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欧米はなぜイランの抗議デモに干渉すべきではないのか

テヘランで行われたマフサ・アミニさんの死に対する抗議デモで、ゴミ箱に火を放つイランのデモ隊(2022年9月21日撮影)。(AFP)
テヘランで行われたマフサ・アミニさんの死に対する抗議デモで、ゴミ箱に火を放つイランのデモ隊(2022年9月21日撮影)。(AFP)
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28 Sep 2022 09:09:47 GMT9
28 Sep 2022 09:09:47 GMT9

イラン全土で起きている大規模な抗議デモは3週間目に入ろうとしているが、政府が強権的に鎮圧しようとしているにもかかわらず、収まる気配がない。国内に独立系ジャーナリストがほとんどおらず、インターネットもつながらないため、何が起きているのか正確に把握することは難しい。しかし、確かなのは、9月16日に22歳のマフサ・アミニさんが、女性の頭髪をヘッドスカーフで完全に隠すことを義務づける法律に違反したとしていわゆる道徳警察に逮捕され、その3日後に病院で死亡したことを受けて始まった小さなデモが、イランがこれまでに直面した最も深刻な反乱の一つへと拡大していることである。

デモは40以上の町や都市に広がり、イランの若者たちは公然と政権打倒を訴えている。2009年には、大統領選の結果に抗議するデモが全国で発生した。今回、イラン国民が訴えているのは、生活費の高騰、高い失業率、貧弱な行政サービスだけではない。簡単に言えば、国民はイスラム教シーア派指導者であるアヤトラたちの支配に辟易しているのだ。

予想された通り、イラン指導部はデモを扇動したとして西側メディアを非難することに決め、それ故に自国民との意思疎通を失っていることを実証してしまった。これからの最も可能性の高い対処法は、弱さを見せたり譲歩したりするよりも、武力に訴えることだろう。報道では、数十人の死者と数千人の逮捕者が出ているという。今後数日間で、さらに混乱が深まるとみられる。

イランの問題は、政権が主張するような外国の陰謀の産物ではない。そもそもイランの人口8000万人のうち60%以上が30歳未満であり、まともに雇用を創出し、質の高い行政サービスを提供できない政府にとっては大きな課題となっている。

政府発表の統計によると、15歳から24歳までのイラン人の失業率は約24%で、年率2%を下らない増加傾向となっている。イランの若者の90%以上は読み書きができる。また、2022年は3.7%になると世界銀行が予測する国内総生産の成長率は立派なものだが、通貨の切り下げとインフレによって、実質的な貧困率は少なくとも50%に達しているのが実情である。そのインフレ率は約30%で推移しているのだ。

イラン政権は、現在の経済的苦境を米国の制裁のせいにすることで対応するだろう。そしてそれは部分的には正しい。しかし、その制裁にもかかわらず、イラン経済が成長しているのは、イランが主に中国向けに同国産原油の大部分を販売できているからだ。実際、各種統計では、イラン産原油の7月の輸出量は6月から日量11万バレル(BPD)増加し、81万バレルになったことが示されている。

しかし、その原油で得たお金はどこに行っているだろうか?ストックホルム国際平和研究所の最近の報告書によると、イランは昨年、軍事費を246億ドル(年間11%増)に引き上げ、20年ぶりに国防予算で世界の上位15カ国に入ったという。これを、たとえば教育への支出額と比較してみよう。世界銀行によると、イランの教育への公的支出の対GDP比率は、2020年には3.6%となり、前年の3.7%から減少している。保健医療費についても、2019年のGDP比は6.7%となっており、2018年の8.46%から低下している。

イランがシリア、イラク、レバノン、イエメンにいる代理人を支援するために費やしている金額を推定するのは難しい。だが、その正確な数字がどれだけの値であろうと、数十億ドル規模であることは間違いない。イラン政府の対外的な軍事的冒険主義が、イラン国民の大多数から極めて不人気であることは周知の事実である。

2018年、イランで2番目に人口の多い都市マシュハドで、国内の社会経済的な苦境に起因する学生の抗議デモが発生した。「ガザでもなく、レバノンでもなく、私の命はイランのために」というスローガンが、デモ参加者によって繰り返された。そして、イランの革命の輸出は、革命的イランとその近隣諸国の関係を悪化させる主な要因の一つとなってきた。

現在進行中の抗議デモの行方に影響を与えようとする試みは、現政権を強化することにしかならない。

オサマ・アル・シャリフ

しかし、欧米諸国がイランでの現在の事態に関心を寄せているにしても、干渉までするのは間違いだろう。米国は、イランについて信頼に足る実績を有していない。現在進行中の抗議デモの行方に影響を与えようとする試みは、現政権を強化することにしかならない。

イラン国内でいま起こっていることは、イラン国民に関わる問題であり、彼らが自らの指導者と政府のシステムを選択する権利に関わることである。これは他の国にも当てはまる。何百万人ものイラン人が苦しんでおり、40年以上にわたる反動的でしばしば冷酷な神政主義的支配の終焉を求めていることは事実である。しかし、それは彼らの闘いであり、外国からの干渉は、アヤトラとそれに依存する何十万人もの武装集団にうまく利用されるだけなのだ。

  • オサマ・アル・シャリフ氏は、アンマンを拠点にジャーナリストおよび政治コメンテーターとして活動している。Twitter @plato010
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