受けると考えられている。

砂漠化や干ばつを防ぐための簡単な解決策は存在しないが、それでも国際社会が協力して解決していくしかない。豊かな国々は、これらの問題に取り組むために、より優れた技術やはるかに多くの資金を利用できることは間違いない。しかし、それは自分たちのためだけでなく、貧しい国々を助けるためのものであるべきだ。劣化して失われた土地が回復してこそ、砂漠化の問題を解決することが可能になる。

・ランヴィル・S・ナイヤー氏はメディア・インディア・グループの編集長である。

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