日本は、8月27日から28日までチュニスで開催される第8回アフリカ開 発会議(TICAD8)を開催します。
冷戦終結後、アフリカ支援に対する先進国の関心が低下する中で1993年、 日本が改めてアフリカ開発の重要性を訴え、立ち上げたのが TICAD でした。
そ の特徴は、あくまで対等な立場に立ってアフリカの自律的な発展を支援し、協力 していくという精神にあります。これは、戦後、国際社会からの支援を受けつつ、 自助努力によって復興を成し遂げてきた日本独自の経験に基づきます。若年層 を中心とした人口増が期待されるアフリカは、今や「可能性の宝庫」です。
私は 今「新しい資本主義」を掲げていますが、日本はこれからも、「共に成長するパ ートナー」として、アフリカ自らが主導する持続可能な開発のために全力で取り 組んでいく考えです。 こうした日本とアフリカが共に歩む精神を反映し、当初日本で開催されてい た TICAD も途中から3年ごとの日・アフリカ交互開催となり、2016年の第 6回目のケニア・ナイロビでの会合は、初のアフリカ開催の TICAD となりまし た。
2019年に横浜で開催された TICAD7では、ビジネス促進が議論の中心と なり、TICAD 史上初めて、民間企業を公式なパートナーと位置づけました。こう した投資やビジネスを重視する流れを、TICAD8でも一層加速していきたいと考 えています。 TICAD8に臨むにあたり、我々が対処しなければならない国際社会共通の課題 (チャレンジ)が二つあります。第一に、新型コロナウイルス感染拡大に見られ るような感染症対策です。
これは、経済成長の鈍化、雇用・教育機会の喪失をも たらし、特に脆弱な立場にある女性、若者、貧困層に多大なダメージを与え、格 差の拡大が懸念されています。「より良い回復」をいかに実現するかは今後のア フリカ開発の大きなテーマとなるでしょう。 第二に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序に対する挑戦です。
現在世 界は、20 世紀末の冷戦終結以来の転換期を迎えています。今般のロシアによる ウクライナ侵略は、この時代の転換を誰の目にも明らかなものとしました。ウク ライナ侵略は、世界のエネルギー・食糧供給にも混乱をもたらし、アフリカの経 済・社会に甚大な影響を及ぼし始めています。
また、不公正・不透明な開発金融 は、脆弱な国々の持続可能な発展を妨げます。 これらの課題を克服するべく、TICAD を通じて、日本は貢献していきます。格 差拡大、地球温暖化、テロ・紛争等、現代社会の様々な課題を抱えながらも「可 能性の宝庫」であるアフリカにおいて、TICAD8では、日本らしい「人への投資」 や「成長の質」を重視するアプローチで、強靱な社会を共に創るべく、具体的な 成果を目指します。
TICAD8は、パンデミック発生後初めて、日本とアフリカ諸国のハイレベルが 議論する大規模国際会議であり、極めて貴重な外交機会となります。