
ドバイ:ユダヤ系アメリカ人コミュニティは、サウジアラビアとイスラエルの間の潜在的な合意に「熱狂」していると、米国の有名なラビであり、アラブ湾岸諸国のアドバイザーでもあるマーク・シュナイアー氏が語った。
アラブニュースの時事番組『フランクリー・スピーキング』の新シーズン第1回に出演した彼は、このような合意はイスラエル・パレスチナ紛争解決への一歩になるかもしれないと語った。
「イスラエルとサウジアラビアの和解は目前だと思う。我々は、その瀬戸際にいるのだ」と、彼は付け加えた。
シュナイアー氏は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の努力を賞賛した。皇太子は、最近話題となったFOXニュースとのインタビューで、「非常に人間的で、非常に個人的な方法で自分自身を表現した」と彼は述べた。
米テレビ局のブレット・バイヤー氏のインタビューに応じた皇太子は、サウジ・イスラエル関係の正常化に向けて「日々近づいている」などと明かした。
「皇太子の話を、特に英語で聞くことができた人は今までほとんどいなかった。そして、それが今回の聴衆とつながった」とシュナイアー氏は語った。
シュナイアー氏は、サウジ・イスラエル関係の将来についての皇太子のコメントは、米国のユダヤ人の心を打っただけでなく、米国に1600万人いる福音派のクリスチャンの心にも響いたと指摘した。
「このグループの指導的立場にある福音派の友人たちから、サウジアラビア王国の偉大な指導者から、イスラエルとの和平だけでなく、この地域全体の平和的共存を望む彼の純粋な願いと夢を聞くことが、いかに新鮮であるかを聞いた」と彼は付け加えた。
また、シュナイアー氏は、サウジアラビア側の要求とされる、米国による武器販売規制の撤廃、サウジアラビアにおける民生用核開発計画の策定支援、安全保障条約の締結などは、困難ではあるものの、乗り越えられないハードルではないと感じたという。
「イスラエル、サウジアラビア、そして米国は、それが政権であれ議会であれ、同じ方向を向くことになるだろう」と彼は『フランクリー・スピーキング』の司会者ケイティ・ジェンセンに語った。
FOXニュースのインタビューで皇太子は、中東紛争の解決はサウジ・イスラエルのいかなる合意においても必要な要素であると強調した。
国交正常化合意を得るためには何が必要かという質問に対して、彼は「我々にとって、パレスチナ問題は非常に重要だ。我々はこの部分を解決する必要がある」と答えた。
シュナイアー氏は「それは、テーブルの上に残された、簡単には克服できない唯一のハードルだ」と語った。
シュナイアー氏は、米国だけでなく、イスラエルを含む世界中のユダヤ人について、「イスラエルとパレスチナの紛争を一度に解決することの重要性を理解していない、少々無自覚な面がある」と考えている。
シュナイアー氏は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相による右傾化が進む政権内では、パレスチナにおけるユダヤ人入植地のさらなる拡大を優先し、いかなる和平交渉も拒否する可能性があることを認めた。しかし彼は、右派の指導者たちも平和を実現してきた実績があることを指摘した。
シュナイヤー氏は、外交上の成功を収めた保守的な政治指導者の例として、リチャード・ニクソン元米大統領による歴史的な中国訪問、ロナルド・レーガン元米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ書記長との首脳会談、故メナヘム・ベギン元イスラエル首相とエジプトとの平和条約を挙げた。
「このような交渉や譲歩に関しては、本物の和平につながるための信頼性、正当性、信憑性を与えるために、より右派の人々が必要になることがよくある。だから、その点については心配していない」
「イスラエルの連立政権が和平に合意するならば、ネタニヤフ首相は和平を実現できるだろう」
「私の疑問は、パレスチナの指導者が、和平を実現できるという点において同じような信頼性を持っているかということだ。現在のパレスチナ指導部はパレスチナ国民の支持を得ているのだろうか?」とシュナイアー氏は付け加えた。
「真の、実質的な、本物の和平を実現するためには」と彼は語る。「現在のパレスチナ指導部は、これらの約束や保証を実際に実現できるかどうかが問題だ。これらは非常に、非常に難しい質問だ」
シュナイアー氏は、アラブ湾岸諸国がパレスチナ・イスラエル紛争の終結に大きな役割を果たす可能性があり、また果たすべきであると示唆した。
「パレスチナの指導者は、サウジアラビアやUAE、バーレーン、カタールなどの国々の参加なしに、イスラエルと何らかの解決策を見出すことはできないだろう」と彼は語った。
