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イラン、秩序維持のために傭兵に頼るか

シリア、パルミラ攻撃の際のリワ・ファテミユンの戦闘員(2016年12月10日)。(ウィキメディア・コモンズ)
シリア、パルミラ攻撃の際のリワ・ファテミユンの戦闘員(2016年12月10日)。(ウィキメディア・コモンズ)
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04 Oct 2022 03:10:56 GMT9

シリアでの内戦が沈静化するにつれて、パキスタンとアフガニスタンからのイランの傭兵(それぞれゼイナビーユン旅団とファテミユン旅団)は、大きな問題もなくそれぞれの国へ戻っていったようだ。身体的な障害や心の傷のために全員が再び戦える状態ではないかもしれないが、多くの者はまだ戦える。戦場で傷ついた者は、栄光と殉教を求めて戦闘員になるよう他の者たちを鼓舞するために利用される。

数10人がパキスタン当局に拘束され、尋問や捜査を受けている。これらの戦闘員は武器を手にしなくとも、自国の利益を守るイランの「保険」だ。それゆえ、聖職者の支配力がさらに低下した場合、核武装している隣国内のイランの「資産」たちがどのように反応するかという疑問が生じる。

他の大衆運動で見られたように、イランの治安当局は窮地に追い込まれるだろう。将校や軍人は厳しい命令に従うこともあれば、ただ自分の持ち場を放棄する場合もある。後者の場合、規律正しい組織の指揮系統に深刻な信頼の低下が生じるだろう。その結果士気が低下し、組織の信頼性と有効性が損なわれることになる。治安情勢については、武装していない抗議運動が内戦につながることはないにしても、それが反映しているのは極端な国民の不服従と無秩序だ。イスラム革命防衛隊(IRGC)は、衝突をエスカレートさせ、失望したイラン国民をさらに怒らせたくないため国中に軍を配備することはないだろう。

法秩序を維持するためにパキスタンやアフガニスタンから傭兵を呼び戻すことは、イラン政権にとってよい解決案に思われるかもしれない。ゼイナビーユン旅団とファテミユン旅団の傭兵たちは、イランの抗議活動参加者への発砲を躊躇するだろうか? 衝撃的だが答えは「ノー」だ。彼らは、いわゆるイスラム革命を維持するために自分の命を犠牲にするよう教え込まれている。外国の過激派の目には、反乱を起こしたイラン人は同情に値しする存在ではない。彼らは「帝国主義者」の代理人であり、少なくともその大義に仕えているのだ。そうでなくても、無職の狂信者である彼らは躊躇なく引き金を引くだろう。

ゼイナビーユン旅団とファテミユン旅団の戦闘員は、両方ともIRGCの将校に直接指揮されていたため、国内の法秩序を回復するために使うのが適している。高い士気と覚悟があっても、深刻なハンディキャップがある。ペルシャ語に堪能でないことは、特にゼイナビーユン船団の戦闘員にとって、コミュニケーションと能力の妨げになる。シリアでゲリラ戦士を追い詰めるのと、イランの街頭を取り締まり、街や家で姿を消した平和的なデモ参加者を見つけるのとでは勝手が違う。現地の地理や都市特有の問題を全く理解していないことが、それら外国の「ピースキーパー」の足かせになる。デモ隊に捕まりでもしたら、外国の傭兵が配備された事実も民族的怒りに火をつけるだろう。

外国から傭兵を呼び戻せば、イラン政権にとって最悪の悪夢が現実のものになるかもしれない。つまり、イラン政府の行き過ぎた武力行使へのしっぺ返しだ。反対者が武器を取るかもしれないし、シリアで見られたように、一部の治安維持要員が武器を手に持ち場を離れてデモ隊に加わるかもしれない。今のところ最も可能性の低いシナリオに思われるが、イラン政府は中心都市だけでなく、シスタン、バルチスタン、アフワズ、クルド人地域、アゼリ人が支配する北西部地方でも流血の戦いに備えることになるであろう。このような状況になれば、コントロールを完全に取り戻すために、あらゆる「資産」を利用することが必要になるだろう。可能性は低くともこのような事態になれば、聖職者たちは、信頼され洗脳されたあらゆるシーア派の闘士を配備するだろう。

イラン政府がゼイナビーユン旅団のイラン人傭兵を復任させ、呼び戻すことを選択した場合、パキスタンはどう対応するのだろうか。パキスタンは長い間、アフガニスタンの政情不安の影響に悩まされており、イランで同様の状況が発生すれば、国内の安全保障に壊滅的打撃を受けることになるだろう。たとえ巡礼者や旅行者を装って過激派を呼び戻しても、パキスタン政府は外交ルートを通じて強いメッセージを発しつつ、国境を閉鎖することを選ぶ可能性が高い。

彼らは、いわゆるイスラム革命を維持するために自分の命を犠牲にするよう教え込まれている。

モハメド・アル・スラミ博士

タリバンが率いるアフガニスタン政府は、もっと対立的な態度を取るかもしれない。タリバンは、イランの宗教的な意図とアフガニスタン領内での影響力について疑念を持ち続けている。アフガニスタン政府は、イランと国境を接する地区や村での先制逮捕や軍事作戦の実施など、より極端な手段を選ぶかもしれない。

現在進行中の抗議活動がどちらに転ぶかわからない。アリ・ハメネイ最高指導者とイスラム革命防衛隊は、イラン国民に対する鉄の支配を維持するために、いかなる手段を取ることも辞さないだろう。結論を出すのは早計だが、イランの近隣諸国は、自国の機関や国民をイラン国内の持続的な混乱から遠ざけることで、イランの政情不安が波及するのを回避できると言ってよいだろう。

  • モハメド・アル・スラミ博士は、国際イラン研究所(ラサナ)の所長を務めている。Twitter: @mohalsulami
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