2021年の米国のアフガニスタン撤退とタリバン復権に伴う混乱の中で、米政府機関やその他の地位で働いていたアフガニスタン人数千人が置き去りにされ、新体制のもとで危険に晒されている。
避難便に乗って最終的に米国に入国することができた人々も、将来についての大きな不確実性に依然として直面している。米政府は、20年にわたる戦争においてパートナーだったこれらのアフガニスタン人を支援するためにさらなる措置を迅速に講じる必要がある。
米軍やその他の米機関と共に働き現在国内に残っているアフガニスタン人は、差し迫った危険と、米国への入国ビザを申請するうえでの大きな障害に直面している。
米政府と共に働いていたイラク人やアフガニスタン人を支援するために特別に作られた特別移民ビザ(SIV)の特定の条件を満たしている場合でさえそうなのだ。米国はもうアフガニスタンに外交代表部を置いていないため、米国への避難を希望している多くのアフガニスタン人は申請手続きを完了するために何とかして第三国に渡航しなければならない。この手続には数ヶ月、あるいは数年かかることもある。
申請が未処理書類の山の中で滞っているのだ。SIVやその他の米国での保護の条件を満たしているアフガニスタン人の大半は依然として立ち往生しているというのが現実だ。
一方、米国の撤退中やその後に米国に避難することができた人々は、住居や仕事を見つけるうえで難民が通常体験する困難や、将来の法的地位をめぐる不確実性に直面している。2021年の撤退を取り巻いていた混乱と恐怖の中で、米国は数千人のアフガニスタン人を避難させた。
2021年8月以降、8万人以上のアフガニスタン人が米国に入国している。通常のビザ申請手続きには数年かかる場合もあるため、避難者の大半は「人道的臨時入国許可」(緊急事態のための2年間のプログラム)のもとで入国した。連邦議会が直ちに行動を起こさなければ、彼らの法的地位は来年に期限切れとなってしまう。
米国にいるアフガニスタン人が不確実な地位と法的麻痺の中で過ごすことになる事態を避けるための最善策は、連邦議会が今すぐ彼らを助けることだ
ケリー・ボイド・アンダーソン
これらのアフガニスタン人は条件を満たしていればSIVを申請することができる。米国の請負業者、人権団体、その他の限られた数の団体と共に仕事をしていたアフガニスタン人を対象とした「プライオリティ2」プログラムもある。それらを申請できない人々は亡命を申請しなければならない。バイデン政権は9月、これまでアフガニスタン人の避難を支援してきた「アリーズ・ウェルカム作戦」を終了し、より長期的なアプローチに移行する計画を発表した。当局によると、米国にいるアフガニスタン人はSIVなどの既存のビザプログラム、亡命、家族合流を申請する必要がある。
このアプローチの問題は、申請可能なSIVの数に限りがあること、また亡命やその他のビザ申請の手続きが滞っていることだ。避難者の多くはこれらのビザの厳しい条件を満たしているだろうが、申請には何年もかかる可能性がある。条件を満たしていない人々もいるだろうが、もしアフガニスタンに帰国すれば極度の危険に直面することになる。連邦議会が行動を起こさなければ、全員にとって米国に居住し働くための法的地位がまもなく不明確になるのだ。一部の人はアフガニスタンに強制送還される恐れもあるが、実際的な問題として米国にいるアフガニスタン人の大半はそうなる可能性は低いだろう。
米国の味方のアフガニスタン人、特にアフガニスタンや第三国で依然として危険に晒されている人々にとってのさらなる心配の種は、連邦議会が最近になってSIVプログラムをあと1年間延長するという条項を法律から削除したことだ。この条項がすぐに他の法律に追加されない限り、SIVの条件を満たす多くのアフガニスタン人には米国で避難者として暮らすための実行可能な選択肢が残されないことになる。
米国に避難したアフガニスタン人の擁護者は、人道的臨時入国許可のもとで入国したアフガニスタン人に永住権への特別な経路を提供する「アフガン調整法」を推進している。申請者は追加の審査を受けた後、米国に永住し働くためのグリーンカードを取得することができる。この法律は、タリバン支配下のアフガニスタンに取り残された人々の支援に注力するタスクフォースの設立も明記している。
アフガン調整法は共和党議員と民主党議員の後援を受けている。しかし、超党派の支持がある一方で、十分な数の共和党議員が反対しているため廃案となる恐れがある。共和党議員による批判は、2021年の混乱の中で米国に入国したアフガニスタン人は適切な審査を受けていないというものだ。しかし、この法案はそういった懸念に対しては永住権を得るための追加の審査を設けることで答えているため、批判は不誠実なものに思われる。実際のところは、アフガニスタン人避難者が共和党議員の間の全般的な反移民感情の餌食になっているといったあたりだろう。
アフガニスタン人を主に擁護しているのは米軍の退役軍人、特にアフガニスタンで従軍していた人々だ。これらの支持者とその議会内の同盟者は、アフガン調整法が年末の包括的歳出法案に盛り込まれるよう努めた。来年1月には共和党が下院の多数派となり、アフガニスタン人避難者や米国外にいる味方のアフガニスタン人を支援するための法案に新たな挑戦をつきつけることになる。しかし、アフガニスタンで米国を支えてくれたアフガニスタン人に対するこの重要な支援は包括的歳出法案に盛り込まれなかった。
米国にいるアフガニスタン人が不確実な地位と法的麻痺の中で過ごすことになる事態を避けるための最善策は、連邦議会が今すぐ彼らを助けることだ。もしそうしなければ彼らに基本的な安全を提供するための道はより困難になるだろうが、彼らの擁護者は献身的であり彼らのために闘い続けるだろう。下院の共和党議員らは2021年の撤退の際のバイデン政権の運営に関して公聴会を開こうと熱心だが、もしそれが実現すれば、米国内外で取り残された味方のアフガニスタン人について議会と国民に思い出させる機会を提供するかもしれない。
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