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イランとの関係正常化がもたらす弊害

2019年5月31日、イラクのバグダッドで軍事パレードに参加する、イランが支援するカタイブ・ヒズボラの民兵。(AFP/ファイル)
2019年5月31日、イラクのバグダッドで軍事パレードに参加する、イランが支援するカタイブ・ヒズボラの民兵。(AFP/ファイル)
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08 Apr 2022 09:04:26 GMT9
Majid Rafizadeh
08 Apr 2022 09:04:26 GMT9

イランの核開発問題に関して、同国と「P5プラス1」諸国が何らかの合意をしたとしよう。しかし、これをもって、この政権との政治関係を正常化することが、安全で安心だと考えるようなことがあってはならない。なぜなら、イラン政府にとって国際的な合意は一過性のものであり、単なる手段であるからだ。イデオロギー的・革命的な原則と理想の実現が、この神政体制の最終目標である。

言い換えれば、世界の大国とイラン政権の間でいかなる協定が結ばれようとも、このイスラム共和国の核心的かつ根本的な政策が変わる可能性は極めて低いということである。その端的な例が、前回の核合意である。政治家や学者、政策アナリストの中には、2015年に「包括的共同行動計画(JCPOA)」が結ばれた後、イランが行動を改め、建設的で近代的な国民国家として行動することを期待する人もいた。しかし、我々が持つ希望と、イランの社会政治的な現実や政権の根本的な性格とを混同したり、結びつけたりすることには慎重であるべきだ。

イラン政府の運命は、2015年の核合意調印により世界的な制裁が解除された後に転換した。その結果、イスラム共和国は世界の大国から地政学的、戦略的、経済的に大きな機会と利益を受けるようになった。

イランの指導者たちは、こうした機会を生かすための二つの道があった。第一の最も合理的な方法は、グローバルな舞台での新たな地位――より強固な正統性と、享受した新たな利益――に集中することだ。すなわち、国民の生活水準の向上や技術的な発展に投資を行い、他国の問題への干渉を回避し、挑発的・扇動的言動も自制する。軍事力による他国の威圧を控え、代わりに地域と世界の舞台で尊重される国家となるよう注力することだ。

イラン政権と関係を構築したとしても、その悪意ある破壊的な政策から逃れることができるとはかぎらない

マジッド・ラフィザデ博士

しかし、イランの指導者は別の道を歩んだ。その手口は、自分たちの地位の向上、さらには核合意や制裁緩和による経済的な機会を利用して、軍事力を誇示し、地域でより多くの代理勢力に資金を提供することであった。イラン政権は、弾道ミサイルの能力で他国を挑発し、対立的、扇動的、不合理な声明を出して他国の反感を買い、何としても地域の大国として扱われることを目指すイデオロギー的、革命的国家となった。シーア派の教義を他国に押し付け、イデオロギーの大義として行動することを選んだのである。そして、イスラム共和国は、イエメン、シリア、レバノン、イラクなど他国の内政に、より強力に干渉することを決定した。

さらに、イラン政権の軍事的冒険主義がエスカレートし、サウジアラビアではフーシ派による民間人を標的としたロケット攻撃が増大、シリアではヒズボラの民兵が数千人規模で展開するなど、地域は混乱した。

また、イラン政権と関係を正常化したEUも、同様の負の結果に直面した。EU加盟国は、イランのテロ計画の主な標的の1つとなった。イラン政権は、一連の暗殺、ヨーロッパの人質の奪取、その他の敵対行為に大陸中で関与している。一部は成功したが、一部は失敗した。欧州当局は、2018年にパリで開催された、多くのハイレベルな講演者が参加した大規模な「自由イラン」会議を標的としたテロ攻撃を阻止した。イラン人外交官のアサドラ・アサディ氏は昨年、爆弾計画に関与したとしてベルギーで20年の禁固刑を言い渡された。

このことは、ある国家がイラン政権と関係を構築したとしても、その悪意ある破壊的な政策から逃れることができるとはかぎらないということを示している。EUは、「ならず者国家」をなだめようとする者について、ウィンストン・チャーチルが言った有名な言葉を思い起こすとよいだろう。「誰もが、ワニに十分な餌を与えれば、ワニは最後まで自分を食べないと思っている。誰もが、自分の番が来る前に嵐が過ぎ去ることを期待している。しかし、私は恐れている――大いに恐れている――嵐は、過ぎ去らないだろう」

一言で言えば、各国政府はイランとの政治的関係を早急に正常化することに慎重であるべきだということだ。イスラム共和国との国際的な合意は、この国が持つ破壊的な行動や革命的な原則を変えることはない。むしろ、イラン政府との協定は、同政権が他国の内政により強力に干渉し、地域の優位性と覇権主義的野心を再確認することを促すだけのように思えるのである。

・マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で学んだイラン系アメリカ人の政治学者である。ツイッター : @Dr_Rafizadeh

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