国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエル人によって犯された戦争犯罪を捜査する計画を発表した。だがそれにも関わらず、イスラエルは戦争犯罪を犯し続け、そして第4回ジュネーヴ条約のような国際法を破っている。
これらの犯罪はイスラエルが主張し呼ぶところの、パレスチナ人に対する「法的に認められない殺害」を含むのみではない。証明されたことがない「テロ行為」、それに多くの民間人に対してより広範な影響をもたらす、さらに悪質な犯罪さえも関わってくる。宗教を明確な理由とした、住居の破壊や一般市民の追い立てが行われているのだ。
イスラエルの人権団体B’Tselemによると、イスラエル政府が昨年、東エルサレムで破壊した非ユダヤ系住居の数は過去最大数を記録した。同団体は、市内においてイスラエルは、2019年中に169戸を取り壊したと述べた。それはB’Tselemが記録を開始した2004年以来、どの年にも勝る数だ。イスラエルの命令で取り壊された住居数の2位は、2016年の92戸だった。
火曜に公開されたB’Tselemの報告によれば、この取り壊しにより328人のパレスチナ人が家を失い、そのうち182人は未成年だった。42の事例で、住宅所有者は自ら取り壊しを行うよう強要された。作業を市が行う場合に課される重い税を回避するためだ。B’Tselemが記録の保管を開始して以来、そのような取り壊しが行われた件数としてこれは最大だった。
人権団体は今週再び、さらに96件の非住宅建造物が昨年中に東エルサレムで取り壊された、と報告した。13件は所有者が、残りは市が解体作業を行なった。その間に西岸地区では、イスラエルは2019年中に256戸の住居を解体し、160人の未成年を含む349人のパレスチナ人をホームレスにした。
東エルサレムと西岸地区で1年間に425戸の住居が解体を命じられたことは、大した事件には見えないかもしれない。だが別のイスラエル団体Peace Nowによれば、不法に建築されたとイスラエルによって指定され、解体の脅威に晒されているパレスチナ人所有の住居は、合計40,000戸存在する。
財産の破壊と非ユダヤ人家族に対する追い立ては戦争犯罪だ。しかし明らかに、これはイスラエルの唯一の戦争犯罪ではない。B’Tselemは先週、イスラエルの治安部隊が2019年に、28人の未成年を含む133人のパレスチナ人を殺害した、とする新たな報告を発表した。だがこれらの殺害は「記録」ではない。イスラエルの差別政府による醜い政策の延長だ。
批判の声を抑え込み、こういった統計の報告を阻もうとするイスラエルや過激派アメリカ系ユダヤ人からの攻撃にも関わらず、B’Tselemはこれらの残虐行為を勇敢に記録している。
2018年10月、B’Tselemのハガイ・エル・アド事務局長は国連でイスラエルの行為を批判した。イスラエル大使のダニー・ダノン氏はその際、そのような事実を公然と発表する国民を、政府がどう捉えるか明らかにした。「エル・アド氏、あなたは敵のために動いているイスラエル国民だ。彼らは我々に対抗して、あなたを使っている。(イスラエル国防軍の)兵士たちはあなたを守っているのに、あなたは彼らに罪を負わせるためにここにいるようだ」ダノン氏は述べた。「恥を知りなさい。恥を知るがいい、あなたは卑劣な協力者だ。」
イスラエルは、これらの犯罪が口にされたり、主流のニュースメディアで報じられたりしなければ、なかったことのようにできると願っているのだ。だがそれらは起こった。そして、起こり続けている。
ガザ地区のみで、イスラエルは2019年に7人の女性と22人の未成年を含む104名のパレスチナ人を殺害した、とB’Tselemは報じている。そして1967年からの全ての統計を集めれば、ICCが追跡するのに十分な証拠がある。
パレスチナ人に対するイスラエルのこれらの残虐行為は、1930年代初期、ナチス政権の始まりにドイツでユダヤ人に対し行われたものと似ている、と言うこともできるだろう。例えば1938年11月、2日間のうちにドイツ人はユダヤ人地区を荒らした。政府の支援を受けた彼らは、住居や礼拝堂、オフィス、学校を破壊した。その非道は、通りに散らかった砕けたガラスを引用して「クリスタル・ナハト(水晶の夜)」として知られることになった。この凶悪な人権侵害は、被害者と西側の主流ニュースメディアによって大虐殺として正当に言い表された。それは、住まいから追い出された100人以上のユダヤ人と30,000人のその多民族の人々の死を招く事件だった。
イスラエルは、これらの犯罪が口にされたり、主流のニュースメディアで報じられたりしなければ、なかったことのようにできると願っているのだ。
レイ・ハナニア
2つの出来事を比べずにはいられない。ドイツ人は1度の大規模な捜査で、宗教を理由に何百もの建物を破壊し、何千人という人々を追い出した。イスラエルは、パレスチナ人に対して同じことを70年以上も続けている。
イスラエルは、何千ものパレスチナ人住居を一夜で破壊してはいない。だがその代わり、同様のことを長い年月をかけて行なってきている。東エルサレムだけでなく、パレスチナの市内で、街で、村で、何万件もの家がイスラエルによって破壊されている。さらに多くの人々が、住居からの避難を余儀なくされている。
これを指摘すれば、イスラエルは比較されたことに激しい憤りを見せるだろう。イスラエル政府の行為による結果は「少ない」と彼らは議論するだろう。イスラエルの言葉では、「少ない」ならば正しいということらしい。だがICCの世界では、それは通用しない。