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エネルギーフォーラムでの各国代表、同地域での緊張状態に神経をとがらせる

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09 Jan 2020 11:01:23 GMT9
フランク・ケーン
09 Jan 2020 11:01:23 GMT9
アラビア湾岸諸国情報機関UAE エネルギーフォーラムは、毎年年明けとともに石油と天然ガスのビジネスに関して開催されているが、10周年目にあたる今年は中東における通常以上の不安定状態の最中にあり、昨日のイベントでは様々な懸念の声が上がっていた。

アブダビにあるニューヨーク大学のキャンパスに各国代表が集結したが、話題の的は全てイランによるイラク内の米軍基地に対する先夜のミサイル攻撃に集中した。死傷者数は?トランプ大統領はどう対応するつもりか?これは、世間で散々取りざたされている、先週のガーセム・ソレマーニー暗殺への報復活動が激化する第一歩なのか?

こうした懸念が朝食の席で噂されていた一方で、ウクライナ航空機がテヘラン離陸時に墜落して大破したというニュースが入ってきた。生存者はほぼ期待できない模様だ。実戦勃発かと思われる一瞬だった。

アラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー相スハイル・アル・マズルエイ氏が総会の壇上に立って「今年度の先行き見通し」という無味乾燥なトピックを話し始めると、満員の会場では多くの参加者がイランからの最新情報を求めてそそくさと携帯電話を手にし始めた。

エネルギー相の話しは、そうした現状においては精一杯心強いものであった。「戦争や緊張状態をコントロールすることはできませんが、原油供給をコントロールすることはできます」これが アラビア湾 岸エネルギーコミュニティーに対するスポークスマンとしての彼のメッセージ だった。

「石油輸出国機構(OPEC)加盟国とOPECプラスは、過去1年効率的に石油供給を管理してきました。世界的な原油レベルはほぼ5年平均水準にあり、これはサウジアラビアと他のOPEC加盟国が先般来目標値としてきたものです」と彼は述べた。

しかし、彼が同盟国である米国と隣国イランとの間の緊張の高まりについて話し始めると、内容は核心に入った。もしこの状態がホルムズ海峡を通る原油輸送を停止させる恐れのある具体的行動に至った場合は、世界経済にとって壊滅的な状況を引き起こすことになる。「そうなった時、世界は再び100 ドル以上の値上がりに耐えられるはずはない」と彼は警告した。

モハメッド・バーキンドOPEC事務局長が次に壇上に立った。彼もやはり、アラビア湾 地域における戦争は原油市場と世界経済にとって悲惨な結果を招くと語った。同地域のリーダーたちは米国とイランの対立関係を沈静化させるべく、あらゆる手を尽くしているということを「スハイル兄弟」が確信させてくれたし、自分としても原油という「素晴らしい天然資源」を守るために政治的な問題を石油ビジネスから排斥する努力に邁進すると述べた。

イランの攻撃は敢えて制限され、米国によるさらに大きな反撃を引き起こさないように計算されていたようだ。航空機の墜落と死傷者が出たことは悲惨な出来事だったが、イランの攻撃行動が原因ではないと思われる。

フランク・ケイン

OPEC事務局長は、この昨今の危機に対する石油市場の反応が「比較的落ち着いていた」ことに驚いたと述べた。そしてそれはOPEC とOPECプラスによる対応策が究極のストレステストにおいて有効であることを証明するものだと語った。

また、バーキンド事務局長はサウジアラビアのエネルギー相アブドゥルアズィーズ・ビン・サルマーン王子に対しても、彼が献身的にOPEC同盟を再開し、サウジアラビアのエネルギー政策を手がけてわずか数ヶ月の間に「見事な役割」を果たしたと賞賛の言葉を述べた。

そしてビン・サルマーンエネルギー相が、上場企業としてのサウジアラムコはOPECの活動を侵害することはなく、サウジアラビアは今後も原油生産制限に対する「自発的オーバーコンプライアンス」を実行していくと約束した旨を会場に伝えた。

それでもやはり、バーキンド事務局長は同地域の安保状況が極めて重要であることを認めた。原油市場における余剰生産能力のほとんどは アラビア湾 岸の生産者たちにかかっており、ホルムズ海峡を通る石油輸送を停止させるなんらかの事態が起これば、世界的な石油不足と大幅な価格高騰につながるからだ。

バーキンド事務局長はトランプ大統領にOPECへの参加を求めるまでに至った。会場の聴衆は、米国に対し世界の原油生産国連合への加盟を正式に求めたのかと思い、おもわず息を飲んだ。しかしそうではなかった。それは、原油価格の安定という「高潔な役割と目的」において、OPEC と足並みをそろえることへの招待であった。

フォーラムが昼食のために解散する頃には、先刻のニュースが当初危ぶまれたよりも深刻な事態に及ばないことが明らかとなっていた。イランの攻撃は敢えて制限され、米国によるさらに大きな反撃を引き起こさないよう計算されていたようだった。墜落した航空機とそれによる死傷者は悲惨な出来事であったが、攻撃行動が原因ではなかったと思われる。

しかし、各国代表らも手放しには安堵していなかった。NY大学アブダビ校の快適なキャンパス内にあっても、昼食時の会話は全て「次なる大きな動き」に終始していた。

  • Frank Kaneは受賞経験を持つビジネスジャーナリストで、 ドバイを拠点に活動      ツイッター: @frankkanedubai
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