「そしてイスラエルは、この和平を実現するために、特にサウジアラビアと、皇太子の支援を必要とするだろう」
9月中旬、イスラエルのエリ・コーヘン外相はイスラエルのアーミー・ラジオ(Army Radio)に対し、サウジ・イスラエル関係樹立のための合意の詳細が2024年第1四半期に「最終的に決定」される可能性が「確かにある」と語った。
シュナイヤー氏は、サウジアラビアはイスラエルとの関係正常化に向けて動いているが、アラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化した際のアプローチとは異なるアプローチを採用する可能性があると考えている。
「サウジアラビアはUAEと同じアプローチを取るかもしれない。つまり、『今は和平を優先して、パレスチナ問題は後で対処しよう』という、実行的なアプローチだ。しかし、私はこれが皇太子のアプローチではないと思う」と彼は付け加えた。
サウジアラビアとイスラエルは正式な外交関係を持ったことはないが、イスラエルと、いくつかのアラブ諸国との関係は近年温まっている。2020年のアブラハム合意の調印によって、UAEとバーレーンがイスラエルとの関係を正常化し、モロッコとスーダンがそれに続いた。
アブラハム合意には、特有の批判もある。昨年5月に『フランクリー・スピーキング』に出演したサウジアラビアの元情報機関トップ、トゥルキ・アル・ファイサル王子は、この合意による正常化が、イスラエルがパレスチナに対してより寛容になるという「証拠はない」と述べている。
イスラエル人入植者による暴力は今年に入ってから増加傾向にある。国連は今年上半期に591件の入植者による攻撃を記録している。これは2020年全体で記録された358件を上回る。
シュナイアー氏は、「物事が落ち着くには時間がかかる。しかし、バーレーン、UAE、モロッコ、イスラエルの人々には、他者に手を差し伸べようという、とても純粋で心からの気持ちがあることを私は知っている」と述べた。
彼はアブラハム合意について、「革命的」であり、「イスラム教徒とユダヤ教徒が再び一緒になるのは自然な流れ」だと述べた。
シュナイヤー氏は中東外交で積極的な役割を果たしている。彼は、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領の和解を仲介した。
「2022年3月以前、イスラエルとトルコは対立状況にあった。しかし、今日は大きな協力関係にある。だから、私は自分が果たした役割を非常に誇りに思っている。他の国々とも同様の役割を果たして、イスラム世界とイスラエルの関係をより緊密なものにしていきたい」と彼は付け加えた。
生粋のニューヨーカーであるシュナイアー氏は、民族理解基金(FFEU)の会長兼共同設立者である。同基金は、1989年にイスラム系ユダヤ人と黒人ユダヤ人の関係を改善する目的で設立された。
「私の関心事は、16億人のイスラム教徒と1600万人のユダヤ教徒との間の溝、亀裂、隔たりを狭める道を見つけることだ」と彼は述べた。
「結局のところ、イスラム教徒とユダヤ教徒は家族であり、いとこ同士なのだ。家族間のちょっとした意見の食い違いはあったかもしれない。しかし、イスラム教とユダヤ教ほど共通点が多く、歴史的な絆で結ばれている宗教は他にない」
「だから私にとっては、イスラム教徒とユダヤ教徒が再び一緒になるのは自然な流れなのだ」
また、シュナイアー氏は、2030年万博のサウジアラビア招致を支持するアラブニュースのキャンペーンを支持することを再確認した。
「人々は、宗教間交流の観点からサウジアラビアが成し遂げたことを正確に認識できていないと思う」
「私たちは、サウジアラビアは政治的、経済的に多くの変化や改革を行ってきたことを知っている。しかし同時に、サウジアラビアは湾岸諸国で初めて他の国々に、そして宗教間交流の観点から西側諸国に手を差し伸べた国であることを知っておくべきだ」
彼は特に、2012年に故アブドゥラー国王によって設立されたKAICIID対話センター(アブドゥラー国王宗教・文化間対話のための国際センター)の役割を高く評価した。
「KAICIID対話センターは、湾岸諸国が初めて支持し、設立した宗教間対話のためのセンターである」と彼は述べた。
2022年サッカー・ワールドカップの宗教間アドバイザーを務めることに同意する前、シュナイアー氏はテルアビブ・ドーハ間の直行便の就航と、世界最大の同スポーツイベントでのコーシャ(Kosher)フードの提供を呼びかけた。「イスラエル人がそこで歓迎されていると感じられる」ようにするためだ。
「私はこれをベーグル外交と呼んでいる。私たちは、カタールのドーハに初めてベーグルを持ち込んだのだ」と、彼は付け加えた。